火引弾
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火引弾 プロフィール
火引 弾(ひびき だん)は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターZERO』シリーズに登場するキャラクター。ゲーム内ではダン (Dan) と呼ばれる。
目次 |
キャラクターの設定
香港在住の日系人。彼の父親の強(ゴウ)も格闘家であったが、ムエタイの帝王サガットとの死闘の末、敗北し命を落とす(サガットの片目を奪っている為、ダンよりも強かったと思われる)。以来サガットを父の敵として追い続ける(公式にアナウンスされたものではないが、ストリートファイターCDブック用に書き下ろされたサガットのイラストにはダンとおぼしき人物がやられ役として描かれている)。またそれと同時に、独自に編み出した格闘術「サイキョー流」を世に広めるため、弟子集めと道場開設に世界を駆け回る。
このようにバックストーリーだけを見ると骨太で硬派な印象を抱くが、その実態はまるで正反対のコミカルなキャラクターであり、自信ばかりが無駄に強く実力の伴わない、ギャグ担当のキャラクターとして位置づけられている。
かつてはリュウとケンの師である剛拳(ゴウケン)の下で修行をしていた。つまりリュウ、ケンの兄弟子にあたるが、剛拳にサガットへの憎しみを看破され破門された。リュウたちの入門はその後になるため、互いに同門であることを知らずにいる。
「サイキョー流」はこのときの修行をもとにダンが独自にアレンジしたものだが、修行が中途半端なために完成度は低い。技のそれぞれも、派手さを重視した実用性に欠けるものが多い。『CAPCOM VS. SNK』シリーズではガイルをして「素質を無駄にするスタイル」と言わしめている。
春日野さくらの師匠を自称しているが、実際には技のコツをレクチャーした程度の間柄であり、厳密な師弟関係にあるとは言い難い。また、ブランカとは親友で、他人には咆哮としかとれない彼の言葉を理解できるほど。『ZERO3』ではブランカのピンチにさくらを無理矢理連れて助太刀に現れるシーンがある。これらのキャラクター間の設定は中平正彦の漫画『ストリートファイターZERO』及び『さくらがんばる!』での設定がゲーム本編に取り入れられたもの。なお、『さくらがんばる!』でのダンは、格闘シーンであっさり敗北するなどギャグキャラ的扱いも多かったが、ストリートファイターとしての心得を訓示したり、手がかりのほとんど無い海外の旅の水先案内人になったりと頼れる先輩ストリートファイターとして描かれており、ゲーム本編では描かれない一面を見せることとなった。
アメコミ版では、さくらの師匠となるがすぐ追い越されるダメ格闘家として、ゲームに非常に近いイメージで描かれている。チョイ役でありリュウ達との関連性は描かれていない。
OVA「ストリートファイターZERO - THE ANIMATION - 」ではバルログに切り裂かれたり、バーディに絞め上げられたりと明らかに踏み付けにされている。
落ち物パズル『スーパーパズルファイターIIX』においては「サイキョー流パズル道場」でゲームの案内役を務めている。また、同作品の隠しキャラクターとしても登場しているが、キャラクターがデフォルメされている影響か、攻撃パターンがゲーム中最弱の赤一色、攻撃アクションが全て挑発になっている、最終ステージで豪鬼にボコボコにされるなど、よりやられ役、弱キャラとしての側面が強調されている。この路線は『ポケットファイター』にも引き継がれている。
ただCAPCOM VS. SNKでも大会に優勝しているシーンがあるので、さすがに一般の格闘家よりは強いようだ。
キャラクターの特徴
『ストリートファイターZERO』では隠しキャラクターとして登場、それ以後はデフォルトで普通に登場することが多くなった。
ダンは意図的に弱いキャラクターとして作られている。カプコン・船水は「どのキャラクターも尖った部分が必要で、ダンの場合は『弱い』ことで尖らせている。マニアックな人が使って苦労して勝つ、そんな遊びもあっていいのではないか」としている[1]。
通常技の多くは個々の威力は平均的であるが判定が弱く(他のキャラクターの技とかち合ったときに負けやすい)、必殺技も同様に判定が弱く隙が大きいなど使いづらいものが多く揃っている。更に、これら攻撃に設定されている気絶値[2]が著しく低く設定されており、実際の対人・CPU戦で相手を気絶状態にできることはほぼ皆無である。
