トヨタグループ
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トヨタグループは、豊田自動織機を母体としトヨタ自動車を中心とした企業集団である。また、トヨタ自動車のサプライヤー、トヨタ自動車と縁が深い関連会社、などの意味で称されることもある。
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[編集] グループ企業
トヨタグループの部品サプライヤーにはアイシン精機やデンソーの様に、高い技術力が評価されて、トヨタグループ以外の自動車メーカーにも部品供給をしているメーカーが多い。
[編集] トヨタグループ13社
1895年に豊田佐吉が創業した豊田商店を系譜とする企業グループが(狭義の)「トヨタグループ」。
- 豊田自動織機 - 1926年に豊田佐吉が創業、トヨタグループの本家。又、トヨタ自動車を始めとしたグループ各社の大株主でもある
- トヨタ自動車 - 豊田喜一郎を中心として1933年に豊田自動織機製作所に開設された自動車部が起源(1937年に分離)
- 愛知製鋼 - 自動車用特殊鋼の研究開発を目的として1934年に豊田自動織機製作所に開設された製鋼部が起源(1940年に分離)
- ジェイテクト - トヨタ自動車工業から1941年に分離した豊田工機と、ベアリングのメーカーとして1921年に創業した光洋精工が起源(2006年に合併)
- トヨタ車体 - トラックボディの専門メーカーとしてトヨタ自動車工業から1945年に分離
- 豊田通商 - 1936年にトヨタ車の販売に対する金融を目的として創業(1920年創業のトーメンを、2006年に吸収合併)、総合商社第6位
- アイシン精機 - トヨタ自動車工業から1943年に分離した愛知工業と、1945年に創業した新川工業が起源(1965年に合併)
- デンソー - トヨタ自動車工業から日本電装として1949年に分離(1996年より現社名に変更)
- トヨタ紡織 - 1918年に豊田自動織機製作所の源流でもある豊田紡織を豊田佐吉が創立、戦時下(1943年)にトヨタ自動車工業と合併するが1950年に再度分離(1946年創業のアラコと1960年創業のタカニチを2004年に吸収合併)
- 東和不動産 - 1953年設立、非上場会社であり外部から株式を買い占められるリスクが低いことから、トヨタグループへの敵対的買収に対する防衛策としてトヨタグループの持株会社的な機能も担っている
- 豊田中央研究所 - 自動車関連技術の研究を目的として、1960年にトヨタグループの共同出資で創立
- 関東自動車工業 - 富士重工業や日産自動車の源流でもあり戦後解体された中島飛行機のエンジニアが1946年に創業、1950年にトヨタ車専門のボディメーカーとなる
- 豊田合成 - 戦時体制の企業整備令により1943年にトヨタ自動車工業のゴム部門が独立した国華工業名古屋工場を経て、1949年に創業
[編集] トヨタグループ15社
上記13社にトヨタ自動車の傘下である国内ボディメーカー2社を含めた企業グループが(一般的な)「トヨタグループ」。
- 日野自動車 - いすゞ自動車の前身であるヂーゼル自動車工業より日野製造所が1942年に分離、2001年にトヨタ自動車の傘下に入る
- ダイハツ工業 - 1907年に創業した日本で最も歴史の長いボディメーカー、1998年にトヨタ自動車の傘下に入る
[編集] トヨタグループ18社
トヨタ自動車の直轄工場と同列の国内生産子会社3社を含めて「トヨタグループ」と称することもある。
- トヨタ自動車九州 - 1992年創業、トヨタ自動車100%出資のボディメーカー
- トヨタ自動車北海道 - 1992年創業、トヨタ自動車100%出資の部品サプライヤー
- トヨタ自動車東北 - 1998年創業、トヨタ自動車100%出資の部品サプライヤー
[編集] トヨタ自動車の関連会社・関連団体
トヨタ自動車と縁が深い関連会社を含めて(広義の)「トヨタグループ」と称することもある。
[編集] 自動車製造関連会社
- 愛三工業
- 協豊製作所
- ジェータックス
- セントラル自動車
- 豊臣機工
- トヨタテクノクラフト
