スチュワーデス物語
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スチュワーデス物語(すちゅわーですものがたり)は、1983年10月18日から1984年3月27日までTBS系列で放送された、日本航空のスチュワーデス訓練生を描いたテレビドラマ。
目次 |
[編集] 概要
[編集] スチュワーデス訓練生
日本航空のパイロットであった今はなき父親の思い出を胸に、スチュワーデスへの道を進みだした高校卒のスチュワーデス訓練生・松本千秋が、厳しい訓練を受ける中で、風間杜夫演じる教官との恋愛や、教官の元婚約者や継父による嫌がらせ、同じ訓練生寮くれない寮に住む訓練仲間との友情を通じて一人前のスチュワーデスになるまでのいきさつを、日本航空の全面協力のもと計22回(+スペシャル1回)の放送で描いた大河ドラマ的作品。
当時のアイドルであった堀ちえみが主役を演じ、その大根役者ぶりが大げさで奇想天外なストーリーとマッチして、全23回の放送を通じた平均視聴率が約20%と高い視聴率を確保した他、「ドジでのろまなカメ」などのドラマ内のセリフが当時流行語になるなど、一種の社会現象といっても過言でないドラマであった。放送終了後20年以上経った現在も、地方局やケーブルテレビなどで度々再放送されており、人気を博している。
[編集] 原作
原作は元日本航空社員の直木賞作家、深田祐介が日本航空の新人スチュワーデスの奮闘を描いた小説「スチュワーデス物語」(新潮社刊)だが、大げさな演技と奇想天外なストーリー展開が売り物の大映テレビ制作のため、原作とは似ても似つかない支離滅裂な内容となっている。
なお、支離滅裂といっていいストーリーにもかかわらず、日本航空の全面的な協力を得たこともあり、要所要所で本物の訓練所や飛行機、現役教官が出演しており、また、その後に作られたスチュワーデスを扱ったドラマに多い、本来の仕事内容からずれた「海外に仕事で行けるという点(スチュワーデス刑事など)」や「派手な男性関係(やまとなでしこなど)」に絞ったものとせず、訓練や仕事上の苦労を細かく描く点に力を入れたことにより、格段に臨場感がある内容に仕上がっている。そのためか、このドラマを見てスチュワーデスに憧れたという現役スチュワーデスが意外に多い。
[編集] 制作
上記のように、噂の刑事トミーとマツやスクール☆ウォーズ、乳姉妹などの数々の大ヒットドラマを制作し、当時一世を風靡した大手テレビ制作会社である大映テレビが制作を担当した。
- プロデューサー:野添和子、野村清
- 監督・ディレクター:國原俊明、増村保造、瀬川昌治
- 脚本:安本莞二、加瀬高之
[編集] 出演者
そのドラマ内容の割には、「オールスターキャスト」と言って申し分ないほどの気合が入った豪華なキャストで構成されている。水を得た魚のように虐め役を嬉々として演じる往年の名優・長門裕之と、「石立鉄男節」とも言える、その独特のセリフ回しで統一された大映テレビ作品に欠かせない名優・石立鉄男の名演が光る。
また、当時新藤真理子役で出演していた片平なぎさは、非情な悪役を演じていた為、プライベートで街を歩いているときなども、ドラマの中の彼女を憎たらしく思った番組ファンから度々石などを投げつけられ酷い目にあっていたと言う悲劇に見舞われたが、その経験が女優として更なる新境地を開拓し、やがて演技でも生かされ、後に「2時間ドラマの女王」の異名を取って、現在に至る。
エンディングではテロップ表示が年長者の風間杜夫から先で次に堀ちえみと言う順だが、あくまでも主役は堀ちえみが演じた松本千秋である。
- 松本千秋-(主人公/478期)堀ちえみ
- 村沢浩(478期担当教官)-風間杜夫
- 新藤真理子(教官の元婚約者)-片平なぎさ
- 柿野竜太(客室訓練部課長)-石立鉄男
- 火山さと子(479期担当教官)-秋野暢子
- 石田信子(同期訓練生)-高樹澪
- 木下さやか(同期訓練生)-山咲千里
- 中島友子(同期訓練生)-白石まるみ
- 池田兼子(同期訓練生)-春やすこ
- 落合克美(同期訓練生)-松岡ふたみ
- 松本誠治(主人公の継父)-長門裕之
- 松本弓子(主人公の実母)-吉行和子
- 木下徳造(さやかの父)-前田吟
- 木下富子(さやかの母)-朝丘雪路
- 小堀庄介(さやかの実家「そば徳」の従業員)-田山涼成
- 村沢章一(浩の父)-河原崎長一郎