登場時の『ストリートファイターZERO』ではキャラクターのグラフィックをリュウ・ケンから使い回しており、通常技も共通のものが多かったためある程度リュウ・ケンと同じような感覚で使用できた。また、初登場時は設定はバックストーリーのみであり、コミカル・最弱路線は以降の作品で付加・増幅され続けたものである。
『ZERO2』以降でグラフィックが書き下ろされるようになるとそれらの技もより使いづらい、弱い技に差し替えられた。また、『ZERO』において連続技の要として存在していた必殺技「断空脚」も弱体化され、これに頼ることもできなくなった。
他作品に出演する際は毎回新しい技が追加されており、単純に技数を比較した場合、リュウやケンをも上回る。その中には実用性のないものも多いが、使いこなせばそれなりに戦える技も存在しているため、そのどれもが弱い技というわけではない。開発側の思惑通り、ほぼ全ての作品で最弱クラスの性能ながら勝ちようはある、ストイック(というよりもマニアック)な玄人向けキャラクターとなっている。
設定上で弱い・半人前といった属性を付加することでコメディリリーフと位置づける例は、他社でもSNK『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズの矢吹真吾などが挙げられるが、ゲームデザイン上も一貫して徹底的に弱く作られているキャラクターは他に例を見ない。
ダンの大きな特徴のひとつに挑発がある(必殺技の項にて詳述)。他のキャラクターは通常、1ラウンドに1回だけ相手を挑発する行動を取れるが、ダンの場合はこれが無制限に行える。また、直立状態、しゃがみ状態、空中でそれぞれ違った挑発行動となる上、コマンド入力で必殺技、スーパーコンボとして挑発を出すことまでできる。当然の事ながら攻撃力はまったくない魅せ技となっている。
SNK作品との関連
ダンのデザインはSNKの格闘ゲーム『龍虎の拳』のパロディという性質が強い。同作の登場キャラクターロバート・ガルシアの髪型に、同じくリョウ・サカザキの(色違いの)胴着を着せたような外見をしているほか、挑発ポーズがユリ・サカザキのものであったり、各種の必殺技もこれらのキャラクターの技に似ているものが多い。このようなパロディを行った理由として、開発者のインタビュー[1]では「他社のゲームに、苦労して作った(キャラクターのアニメーション)パターンをそっくり真似られた」ことを挙げている。これに立腹した開発者の一人が、「『真似をするな』との意味を込めて、おちょくりキャラとして」作らせてください、と船水に進言したとしている。…ただこの発言は、同氏の前述のダンの由来に対する発言と若干の矛盾があり、またその「他社」が明確に何を指すかはっきりしない事から、このキャラが誕生した背景に関して、ネガティヴな要素が少なからずあった事を垣間見せている。
『Street Fighter Alpha』シリーズ(日本国外版ZEROシリーズ)では、ゲーム内でのダンの台詞やダンに向けられた台詞に「Art of Fighting」(『龍虎』の英題)や「King of Fighters」といった言葉がいくつか含まれており、SNK作品との関連をさらに濃く示している。
ダンの父親の強(ゴウ)は天狗のような顔をしており、これも『龍虎』に登場する天狗の面を被ったキャラクター、Mr.カラテのパロディである。Mr.カラテは、リョウ・サカザキの「父親」タクマ・サカザキの扮する姿。初出は『ストリートファイターZERO』の設定画で、後に『ポケットファイター』でもこの姿で登場している。
『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』では、ダンのエンディングがまさに『龍虎』のエンディングをパロディにしており、ボスである「メカ豪鬼」を倒そうとした瞬間、ダンの妹(ダンそっくりだがセーラー服を着ている)が現れ「やめて!お兄ちゃん!その人は、私たちの・・・」「TO BE CONTINUED?」となる(もちろん続かない)。『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』ではこの設定を基にして、リョウ・サカザキとタッグを組むと「やめて! おにいちゃんズ」というタッグ名がつき、エンディングではリョウとの会話後に妹について言及している。
『CAPCOM VS. SNK』シリーズでは、『PRO』で同じくコメディリリーフである「ジョー・ヒガシ」と同時に登場し、対とされている描写がある。第1作においてもエンディングで格闘大会の優勝者として2人が登場している。
