メルセデス・ベンツ Aクラス
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メルセデス・ベンツ Aクラス(エークラス)は、ドイツの自動車メーカーダイムラー・クライスラー社がメルセデス・ベンツブランドで展開する乗用車の車種である。
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[編集] 概要
Cセグメントに属し、メルセデス・ベンツのエントリーモデルに位置づけられるハッチバック型のコンパクトカーである(メルセデス・ベンツのカテゴリーでは「コンパクトクラス」、米国カテゴリーでは「スーパーミニ」)。同じプラットフォームを使用した派生車種としてミニバンタイプのBクラスとバネオが存在するが、Aクラスと同じプラットフォームを利用したセダン、オープンカー、クーペタイプの車種は発売されていない。
Aクラスのボディはもともと蓄電池や燃料電池を動力源とした電気自動車用として設計、開発された経緯がある。そのため、それらを搭載するため、フロアが二階建て構造となっているのが特徴。しかし、実際には、燃料電池の開発の遅れ、車載タンク容量の問題、インフラ整備の遅れなどの水素がらみの問題が解決されず、結局ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンを搭載したメルセデス・ベンツ初のFF車としての販売がメインとなった。
だが、二階建て構造はそのまま残され、前突の場合、エンジンマウントが破壊され、エンジン、トランスミッションが床下(本来の電池室)に潜り込むことで、短い車体ながら生存空間を捻出し、高い衝突安全性を誇る。
メルセデス・ベンツが発売する車種の中で最もサイズが小さく、安価に設定されている。それまで最も安価な車種であったCクラスの約2/3の価格でAクラスが発売されたため、メルセデス・ベンツのブランディングに非常に大きな反響があった。これは、日本でメルセデス・ベンツのブランディングが確立した1990年代までの「Das Besten oder Nicht(最善か、無か)」の時代と比較して、半額程度で新車が購入できることを意味している。
しかし、日本の市場は高額車と低価格車に二極分化しつつあるため、メルセデス・ベンツの2006年上期の販売台数クラス別ランキングでは、4位となっており(1999年は1位)、Cクラスなどと比較しても半分程度の台数しか売れていない。なお、1位はEクラス、2位はSクラス、3位はCクラスである。
また、Aクラスベースの燃料電池車「F-Cell」は日本、米国、ドイツなどに計60台が納入され、排気ガスを出さない最もクリーンな自動車として活躍している。
[編集] 歴史
[編集] 初代(1997年~2005年)W168
初代は1997年に登場したが、その構造から、フットプリント(ホイールベースΧトレッド)に対し、静的重心がやや高くなる結果となり、メディアが行ったエルクテストでは転倒の危険が発覚した。そのため、販売開始早々リコールされ、対策としてタイヤサイズを見直し、ESPを標準装備とし、ブレーキ個別制御で速度と姿勢を抑える方法を採った。しかし、「メルセデス・ベンツにあるまじき失態」と世界中で報じられることになり、この事件は世界中に報道されたばかりでなく、多くの報道記事において、同時期に発売されその品質の低さと完成度の低さで酷評されたMクラスの失態と並んで報じられたこともあり、大きく評価を下げることになってしまった。
日本では1998年に新開発の1.6L 直4エンジン搭載「A160」の販売が始まった。その後、1999年に1.9Lエンジンを積む「A190 アバンギャルド」、2001年に「A160」の装備を充実させた「A160 エレガンス」、2003年にロングホイールベース仕様の「A160 エレガンス ロング」が追加された。
いずれも右ハンドル仕様のみ、価格は236~278万円である。
- A190 アバンギャルド:1.9L 直列4気筒SOHCエンジン(125ps/18.4kgm)、5速AT、駆動方式はFF。
- A160/A160 エレガンス/A160 エレガンス ロング:1.6L 直列4気筒SOHCエンジン(102ps/15.3kgm)、5速AT、駆動方式はFF。
[編集] 2代目(2005年~)W169
2005年にフルモデルチェンジし、2代目が登場した。基本的には初代からのキープコンセプトであるが、内装の質感が大幅に向上し、エクステリアもスポーティー感を演出するものとなった。
日本では2005年2月に「A170」「A170 エレガンス」「A200」が発売され、11月に「A200 ターボ アバンギャルド」が追加された。
エンジンは新設計の1.7Lおよび2.0L 直4エンジンで、トランスミッションには全車メルセデス・ベンツ初の7速マニュアルモード付きCVTが採用されている。
同排気量の国産車と比べ、最高馬力では劣るものの、太いトルクを幅広い回転数で発揮するため、実質的には運転しやすくなっている。これはメルセデス・ベンツが街中での扱いやすさを本気で考えた結果とも言え、特に「A200 ターボ アバンギャルド」のエンジンは1800rpm~4850rpmで最大トルクを発生し続ける。
いずれも右ハンドルが輸入されており、価格は252~350万円。
また、全高は1595mmであり、タワーパーキングでは、僅かの差で入らない所が多い。
- A200 ターボ アバンギャルド:ターボチャージャー付き 2.0L 直列4気筒SOHCエンジン(193ps/28.6kgm)、CVT、駆動方式はFF。
- A200 エレガンス:2.0L 直列4気筒SOHCエンジン(136ps/18.9kgm)、CVT、駆動方式はFF。
- A170/A170 エレガンス:1.7L 直列4気筒SOHCエンジン(116ps/15.8kgm)、CVT、駆動方式はFF。
[編集] 競合車種
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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Type | Class | 1980年代 | 1990年代 | 2000年代 | |||||||||||||||||||||||||||
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
Supermini | A | W168 | W169 | ||||||||||||||||||||||||||||
Compact | C | W201(190E) | W202/S202 | W203/S203/CL203 | W204 | ||||||||||||||||||||||||||
Mid-size | E | W123 | W124 | W210 | W211 | W212 | |||||||||||||||||||||||||
CLS | W219 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Full-size | S | W126 | W140 | W220 | W221 | ||||||||||||||||||||||||||
マイバッハ | W240 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Roadster | SLK | R170 | R171 | ||||||||||||||||||||||||||||
SL | R107 | R129 | R230 | ||||||||||||||||||||||||||||
Coupé | CLK | C208/A208 | C209/A209 | ||||||||||||||||||||||||||||
CL | W126 | C140 | C215 | C216 | |||||||||||||||||||||||||||
Supercar | SLR | C199 | |||||||||||||||||||||||||||||
SUV | G | W460/W461 | W463 | ||||||||||||||||||||||||||||
Crossover SUV | GLK | GLK | |||||||||||||||||||||||||||||
M | W163 | W164 | |||||||||||||||||||||||||||||
GL | X164 | ||||||||||||||||||||||||||||||
MPVs | Vaneo | W414 | |||||||||||||||||||||||||||||
B | W245 | ||||||||||||||||||||||||||||||
V(Viano) | W638 | W639 | |||||||||||||||||||||||||||||
R | W251 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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