ジャイアントロボ
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『ジャイアントロボ』は、横山光輝作のSFロボット漫画作品、それを基とした特撮テレビ番組。およびそれに登場した架空の巨大ロボットの名前。
目次 |
[編集] 漫画版
- 連載:「週刊少年サンデー」に昭和42年5月の20号から昭和43年3月の19号まで連載された。全3部構成。もともとこの作品はテレビの企画が先にあり、原作と呼ばれている漫画版はいわばメディアミックスのはしりである。
[編集] 物語
- 誕生篇
- 全19話。世界征服をもくろむ謎の秘密結社「ビッグファイア」はその中核となる「GR計画」を進めていた。国連特別捜査機構は計画妨害の工作員をT国に派遣する。その工作員と疑われた日本人旅行者の草間大作はBF団に拉致されてしまう。
- 奪回作戦篇
- 全12話。GR1とともに、かろうじて日本に生還した大作少年。だがBF団はGR1奪還のため、大作少年暗殺を図る。そしてGR2、GR3が東京を襲う。
- 奪われた水爆篇
- 全17話。水爆を搭載した爆撃機が日本近海に墜落、直ちに回収作業が行われたが、水爆はBF団によって奪われていた。BF団は水爆とGR1の交換を要求する。
[編集] テレビとの相違点
- 作品全体のトーンは『鉄人28号』同様のスパイアクション+ロボット物であり、TVのような怪獣は登場せず、巨大生物型ロボットが登場する。第1部に登場するタコ型ロボットは「ダコラー」の名で呼ばれており、この名はTV第1話に登場する怪獣と同名だが別物。
- GR1は大作少年の命令を直接声で聞いて動いていたが、第3部「水爆篇」から腕時計型無線機を使用する。(おそらくTV版に合わせた変更に拠るもの)
- GR1~3はそれぞれ陸戦型、海戦型、空戦型に特化しており、GR1は第1部では海に浮く事すらできない。第3部で改修が行われ背中に飛行・海中進行用の噴射機が装備される。なお、GR2はTVでは頭部形状の異なるだけの2号機として扱われている。また、TVにはGR3は登場しない。
- GR1の胸のマークは連載当初は十字型であったが、「ナチスを連想させる」との理由でV字型に変更された。赤いV字ラインの中は漫画版が十字星なのに対し、TVでは三角形になっている。なお、漫画版の「V字に十字星」はBF団のマークとして飛行機などにも描かれている。
- 国連特別捜査機構は国連の諜報機関で、007シリーズのMI-6のように描かれており、『ウルトラマン』の科学特捜隊のような、TV版のユニコーン(国連秘密警察機構が正式名称)とはかなり雰囲気が異なる。余談だが、日本支部長の名は同じ東である(南十郎やマリー花村にあたる登場人物は存在しない)。同様にビッグファイアは007シリーズのスペクターのような国際犯罪組織として描かれており、首領が宇宙人であるかどうかは不明。
[編集] 共作の表記について
初期12話までは横山と小澤さとるの共作とされている。これは、連載開始当初は横山が同じ「少年サンデー」に『仮面の忍者赤影』を連載するなど多忙で執筆できなかったため、編集部の調整により、同誌で連載を持ち絵柄が似ていた小澤が、横山の構成に従って作画したものである。そのため前半と後半で大作などの顔が微妙に異なる。編集部の仲介で他の漫画家の応援をすることは昔からよくあり、手塚治虫の『ジャングル大帝』に石森章太郎が参加していたことなどが有名である。
横山は他人の手が入った作品を自分の名前で発表することに抵抗があったらしく、「SPA!」(1992年5月13日号)誌上のインタビューで「当時は多忙で複数の人間が描いたため、絵が変わってしまった。もし出すなら全部描き直し」といった旨の発言をしている。ようやく単行本化されたのは横山没後の2005年2月(講談社版)が初である。
なお、このことから小澤が横山の弟子であったと誤解されることが多いが、師弟関係はまったくない。小澤も当時「少年サンデー」に『青の6号』を連載しており、2本の同時進行制作は大変だったと後に述懐している。
[編集] TV版
[編集] 内容
悪の組織BF団(首領は宇宙人だが、部下は全員普通の地球人)の陰謀対世界的な防衛組織ユニコーンの戦いを通し、BF団の操る怪獣対少年の命令のみで動く巨大ロボット・ジャイアントロボの戦いを描く。
[編集] ストーリー
地球征服を企む謎の宇宙人・ギロチン帝王は、秘密結社BF(ビッグファイア)団を結成し、地球征服を開始した。巨大ロボット・GR1は、その尖兵とするためにBF団が秘密裏に開発した破壊兵器だったが、設計者であるドクター・ガルチュアはその陰謀を阻止するため、腕時計型の操縦システムを偶然BF団に捕われていた少年、草間大作に託し絶命する。この操縦システムは音声登録・認識式で、初起動の際に声を登録した者の命令にしか従わない仕組みになっていた。GR1 = ジャイアントロボと共に魔の手を脱した大作は、科学防衛組織ユニコーンの隊員となった。