SNK(当時)開発の『頂上決戦 最強ファイターズ』では、ライバルキャラクターとしてリョウ・サカザキが設定されており、またユリ・サカザキともラウンド開始前に掛け合いが発生する。なお同作のダンは派手な技が多い・気絶値が低いといった性能やキャラクター設定はそのままであるが、『ZERO』で使用できた強力な連続技が復活しており、数ある登場作品でほぼ唯一、中堅クラスの性能を持つキャラクターとなっている。
SNKプレイモアの『SVC CHAOS』では、製作会社が本家SNKになった分、更に露骨な技のコピーが見られる。また、対戦前会話デモでMr.カラテを父の偽物扱いしたりもしている。
パロディキャラクターであるダンをSNK側がさらにパロディとした例も存在する。『KOF2000』ではロバートのアナザーストライカー版(アナザーロバート)が胴着を着用し、ダンのものと似たポーズで挑発を行う。2Pカラーで選択すると、胴着の色がピンクになりより類似する。また、『サムライスピリッツ零』では自らの流派を「世界最強流」と名乗るキャラクター・萬三九六が登場した。このほかユリが瞬獄殺のパロディを使うなどカプコンのゲームのパロディが散見されるが、ダンのように相手の作品のキャラクターそのものが直接オマージュされたケースは確認されていない。
必殺技
- 我道拳〔がどうけん〕
- 片腕を突き出して掌低から気弾を放つ。一応飛び道具であるが、一歩分ほどしか飛ばずに消えてしまう。実際は、近距離におけるコンボ用の技として認識すべきだろう。モーションは『龍虎』の必殺技、虎煌拳(または龍撃拳)に似ている。
- 断空脚〔だんくうきゃく〕
- 山なりに飛びながら1~3発の蹴りを放つ。父・強から受け継いだ技であり、使いづらい技が多い中で何かと便利な技。2発目以降の動作は『龍虎』の必殺技、飛燕疾風脚にやや似ている。『ストリートファイターZERO』ではしゃがみ大パンチから連続技として繋げることが可能で重要なダメージ源だったが、『ZERO2』以降は蹴りの軌道が変化し、連続技として使用することはできなくなった。多くの技が空中対応になった『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』においても空中で使用できなかったにも関わらず、『ZERO3』で空中使用可能になった。『MARVEL VS. CAPCOM 2』では空中で使用できる。
- 晃龍拳〔こうりゅうけん〕
- アッパーカットを繰り出しながらジャンプ。昇龍拳に近いが、無敵時間がない分打ち負けやすく、性能は劣る(『ZERO』のみ出かかりに無敵時間があり)。ただし稀に全身が白く光り、その場合だけ無敵状態になる。無敵になるタイミングは作品により様々だが、『ZERO2 ALPHA』『ZERO3』では23回目で無敵に、以降は15回周期で無敵状態になる。これは『スペースインベーダー』においてUFOの得点が300点になるのと同じ周期である。
- プレミアムサイン
- MARVELVS.シリーズのみの技で、色紙にサインを書いて投げる。投げるまで時間はかかるが、我道拳よりも飛距離がある。一応突き出すときにも攻撃判定があり、投げたあとは軌道を上下に操作可能。
- サイキョー流防御
- 『ZERO3』のV-IZMでのみの技。いわゆるアドバンシングガードで、相手の攻撃をガードした瞬間に発動することで相手を押し戻すことができる。
スーパーコンボ
- 震空我道拳〔しんくうがどうけん〕
- 我道拳数発分を一度に放つ。我道拳に比べかなり射程が伸び、飛び道具としての機能も果たすため、気軽に使える技である。『ZERO』シリーズでは飛び道具系スーパーコンボの中で唯一、ローズの「ソウルリフレクト」で跳ね返されてしまう。
- 晃龍烈火〔こうりゅうれっか〕
- 晃龍拳を連続で放つ。ケンの昇竜裂破に似ているが、あまり前進しないために、距離を置いて使うには向いていない。ただし相手にヒットした時点で、相手が空中にいても巻き込んでいく性質のため、対空迎撃などで役に立つ場面が多い。ほぼ真上に飛ぶのもそれを手伝っている。『CAPCOM VS. SNK』シリーズでは、この技を繰り出す際に「サイキョー流奥義!」と叫ぶ。また『ZERO2ALPHA』までは気絶値が非常に高く、全段ヒットすると全技中2番目の気絶値を誇る。ただし前述の通り他の技の気絶値が低い為、やはり気絶を狙うのは難しい。
- 必勝無頼拳〔ひっしょうぶらいけん〕
