ヨドバシ梅田
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ヨドバシ梅田(ヨドバシうめだ)は、大阪府大阪市北区大深町(JR大阪駅前)にある複合商業施設で、大手家電量販店ヨドバシカメラマルチメディア梅田をはじめ、多数のテナントが入居している。
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[編集] 開業までの経緯
元々は旧大阪鉄道管理局(JR発足時のJR西日本本社社屋)が置かれていた場所だが、旧国鉄の債務減らしのため、便利で地価が高い一等地を明け渡すことになり、JR西日本本社が現在の本社社屋(大阪市北区芝田2丁目)への移転後の1992年に取り壊された。バブル期は隣接の梅田貨物駅敷地も含めて在阪放送局各社を全て集約するなどの構想があったが景気低迷で頓挫し、永らく更地のままとなっていた(一時期ドーム型ゴルフ練習場や木下大サーカス会場が設置されるなどしていた)。
その後1997年になってようやく土地の競争入札が行われ、当初は三越やパルコによる落札が有力視されていたが、結果は大方の予想を裏切り、ヨドバシカメラが1010億円で落札した。
[編集] 大阪梅田出店の理由
- ヨドバシカメラは首都圏(東日本)を中心に店舗を展開してきたが、空白地域である西日本に店舗展開するための足がかりとして大阪に大型店舗を作る必要があった。
- 大阪駅・梅田駅は関西最大(国内4番目)のターミナル駅であり、集客が期待できる。
[編集] 大阪梅田出店への懸念材料
- 当時の売上高が2千数百億円のヨドバシカメラにとって1010億円の土地の落札価格はあまりにも高額で、採算性を疑問視された。
- 当時の関西地区でのヨドバシカメラの知名度はかなり低く、どのような商業施設になるのか不安視された。
- 三越の出店を望んでいた人が多く、それを阻んだヨドバシカメラへの反感さえあった。(なお、三越は2011年に大阪駅北側の駅ビルに出店する。)
- 関西地区の家電販売店では、店員との価格交渉による現金値引きが主流となっていたため、値札からの値引きを一切行わない関東式のポイントカードシステムでは、関西人は敬遠すると思われた。
その後、ヨドバシカメラは同地に商業棟(地上12階・地下2階)・オフィス棟(地上35階)の2つのビルを建設する計画を発表し、2001年には商業棟が開業。一方オフィス棟については2006年現在未だ着工に至っておらず、計画が白紙撤回される可能性もある。
多くの懸念にもかかわらず、実際には開業以来「梅田の人の流れを変えた」と言われるほど来客数は多く、梅田の新名所となっている。
[編集] フロアガイド
- 13F - 9F 立体駐車場
- 8F レストラン街(Restaurant Zone・Yodobashi the Dining)
- 7F~6F Fashion Zone
- 7F~1F コムサストア梅田店
- 7F JUMPSHOP(コムサストア内)、ユニクロヨドバシ梅田店(「Fashion Zone 7」内)
- 5F ライトオン梅田店(コムサストア内)
- 5F~B2F ヨドバシカメラ
- 2F~B1F りそな銀行梅田北口支店
- 1F ヴィ・ド・フランス(山崎製パン系のカフェ)、サンマルクカフェ、ソフトバンクヨドバシ梅田
- B1F エクセルシオール カフェ
- B2F ワールドカレンシーショップ(外貨両替店舗)
- B3F 荷捌場
開業当初はB1F~4Fがヨドバシカメラの売場であったが、後に、4Fにあったゲーム・おもちゃ売場を5Fに移動(売場拡大)させた。B2Fは、食料品売り場(グルメディア食品館)であったが、いかりスーパーマーケット(JR大阪駅御堂筋口)や成城石井(阪急梅田駅、Whity梅田)との競争に晒されていたことや売上不振のため、2005年6月に閉鎖した。そして、2006年7月20日、5Fにあったゲーム・玩具・自転車売場が移転したが、同年11月10日に、ゲーム・玩具売場が5Fに面積を大幅に拡大して再移転している。また、同年9月30日をもって、1Fの「opti cafe」および5FのFashion Zone部分の全店舗が撤退または移転した。ちなみに食料品売り場の跡地には自転車・文具売り場となっている。
2006年12月15日には、7Fの東側に「ユニクロ」の大型店が出店した。
[編集] ヨドバシカメラマルチメディア梅田
ヨドバシ梅田の核テナントで、ヨドバシカメラの関西地区1号店として2001年11月22日に開業した。開業初日は22万人もの来客数があり、その翌日からの三連休(11月23日~11月25日)では95万人以上(三日間の合計)の来客数を記録した。マルチメディア梅田は「デパートみたいな建物、広い売場、豊富な品揃え」に加え、「カフェ、レストラン街、ファッション衣料雑貨専門店の併設」というこれまでの家電量販店のイメージを覆すものであり、業界に大きな衝撃を与えた。開業以降、関西地区の家電量販店の勢力図は激変し、いまや関西はおろか、国内の家電量販店最大の売上高、来客数を誇るまでになった。そのような状態の中、2006年3月10日、大阪・難波地区にヤマダ電機の都市型店舗「LABI1 なんば」が開業し、大阪地区での家電量販店同士の競争がいっそう激しくなってきているが、現状ではヨドバシ梅田が圧倒的にリードしている。