- 東海理化 - 2005年日本国際博覧会では上記15社以外で唯一、トヨタグループとして出展参加していた
- トヨタテクニカルディベロップメント
- パナソニックEVエナジー
- シンテックホズミ
- トヨタ輸送
- ヤマハ発動機 - 株式交換で、同社の発行した株の5%を保有している。
[編集] 住宅関連企業
[編集] 金融関連企業(トヨタファイナンシャルサービスグループ)
- トヨタファイナンシャルサービス(金融持株会社)
- トヨタファイナンス(TS CUBICカード)
- トヨタファイナンシャルサービス証券(トヨタFS証券)
- トヨタアセットマネジメント
- トヨタアカウンティングサービス
- あいおい損害保険
[編集] 情報通信・ITS関連企業
- ZIP-FM
- KDDI
- タス
- トヨタアイティー開発センター
- トヨタケーラム
- トヨタコミュニケーションシステム
- トヨタマップマスター
- トヨタデジタルクルーズ
- デジタルメディアサービス
- 日本緊急通報サービス
- ひまわりネットワーク
- ミュージックバード
- メディアクリック
- ラティス・テクノロジー
[編集] その他の関連企業
- 朝日航洋
- アドマテックス
- アムラックストヨタ
- エアフライトジャパン
- MTA
- オージェイティー・ソリューションズ
- カーテックフジ
- 蒲郡海洋開発(ラグーナ蒲郡)
- タクティー(ジェームス)
- トヨタエンタプライズ
- トヨタタービンアンドシステム
- トヨフジ海運
- トヨタユーゼック
- 長崎サンセットマリーナ
- BPA
- フォレスタヒルズ
- 富士スピードウェイ
- トヨタモデリスタインターナショナル
- ライフクリエイション
- デルフィス
[編集] 関連団体
- 中部エレクトロニクス振興会
- 中部経済連合会
- トヨタ財団
- 豊田市国際交流協会
- 名古屋グランパスエイト(Jリーグ)
[編集] 教育団体
- トヨタ学園
- トヨタ東京整備学園
- トヨタ東京整備専門学校
- トヨタ名古屋整備学園
- トヨタ名古屋整備専門学校
- トヨタ神戸整備学園
- トヨタ神戸整備専門学校
- トヨタ東京教育センター
- トヨタドライビングスクール東京
- トヨタ名古屋教育センター
- 中部日本自動車学校
[編集] トヨタ自動車の主な関係企業・外縁企業
[編集] 自動車ボディメーカー
[編集] 自動車関連サプライヤー
トヨタ自動車のサプライヤーを(広義の)「トヨタグループ」と称することもある。
- 協豊会 - 部品サプライヤーの任意団体
- 栄豊会 - 設備・物流サプライヤーの任意団体
[編集] 情報通信・ITS関係
[編集] 金融関係
[編集] トヨタグループの関連団体
- 産業技術記念館(トヨタテクノミュージアム)
- トヨタグループ13社による繊維機械と自動車の企業博物館
- トヨタ博物館
- トヨタ自動車運営であるが、トヨタ車以外の自動車や外国車も展示。
- 刈谷豊田総合病院
- 刈谷市ならびに刈谷市に所在するトヨタグループ7社により設立
[編集] 豊田綱領
豊田利三郎、豊田喜一郎らが豊田佐吉の遺訓としてまとめたトヨタグループ憲章。1935年10月30日(豊田佐吉の6周忌)に制定。
- 上下一致、至誠業務に服し産業報国の実を挙ぐべし
- 研究と創造に心を致し常に時流に先んずべし
- 華美を戒め質実剛健たるべし
- 温情友愛の精神を発揮し家庭的美風を作興すべし
- 神仏を尊崇し報恩感謝の生活を為すべし
[編集] 三大財閥(三菱・三井・住友)グループとの関係
グループの中核企業であるトヨタ自動車は財務体質が極めて優良であり(内部留保している資金が10兆円近くあるとされている)、トヨタグループは三大財閥(三菱・三井・住友)グループやメガバンク系グループとは一線を画する独立系の企業集団と見られている。
