スプラッター映画
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スプラッター映画(splatter movie)とは、殺害シーンにおける生々しい描写に特徴のある、映画の様式のひとつである。広義的にはホラー映画と同じとされるが、身体の一部がはね飛んだり、天井まで血しぶきが上がったりするといった、誇張を含むあからさまな表現は、スプラッター映画独自のものといってよい。英語で正しくはSlasher film(スラッシャー映画)と呼ぶ。
またスプラッター映画には、被害者と一緒になって「擬似的な恐怖感を味わう」楽しみと、殺人鬼、又はサイコキラーと一緒に「擬似的な殺人を味わう」楽しみとがある。登場する殺人鬼に熱烈なファンがいたりすることも、ホラー映画にない特徴として挙げられる。但し、必ずしも殺人鬼に固執された作品に限られているわけではない。特定の殺人鬼が登場せずとも、殺害シーンに上記のような描写、また感覚を得ることができるようであれば、スプラッター映画と称される。
非常に残念な点として、殺人劇に終始しすぎた挙句、肝心なストーリーが希薄なまま終わってしまう作品が少なからずあり、ここがホラー映画との決定的な違いととられることが挙げられる。
1970年代にトビー・フーパー、ウェス・クレイヴン、ショーン・S・カニンガム、ジョン・カーペンターなどによって基盤が創られると、1980年代に大ブームとなった。大量のスプラッター映画が製作され、多くの秀作や、いわゆる「B級作品」が誕生した。1990年代に突入すると、さすがに衰退の時期を迎えたが、今日でもコンスタントにスプラッター映画が製作されている。
[編集] 代表的なスプラッター映画
- 2000人の狂人 (Two Thousand Maniacs!, 1964年)
- 鮮血の美学 (The Last House on the Left, 1972年)
- 悪魔のいけにえ(The Texas Chainsaw Massacre, 1974年、殺人鬼:レザーフェイス)
- ゾンビ(Zombie Dawn of the Dead, 1977年。殺人鬼:ゾンビ(複数))
- ハロウィン(Halloween, 1978年、殺人鬼:ブギーマン〈マイケル・マイヤーズ〉)
- サンゲリア (Zombi 2, 1979年)
- 死霊のはらわた (The Evil Dead, 1981年)
- 食人族 (Cannibal Holocaust,1981年)
- 13日の金曜日(Friday the 13th, 1980年、殺人鬼:ジェイソン・ボーヒーズ)
- エルム街の悪夢(A Nightmare on Elm Street, 1984年、殺人鬼:フレディ・クルーガー)
- ZOMBIO 死霊のしたたり (Re-Animator, 1985年)
- デモンズ (Demons, 1985年)
- ブレインデッド (Braindead, 1992年)
- スクリーム(SCREEM, 1996年、殺人鬼:ゴーストマスク)
- バトル・ロワイアル(Battle Royale, 2000年)
- フレディVSジェイソン(FREDDY VS. JASON, 2003年、殺人鬼:フレディ・クルーガー、ジェイソン・ボーヒーズ)