[編集] 放送期間など
- 放送期間:1967年(昭和42年)10月11日から1968年(昭和43年)4月1日
- 放送回数:全26話
- 放送時間:(16話まで)毎週水曜日19:30 - 20:00、(17話から)毎週月曜日19:30 - 20:00
- 放送局:NET系
[編集] キャスト
- 草間大作 (U7) :金子光伸
- 南十郎 (U3) :伊東昭夫
- 東支部長 (U1) :伊達正三郎
- 西野美津子 (U5) :片山由美子
- マリー花村 (U6) :桑原友美
- ギロチン帝王:(声)佐藤汎彦
- スパイダー:丹羽又三郎
- ブラックダイヤ:室田日出男
- レッドコブラ:三重街恒二
- ドクトルオーヴァー:安藤三男
- ナレーター:千葉耕市
[編集] スタッフ
- 制作:東映東京製作所
- プロデューサー:宮崎慎一、平山亨、坪井久智、植田泰治
- 脚本:伊上勝、松田寛夫、安倍寿、七条門
- 音楽:山下毅雄
- 撮影:瀬尾脩、高梨昇、村上俊郎
- 録音:岩田広一
- 美術:北郷久典、川村晴通、安井丸男
- 照明:大町博信、城田昌貞、山本辰雄
- 編集:大橋四郎
- 助監督:舘野彰、堀長文
- 進行主任:河野正俊、大山勝利
- 記録:とうまひろ子、宮瀬淳子
- 現像:東映化学工業株式会社
- 特殊技術:矢島信男、小川康男、市倉正男
- 怪獣技術:阿部洋士
- 技斗:久地明
- 監督:山田稔、竹本弘一、折田至、小西通雄、田口勝彦
[編集] 設定
[編集] ジャイアントロボ
- 全長:30メートル
- 重量:500トン
- 動力:原子力
- 装備:背中にロケット推進装置。最高飛行速度マッハ17。宇宙航行も可能
- 耐熱:3000度
- 操縦方法:腕時計型操縦機による無線操縦
[編集] 武装・技
- ロケット砲
- ジャイアントロボの両手の指先からミサイルを発射する。連射可能。最も多用された武器。
後年の特撮・アニメの巨大ロボでも、同様の武装が数多く登場している(コン・バトラーVのロックファイター、ドラゴンシーザーのドラゴンハーレー、デカベースロボのフィンガーミサイル等)。 - レーザー光線
- ジャイアントロボの両目から放つレーザー光線。
- メガトンパンチ
- ジャイアントロボの得意技。強烈なパンチを決める。決め技として多用された。
- 火炎放射
- ジャイアントロボの口から高熱火炎を放射する。
- 鎖ミサイル
- ジャイアントロボの親指から鎖付きミサイルを発射する。
- バズーカ砲
- ジャイアントロボの手の甲に内蔵されたバズーカ砲。
- 背中ミサイル
- ジャイアントロボの背中からミサイルを放つ。9話でスパーキーにダメージを与えた。
- 超短波
- ジャイアントロボの体内から超短波を放ち、隠れた敵を探し出す。12話で姿を消したドクトル・オーヴァを探し出した。
- マジックハンド
- ジャイアントロボの腹から出現するマジックハンド。13話でガンモンスのまぶたに引っ掛けて眼を閉じさせた。
- 弾光幕
- ジャイアントロボの頭から特殊な弾を打ち上げる。弾は空中で破裂し、ロボの前方に火花の幕を張る。13話でガンモンスの眼力を遮った他、24話で細菌虫ヒドラゾーンを焼き払った。
- メガトンキック
- ジャイアントロボがジェット噴射で飛行し、急降下しながら決めるキック。15話でアイスラーにダメージを与えた。
- 胸ミサイル
- ジャイアントロボの胸のマークが分離して、ミサイルになる。16話でGR2を倒した。
- スーパージェット弾
- ジャイアントロボの胸からワイヤー付きのトゲ状の弾丸を放ち、敵を縛り付けて電流を流す。21話でドロゴンを倒した。
- 全身から高熱(名称不明)
- 全身から高熱を発する。24話でアイスラーの冷凍ガスに凍らされた際に使用、氷を溶かした。
- 旋風回転
- 高速回転で突風を起こし、ガス等を吹き飛ばす。24話でアイスラーの冷凍ガスを跳ね返した。
- クロスファイヤー
- ジャイアントロボの両腕をクロスさせて、燃える十字架を作り出し、敵に放つ。十字架に弱いドラキュランに2連発で使用して倒した。
[編集] 放映リスト
話数 | サブタイトル | 登場怪獣、メカ |
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1 | 大海獣ダコラー |
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2 | 大魔球グローバー |