しかしそのトヨタ自動車(以下、本項では1950年から1982年までのトヨタ自動車工業・トヨタ自動車販売の両社も含めて「トヨタ」と総称する)は1949年のドッジ・ラインの影響で経営危機時に、当時のメインバンクであった住友グループの大阪銀行(後の住友銀行、現三井住友銀行(SMBC)。以下同)から融資を断られ、結局、日本銀行の斡旋で銀行団の融資を受けている。この時、三井グループの帝国銀行(後の三井銀行→さくら銀行、現SMBC。以下同)が日銀の要請に応じ、三菱グループの千代田銀行(後の三菱銀行→東京三菱銀行、現三菱東京UFJ銀行(BTMU))が拒否したことから、トヨタは三井グループを構成する二木会(グループ企業の社長会)・三井業際研究所(二木会直轄のシンクタンク)・綱町三井倶楽部(グループ企業の部課長クラス以上を会員とする社交クラブ)に加盟する一方、三菱グループとは一切の関係を絶っていた。トヨタグループと三菱グループとの間に再びつながりが出来るのは、海外事業関係で取引のあった東京銀行(現BTMU)が三菱銀行に合併されてからといわれる。また、1997年に三井グループのさくら銀行(旧帝国銀行→三井銀行、現SMBC)の経営不安説が流れた際は、トヨタに増資を要請する事態にまで陥った。いくらトヨタが優良企業で、かつて帝国銀行に経営危機を救ってもらったからとは言え、メーカーが銀行の救済をするというのは異例の事態であった。
- ちなみに、住友グループの大阪銀行の融資拒否の件以来、トヨタは住友グループとも関わりを断っていた。事実、プリンス自動車工業(現日産自動車)が経営危機に陥った際、トヨタは住友銀行から持ち掛けられた合併提案を拒んでいる。また、SMBC発足の際には、トヨタに対しかなりの根回しがなされた。商法の手続き上、住友銀行が存続会社となるためである。
一方、三井グループの帝国銀行と共に日銀の要請に応じてトヨタに融資した銀行の中には東海銀行(後のUFJ銀行、現BTMU)がある。また、トヨタ関連の企業の多くは本社のある愛知県を拠点とする東海銀行を長くメインバンクにしていた。この関係から、トヨタはUFJホールディングス(UFJHD)設立時にその大株主となった(なお、ダイハツ工業は、東海銀行と合併してUFJ銀行(現BTMU)となる三和銀行をメインバンクとしており、三和銀行の大口取引先で構成する「みどり会」のメンバーである。トヨタにとっても、三和銀行は準メインバンクと位置付けられていた。)。
上記の事情から、トヨタグループは三井グループのメンバーであると共に、UFJグループとも密接な関係にあるとされてきた。
不良債権問題を背景とする銀行再編成の渦中で、経営困難に陥ったUFJHDの救済に三井グループ・住友グループの三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と三菱グループの三菱東京フィナンシャル・グループ(MTFG)が名乗りを上げていたが、UFJHDはMTFGとの合併を選んだ。また同時期、東京三菱銀行(現BTMU)はリコール隠し問題で経営危機に陥った三菱自動車工業の再建策の一つとしてトヨタとの合併を検討していた。さらに2005年に入り、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱重工業は相次いで、トヨタグループから社外取締役を迎えている(MUFGには日野自動車元会長の大木島巖(UFJHDから続任)、三菱重工業にはアイシン精機元会長の和田明広が取締役として入った。両氏は共にトヨタ副社長経験者である)。この結果、トヨタグループは三井グループの一員でありながら、同グループとは歴史的ライバル関係にある三菱グループにも接近する事になり、トヨタと三菱グループとの過去の関係や、事情も絡んで、三大財閥(三菱・三井・住友)グループとの関係が注目されている。
[編集] 関連項目
- トヨタ生産方式(Toyota Production System;TPS)
- 「ジャストインタイム(Just In Time;JIT)」と「(にんべんのついた)自働化」を柱とする、トヨタ自動車およびトヨタグループの生産技術。
[編集] 外部リンク
- トヨタ自動車株式会社 グローバルサイト
- 企業情報>グループ・サプライヤー - トヨタグループの表では、源流13社と、日野・ダイハツを加えた15社の間に境界線がある
- 産業技術記念館 - トヨタグループ13社の企業博物館
- トヨタグループの系譜図 - トヨタグループ13社の各企業生成の系譜
- 協豊会 - トヨタ自動車の部品サプライヤーの任意団体