[編集] 「マルチメディア梅田」の特徴
- 関西最大のターミナル駅前立地
- 1000台分の駐車場
- 梅田地区に立地しながらも1000台分の駐車場があることにより、車での来店にも対応できる。そのため遠方からの来客も多い。
- カフェ、レストラン街、ファッション衣料雑貨専門店の併設
- 梅田地区唯一の大型家電量販店
- 外国人観光客の来店
- 大阪・関西地区を訪れた外国人観光客の来店が多いのも特徴で、店内の案内放送は日本語のほかに英語・フランス語・中国語・韓国語等のものが用意されており、地下2階には三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の外貨両替専門店「ワールドカレンシーショップ」もある。
[編集] 「マルチメディア梅田」の成功要因
- 周りに競合店舗が無かった
- 実際には家電では阪急梅田駅の真下にある地下街「阪急三番街」に上新電機の店舗があり、又JR大阪駅高架下にはソフマップの店舗もあるものの、大阪駅周辺には所謂「大型総合家電量販店」は皆無だった。(仮にヨドバシカメラでなく他の家電量販店が出店していたとしても、恐らく今のヨドバシ梅田同様に成功していた可能性はある)加えて大阪・梅田地区の周辺環境を考えても、今後ヨドバシ梅田同等クラスの店舗を出店出来る土地も場所も無い為、ここ暫く関西地区ではヨドバシ梅田の1人勝ち状態が続くと思われる。
- 交通アクセスの良さ
- 阪神梅田駅や地下鉄四つ橋線西梅田駅からは多少離れているものの、地下鉄御堂筋線梅田駅・阪急梅田駅・JR大阪駅からは地下道で直結している。また道路アクセスにおいても極めて良好で、阪神高速道路の梅田ランプ(池田線方面を除く)と福島ランプ(池田線)に近い。
- 豊富な品揃え
- 「大阪の電気街」として有名な日本橋にあった各家電量販店の店舗の品揃えをも凌ぎ、恐らく単独店舗では関西地区において過去最大級の品揃えをしてると言っても過言ではないだろう。上記の阪急三番街にある上新電機の店舗も然程広い売り場面積ではない為、実際はヨドバシ梅田に消費者が集中してると言える。また近年はユニクロもテナントとして進出し、家電系以外でも文房具や自転車、ファッション系もかなり充実している。特にファッション系に関してはHEP FIVEや阪急百貨店などといった阪急系の商業施設との競合が激しい。
- ポイントカードシステムの定着
- 店員との価格交渉による現金値引きが主流となっていた大阪の商習慣に対してポイントカードシステムが定着するかが懸念されたが、開業当初は通常10%以上であるポイント還元率を13%以上(最大20%)に設定。ポイント還元を値引きとして考慮すると、他店に比べて安い(当時)ということもあって急速に定着し、ポイントカード利用のリピート客を増やすことに成功した。また、関西でも若年層や女性を中心に、従来の値引き交渉は面倒で不公平と思われていたことも一因である。ポイントカードの制度は後に既存の関西地区の業者(上新電機、ミドリ電化)でも導入し、店での値引きとの共用を計っていった。
- 東京色を薄め、抵抗感を持たせなかった
- 同店のテーマソングは大阪に合わない(山手線は大阪に存在せず、中央線は大阪では地下鉄線であり、なおかつ梅田を通らない)ため、開店当初はメロディーだけを流していた(後に梅田専用の歌詞が作られた)。また、「山の手くん」や「中央くん」などの東京の鉄道路線の電車にちなむキャラクターも「環状くん」や「御堂筋くん」等の大阪の電車にちなむキャラクターに変更された。一方のビックカメラが店舗前の道路を勝手に「ビックカメラ通り」と命名し反感を買った事とは好対照であった。
[編集] 「マルチメディア梅田」で懸念されている問題
- 規模が縮小される一方のアダルトソフト売場
- 店舗自体が国内最大級の売上高と来客数を誇るにもかかからず、アダルトソフトだけは品揃えが豊富とは言い難い。特にアダルトゲームに関しては現在はパソコンソフト売場ではなく、アダルトビデオ売場と統合してDVDソフト売場片隅の極めて狭いブース内に隔離するなど、その扱いが問題視されている。アダルトビデオにしても統合の影響か、新作入荷ラインナップに抜けがあり、その為に客足が遠退いて不良在庫が溜まるなど、悪循環を引き起こしている(元々、店舗の明るい雰囲気からしてアダルト目的の人は入り難いので、やむを得ないところではある。また、これは梅田に限らず新宿・Akibaなどヨドバシ共通の特徴とも言える面もある)。
- 周辺道路の混雑
[編集] 「マルチメディア梅田」開業による影響
