コンビーフ
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コンビーフ (corned beef) は、牛肉を塩漬けにした食品。日本やアルゼンチンでは缶詰にした物が多い。
本来は、船などで保存食料として使うための粗塩 (corn) で塩漬けにした牛肉のことを言う。日本では一般に缶詰であり、塩漬けした牛肉を高温高圧で加熱してほぐし、フレーク状にした後、牛脂で固めたものである。そのまま食べたり、サンドイッチやグラタンなどの材料にしたりする。
コンビーフの缶は内容物がこぼれないように側面の一部を帯状に巻き取って開缶することができる。缶切りを使わずに済むため、レトルト食品が普及する以前は登山やキャンプなどのアウトドアで重宝された。
缶詰の形が台形になっているのは、形を保ったまま取り出せるような配慮、密閉時に空気が入らない充填ができるから、などである。一時期、標準的な丸型の缶詰も存在していたが、"コンビーフの缶詰は台形"というイメージが定着している為、売上は芳しくなく短期間で消えた。
アルゼンチンやブラジルでは缶詰にしたものが主流で、牛肉をほぐさずボイルする方法で調理される。イギリスでは第一次世界大戦の頃から陸軍や海軍でこの缶詰が食料として用いられており、以来缶詰が主流である。
なお、缶詰にしないものはフレッシュ(生)コンビーフと呼ばれ、アメリカやヨーロッパなどではこのスタイルが一般的である。
[編集] ニューコンビーフ(ニューコンミート)
日本では材料に馬肉をブレンドしたものは、ニューコンビーフと呼ばれていた。一般にコンビーフの肉は牛肉100%であることから、ニューコンビーフは全くの別物と扱われることが多い。1948年に食糧不足の日本で初めて開発された。社名を冠して「ノザキのニューコンビーフ」というブランドで広まったが、野崎産業は1999年に川鉄商事と合併した(野崎産業は缶詰のみならず、セスナ社の日本総代理店など、中堅商社として活動していた)。川鉄商事はJFEグループの企業再編により分社化され、食品部門が川商フーズとなり、現在に至る。1缶が100円台で入手可能であることから、B級料理の材料などに用いられることも多い。ニューコンビーフを使った料理のレシピを紹介するウェブサイトも多数存在する。
2005年6月に農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)が改正され、日本農林規格(JAS)における缶詰の表示を定めた「畜産物缶詰及び畜産物瓶詰品質表示基準」も改正された。これによってコンビーフの名称は牛肉100%の物のみに使用できることとなり、馬肉など他の肉が使われている物はコーンドミートと表記するように定められた。またコーンドミートの内、馬肉と牛肉が使われており、そのうちの牛肉重量が20%以上の物はニューコーンドミートもしくはニューコンミートと表記することが許可された。2006年3月の法律施行にあわせ、「ノザキのニューコンビーフ」は「ノザキのニューコンミート」と商品名が変更された。
[編集] コンビーフハッシュ
ほぐしたコンビーフと茹でて細かく賽の目に切ったジャガイモを混ぜ合わせた食材である。缶詰の他、1食分のレトルトパウチなどで販売されている。日本では沖縄県以外ではほとんど目にすることのない食材である。沖縄では欠かすことのできない食材で、野菜炒めの具、焼きそばの具、マヨネーズなどと混ぜてパンに塗ったりして使用されている。
ジャガイモが入っているため畜産物缶詰及び畜産物瓶詰品質表示基準では「コンビーフ」に該当せず、「牛肉野菜煮」と表示されている。
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