- 村沢冬子(浩の母)-南田洋子
- 江原三郎(主人公の幼馴染み 魚屋)-光石研
- 中野孝(信子のフィアンセ)-金田賢一
- 松永一郎(さやかのボーイフレンド)-井上純一
- 岩倉ハナ(ビューティーレッスン担当教官)-奈美悦子
- 岩崎教官(救難訓練専門教官)-中島久之
- 新藤久之(真理子の父)-鈴木瑞穂
- 南洋子(機内で自殺を図る女)-中島唱子
他にも本物の日本航空の英語教官・益岡康夫やジョン・マッコーレー(両氏ともに現在は定年で引退)などが実名で登場しており、放送終了後20年以上経っても撮影中の逸話を訓練生によく話していたという。
[編集] ロケ地
日本航空の全面協力の元に制作されたため、羽田空港内にある客室乗務員訓練センター(現在は空港内の別の場所に移転)や成田空港のオペレイションセンター、成田空港第一ターミナルなどの国内ロケの他に、日本航空の寄港地のイタリアのローマやアッシジ、フランスのパリなどでの海外ロケもふんだんに盛り込まれている。
基本的には羽田空港の訓練センター周辺でのロケが多く、今はなき羽田東急ホテルや穴守稲荷、京浜島などの大田区民にはお馴染みの場所が多数出てくる。なおドラマ内で重要な役割を担ったくれない寮は実際には存在せず、当時存在した日本航空の西嶺寮を使用した。
[編集] 主題・挿入歌
[編集] 主題歌
「ホワット・ア・フィーリング」 歌:麻倉未稀 (アメリカ映画「フラッシュダンス」の主題歌「What a feeling ~FLASH DANCE」の日本語バージョン)
原曲自体が映画のヒットと同時に、日本を含む世界中で大ヒットしたものの、このドラマの主題歌というインパクトがあまりに強かったせいか、「スチュワーデス物語の曲」と呼ばれることもある。
[編集] 挿入歌
「100℃でハートビート」 歌:風間杜夫 (かなりの調子っ外れでぎこちなく歌い上げる、俳優・風間杜夫の歌手としての代表作。ドラマ内では、訓練生一同がこの曲に合わせて踊りまくるという奇っ怪なシーンが繰り広げられた)
[編集] 流行語
ドラマの中で使われた言葉が当時流行語になった。
- 「ドジでのろまなカメ」
- 「教官!」
- 「村沢教官救命ボート」
- 「やるっきゃない」(訓練生で唱和する)
[編集] グッズ
放送当時、ドラマの中で訓練生が実際に着用していたものと同じTシャツや帽子が、日本航空の機内誌「WINDS」(現SKYWARD)内の通販コーナーで「スチュワーデス物語公式グッズ」として個数限定で販売されていた。また、現在全22話がDVD化されエイベックス・エンタテインメントから発売されている。
[編集] 放送局
[編集] エピソード
- オープニングに写っているボーイング747-SR46型機は放送の数年後に墜落事故を起こした機体そのものではないか、と語られることがある。
- この後、風間が主役を演じた時代劇「暴れ九庵」(関西テレビ制作・フジテレビ系)に堀がゲスト出演している。
- 日本航空123便墜落事故の際は、毎日放送での再放送が事故翌日より打ち切られ、別番組に差し替えられている。
- 1983年7月に、堀ちえみが成田空港に駐機中のボーイング747-246(JA8161)の機内でロケ中に、同じTBSの人気歌番組であるザ・ベストテンの中継が入り、制服を着たまま機内のファーストクラス付近で、当時の新曲である「青い夏のエピローグ」を歌ったことがある。
- サントリー「なっちゃん」CA編(2006年)=主役だった堀ちえみが新人スチュワーデス(堀北真希)を叱咤激励する先輩スチュワーデス役で出演しているCMであり、本作品へのオマージュと思われ、かつてのファンにとっては、その後の松本千秋の姿として捉える者も少なくない。
- 2006年公開の映画、「トリック劇場版2」に片平なぎさが霊能力者の役で出演しているが、スチュワーデス物語でもやっていた「口で手袋を外す」という演技を見せている(ちなみに同作でその霊能力者の娘と思われる少女を演じているのが、上記の堀北真希である)。
[編集] 関連項目
[編集] 登場する機体
[編集] 担当する路線
[編集] その他
[編集] 外部リンク
[編集] 前後番組の変遷
TBS系 火曜20時台の連続ドラマ(1983年10月 - 1984年3月) | ||
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