- 日本橋電気街(でんでんタウン)の来客数が減少し、多くの店舗が閉鎖し、その跡は現在次々とマンションになりつつあり、メイド喫茶やアダルトグッズショップに転用される例も増加している。
- 大阪地区の家電量販店同士の価格競争が激しくなった。
- 梅田地区の人の流れが変化した。
- ヨドバシカメラのインターネット通販、「ヨドバシ ドットコム」の関西地区での利用者が増加した。
[編集] 店舗データ
(来客数以外は2006年3月10日の日経MJの記事による)
- 売場面積 22000平方メートル(ヨドバシ梅田全館の売場面積は約50000平方メートル)
- 駐車場 1000台収容
- 年間売上高 約1200億円(推定・ヨドバシカメラはもちろん、日本の家電販売店で最大の売上高)
- 従業員数 460人(メーカー派遣販売員を除く)
- 投資額 約1500億円(うち土地1010億円)
- 来客数 平日8~10万人 土曜・休日10~15万人(ヨドバシ梅田全館) ※ヨドバシAkibaのテナント募集のサイト(ヨドバシ梅田のホームぺージからリンクできた。現在は閉鎖)に参考資料としてヨドバシ梅田の来客数が記載されていた。
[編集] CM・広告
ヨドバシカメラマルチメディア梅田のCMソングが作られたのは開業から約一年後である。テレビCM(30秒版)や店内放送で聴けるほか、Yodobashi Vision(後述)でも流れている。テレビCMは在阪民放局で流れているが、現在のところ関西ローカルでの提供番組はなく、スポットCM(15秒・30秒)が中心である。最近では首都圏の既存店同様、電車をモチーフとしたキャラクターが登場し、こちらは「環状くん」(大阪環状線)、「阪神くん」(阪神電車)、「御堂筋ちゃん」(地下鉄御堂筋線)が使われている。
- テレビCM放送局 毎日放送 朝日放送 関西テレビ 読売テレビ テレビ大阪
- ラジオCM放送局 ABCラジオ MBSラジオ fm osaka FM802
- ラッピング(全面広告)バス 大阪市営バス(中津営業所所属の車両で4両ある。おもに大阪駅前発着の36・43・53・58・92・97系統等で運用されている。)
- 車内アナウンス 大阪市営地下鉄御堂筋線車内(梅田駅到着前)にて、「△△、ヨドバシ梅田、ヨドバシカメラマルチメディア、○○、へお越しの方は次でお降りください。」とアナウンスされる。(△△、○○は他社名)
[編集] 交通アクセス
日本国内第4位の乗降客数を誇る大阪駅・梅田駅(西梅田駅・東梅田駅・北新地駅含む)から近く電車利用が便利である。(雨にぬれずにいくことができる。)
[編集] 最寄駅
- JR大阪駅(御堂筋北口)より徒歩2分
- JR東西線北新地駅より徒歩8分
- 大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅(北改札)より徒歩1分(ヨドバシ梅田地下1階と直結)
- 大阪市営地下鉄四つ橋線西梅田駅 大阪市営地下鉄谷町線東梅田駅より徒歩7分
- 阪急梅田駅より徒歩2分
- 阪神梅田駅より徒歩5分
[編集] 駐車場・駐輪場
1F平面駐車場(オフィス棟建設予定地)と9F~13F立体駐車場があり、計1000台収容できる。土曜・休日になると、周辺の道路が混雑し、入出庫に時間を要することがあるので注意が必要である。また、二輪車用駐車場も完備されているものの、収容可能台数が十分とは言えず、出入り口が車道から遠く離れたところにあり、さらに二輪・自転車共用である為、特に大型サイズの二輪車は入出庫に苦労を強いられる。2006年6月以降、二輪車用駐車場の利用が急増し、満車状態になることが多く、二輪車が出入り口前で入庫待ちしているケースがみられる。これは2006年6月1日からの改正道路交通法の施行(駐車違反取り締まりの民間委託)の影響によるものと思われる。(2006年7月上旬に二輪車用駐車場は拡張されている。)
[編集] Yodobashi Vision
ヨドバシ梅田1階東側にある大型カラービジョンで待ち合わせ場所としても利用され、立ち止まって視聴している人も多い。愛称は「ヨドび梅田」。
Yodobashi Visionで放送されている内容は、2006年7月現在では以下の通りであったが、同年9月頃に放映内容が一新され、現在ではヨドバシカメラの商品おすすめランキングや、大阪府警察の啓発広告などを流している。なお、リニューアルを機に、番組間のつなぎ映像も一新され、この映像が流れる間だけは画面左上隅で秒単位までの時刻出しが行われるようになった。
[編集] 主なCM
[編集] 広報番組
- 大阪市
- 大阪府警
[編集] NHK番組
[編集] その他
- 星座占い、雑学クイズ等
- Radical Video Jockey(新作映画・DVD・音楽CDなどの告知番組。戎橋前「TOMBORI STATION」と同時放送)
- ヨドバシカメラマルチメディア梅田CMソング 等
[編集] 過去に放送されたCM等
皮肉なことに、大阪鉄道管理局跡地の入札に敗れた三越がこのようなCMを流した。