- その場で連続で打撃を繰り出した後、晃龍拳でフィニッシュ。リーチが短いので、接近して出す必要がある。『龍虎』の超必殺技、龍虎乱舞に似ている(虎煌拳/龍撃拳が相手に当たる瞬間にコマンドを完成させるとその場で乱舞するバグがあり、それに近い)。MARVELシリーズでは1発でもヒットすれば相手をロックするため一応性能は向上している。CPUダンは「ここしかない」と言うタイミングで出して来るため、参考に出来る。作品によっては下段攻撃が混ざっている場合もある。
- 漢道〔おとこみち〕
- 前進して相手をつかみ、相手もろとも自爆する技で、『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』が初出、同作と『MARVEL VS. CAPCOM 2』でのLv3専用ハイパーコンボ、及び『SVC CHAOS』のEXCEED(試合中一度だけ使用可能な技)。ダン自身の体力ゲージは1ドットになってしまう上に投げ抜けをされてしまうため、魅せ技としての要素が強い。ただし登場する度に性能が少しずつアップし、『MARVEL VS. CAPCOM 2』では体力が1ドットになるものの全技中トップの攻撃力を誇り、『SVC CHAOS』では体力の減少が無くなった。
- 真・晃龍拳〔しん・こうりゅうけん〕
- 『ポケットファイター』のマイティコンボ。連続攻撃の後にかなり高くまで上がる晃龍拳を出す。
- オヤジブラスト
- 『ポケットファイター』のマイティコンボ。ダンの父、強の幽霊が登場し鼻からビームを放つ。
- 殉哭殺〔じゅんこくさつ〕
- 『ポケットファイター』のマイティコンボ。強の幽霊が登場し、瞬獄殺のような技をくり出す。この技で相手に勝利すると、背景に「天」ではなく「父」の字が表れる。
挑発
各種の挑発はダンの代名詞とも言える。ゲームによって他のキャラクターの挑発にラウンド中1回の制限がある場合でも、ダンのみ無制限で挑発を出せる。
- 通常挑発、しゃがみ挑発、空中挑発
- それぞれ直立、しゃがみ、ジャンプ状態での挑発。空中挑発は着地してしまえばほぼ隙がないので、比較的安全に出すことができる。
- 前転挑発、後転挑発
- 特定のコマンドを入れつつ挑発のボタンを押すことで、前転または後転した後挑発する。前転は相手をすり抜けられ、後転は相手との距離を離せるが、その後の挑発が隙だらけのため特に意味はない。
- 挑発伝説
- 前転と挑発を繰り返し、ジャンプしての挑発の後さらに挑発を重ねてフィニッシュするスーパーコンボ。挑発技なので、スーパーコンボでありながらダメージは全く与えられない。
- 最後の決めポーズは『龍虎』に登場するユリ・サカザキの勝利ポーズそのものである。作品によっては、この状態で攻撃を受けるとカウンター扱いとして受けるダメージが増える。また、最後まで出し切った時に双方のスーパーコンボゲージが完全に溜まる作品もある。
- 挑発神話
- 『ZERO3』のみ登場。発動後一定時間、どの攻撃ボタンを押しても挑発になる。挑発のみのオリジナルコンボとでも言うべきLv3専用スーパーコンボ。
SVC CHAOSの技
『SVC CHAOS』では、製作会社の制約がなくなった分『龍虎』からの技のコピーがさらに顕著になり、中にはほとんど極限流の技そのものと言えるものさえ存在する。
- 我道翔吼拳〔がどうしょうこうけん〕
- 大型の我道拳。モーション、グラフィックなどほとんど覇王翔吼拳そのものだが、もとが我道拳なのでやはり飛ばない。『頂上決戦 最強ファイターズ』でも震空我道拳のLV2版として同様の技を使っている。
- 究極天地我道突き〔きゅうきょくてんちがどうづき〕
- 正拳突きを繰り出す技。天地覇煌拳そのものでガード不能技でもあるが攻撃判定が出るのが遅いため当たりにくい。また、当たったとしても手をいためる演出があるため、当てても当たらなくても反撃確定というお遊び的な技。ただし、対CPU戦においては、一部の敵に対し大きな効果を発揮する。
- 挑発伝説
- 前記の挑発伝説とほぼ同じだが、途中の挑発モーションの中にユリのそれとそっくりなものが混じっている。
なお、『SVC CHAOS』では震空我道拳が使えない。しかし、その分晃龍烈火の性能が向上しており、ゲージ1ブロック消費技としては若干威力が高い。
主な登場作品
註
- ^ a b 「頂上対談 船水紀孝 vs 安田朗」『ストリートファイター15周年 最強読本』宝島社、2003年9月26日、p35、ISBN 4-7966-3545-9。
- ^ 体力に対するダメージ以外に設定されている数値で、これが一定時間にキャラクターごとの気絶耐久値を超えると気絶し、一定時間行動不能となる
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