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3 | 宇宙植物サタンローズ |
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4 | 妖獣ライゴン |
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5 | 巨腕ガンガー |
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6 | 忍者怪獣ドロゴン |
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7 | 敵は怪獣イカゲラス |
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8 | 両面怪獣ダブリオンの挑戦 |
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9 | 電流怪獣スパーキィ |
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10 | 改造人間 |
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11 | 恐怖の人喰い砂 |
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12 | 合成怪獣アンバラン |
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13 | 悪魔の眼ガンモンス |
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14 | 怪物鉄の牙 |
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15 | 冷凍怪獣アイスラー |
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16 | 怪ロボットGR2 |
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17 | 赤富士ダムを破壊せよ |
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18 | 謎の諜報員X7 |
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19 | アンドロメダ宇宙人メトロスリー |
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20 | SOSジャイアントロボ |
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21 | ミイラ怪人 |
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22 | 殺人兵器カラミティ |
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23 | 宇宙妖怪博士ゲルマ |
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24 | 細菌虫ヒドラゾーン |
|
25 | 宇宙吸血鬼 |
|
26 | ギロチン最後の日 |
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[編集] 関連項目
- ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日…本作の設定を流用したOVA。
- ダイコク電機…1990年代、「データロボ」のCMキャラクターに起用された。
- 桜蘭高校ホスト部…TVアニメ版第22話で一瞬『それらしきもの』が映る。
NET系 水曜19時台後半 | ||
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前番組 | ジャイアントロボ (1967年10月~1968年1月) |
次番組 |
キングコング・1/007親指トム | ジャングル少年ボンバ ※19:00-20:00 |
|
NET系 月曜19時台後半 | ||
おれの太陽 | ジャイアントロボ (1968年1月~1968年4月) |
大魔王シャザーン ※金曜19:30から移動 |
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