ラピート (列車)
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ラピート(rapi:t)とは、南海電気鉄道が難波駅~関西空港駅間を南海線・空港線経由で運行する特急列車である。
JR西日本の「はるか」に対する、関西国際空港へのアクセス特急として登場した。
名称の「ラピート」とは、一般公募で選ばれた「速い」という意味のドイツ語"rapid"が由来だが、その奇抜なスタイルから"鉄人28号"というニックネームを運転開始当初から使われていた。
なお、同じ区間を運行する急行列車が「空港急行」と称される別立ての種別で運行されることから、「空港特急」とも称される。
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[編集] 運行形態
速達タイプは「ラピートα(アルファ)」、途中停車駅がサザンと同一系統のタイプは「ラピートβ(ベータ)」と称される。昼間時~夜間は「ラピートβ」のみが毎時2本運転されている。また、「ラピートα」は平日朝の下りのみ(難波7:00, 8:00, 9:00発の3本)設定されており、ビジネス特急としての位置づけとなっている。
2005年11月26日以前は昼間時にも「ラピートα」が運転されており、「ラピートα」と「ラピートβ」が交互に毎時1本ずつ運転(但し、朝の時間帯の上り、夜の時間帯の下りについては「ラピートβ」のみが毎時2本運転)されるダイヤであった。
[編集] 停車駅
南海本線も参照のこと。
- ラピートα:難波駅 - 新今宮駅 - 天下茶屋駅 - 泉佐野駅 - りんくうタウン駅 - 関西空港駅
- ラピートβ:難波駅 - 新今宮駅 - 天下茶屋駅 - 堺駅 - 岸和田駅 - 泉佐野駅 - りんくうタウン駅 - 関西空港駅
[編集] 車両・設備
使用車両は、専用の50000系電車6両編成で、全車座席指定制を採用し、うち2両が特別席「スーパーシート」である。スーパーシートではデビュー当初飲み物(缶入り烏龍茶)が提供されたが、成田エクスプレスなどで過去にも見られたように、レギュラーシートへ勝手に持っていったり、本数制限が無く3本飲めばスーパーシートの特別料金250円分の元が取れることから大量にもっていく客が多く廃止された。
なおこの烏龍茶の話として有名なのが、1995年頃、宮川大助・花子の漫才の中で金属探知機が何度も鳴るからスーツケースを開けてみたら、ラピートで提供されていた缶入り烏龍茶が大量に出てきたと言う、笑うに笑えないネタもあった。宮川大輔・花子夫妻の娘が留学の為、関空から旅立ったその時の話を元にしている。また、関西のTV番組でドキュメンタリーとして放送されていた。
[編集] 利用状況
- 登場当初はJRの「はるか」に比べ話題・快適性共に勝り、利用状況も好調だったものの、やがてブームの終焉に伴い利用者は低迷を始めた。首都圏に比べて渋滞の少ないことや、運賃の安さによるリムジンバスの人気もあること、また大阪方の始発駅が「なんば」であり、新幹線乗換駅(新大阪・京都)まで行けないこと(「はるか」は大阪環状線や貨物線を通ることで直通している)、関西国際空港自体の不振などが原因。区間利用を見込んだ停車駅の増加や往復割引、泉佐野~関西空港間をレギュラーシート利用の場合の特急料金100円などの手を打っているが、空いていることも少なくない。主にラッシュ時に主要駅に停車することから、特に難波~泉佐野ではかなりの乗客が乗っている一方で、昼間は2割以下の乗降客数の場合もあり、ことに空港アクセス客の利用に乏しく、本線沿線や空港関係者の通勤・ビジネス用特急という利用形態が中心となっている。
- 一時は中間車2両を外して4両編成で運転することも考えられたが、編成組み替えにかかる費用が経済的効果に見合わないと判断され、組み替えを諦め6両のままで運転されている。
- スーパーシートにおける飲み物提供の廃止(前述)など経費削減に努めているが、これが逆に利用者に割高感を感じさせ評判を悪くするなど、苦戦している。
- 弱点であるネットワークの狭さを解消するため計画中のなにわ筋線への乗り入れが構想されており、大阪市の答申にもこの話は含まれているものの、現時点で同線の工事開始に関する状況は不透明である。
- ただ、騒音問題から伊丹空港発着の旅客便の一部が関西空港に振り替えられたこともあり、それまで一日4,000人台で低迷していた利用客数は2006年には5,000人台に戻るなど、回復基調にある。
[編集] 企画乗車券・特急券類
本列車は種別名として空港特急を称することでも分かるとおり、関西国際空港へのアクセス列車だが、南海線内のみの利用も勘案されており、その為に以下のような企画乗車券類を発行している。
[編集] ラピートCきっぷ
2人分の乗車券とラピートのレギュラーシートの特別急行券をセットにした割引乗車券である。
二人での旅行やビジネスに使えるこの切符は、難波駅、新今宮駅、天下茶屋駅~関西空港駅までの片道乗車券とラピートのレギュラーシートの特急券がセットになっている。南海が発売しているが、同社の駅では発売しておらず、関西・中国地方・四国地方のローソンのLoppiやファミリーマートのFamiポートで購入できる。
- 購入方法
- Loppiではメニューから「トラベル/宿泊」→「交通チケット(レンタカー/船等)」→「その他」から選ぶか、商品番号の0101685をタッチすれば購入画面に進む。
- Famiポートでは、Loppiと同じ商品番号を入力することで購入画面に進むことができる。
- 利用する際の注意
- コンビニで購入できるのは引き換えクーポンのため、利用する前に切符に引き換える必要がある。クーポン本体の有効期間は1ヶ月。
- クーポンの払い戻しはJTBHTAセンターで取り扱う。
- 列車変更等には制限がある。
[編集] ラピート得ダネ往復券
本列車利用に際しての往復乗車券と特別急行券がセットになっている往復券である。
こちらも上記と同じくラピート専用で、発売区間も上記と同じ。国内旅行者や韓国や中国などへの旅行者に売り込んでいる。
- 有効期間
- 往路の乗車日から8日間。購入時に往復の列車を指定する。
- 発売料金
- レギュラーシート用・・・2,240円(通常2,780円)
- スーパーシート用・・・2,640円(通常3,180円)
[編集] ラピート得10回数券
本列車利用に際して乗車券と特別急行券をセットになっている回数乗車券である。
商品名どおり、乗車券と特別急行券が10枚つづりのセットになっている。レギュラーシート用とスーパーシート用の2種類が用意されていて、1枚ずつでも利用ができる。DAY5特急回数券とは違い、有効期間内であればいつでも利用できる。
- 有効期間
購入日の3ヵ月後の月末。購入のタイミングがよければ最長で4ヶ月。
- 発売料金
- レギュラーシート用・・・通常の10回利用で13,900円だがこの回数券では11,900円。
- スーパーシート用・・・通常の10回利用で15,900円だがこの回数券では13,900円。
- 利用する際の注意事項
- 利用する際には特急券発売窓口で特急券・座席指定券に引き換える必要がある。ホーム上の自動販売機では購入できない。
- 払い戻しや列車変更等については制限がある。このきっぷ自体の払い戻しは、利用していなければ行える。
以上の各種割引乗車券の宣伝には、「関空へはラピートがはるかにお得」が使われている。
[編集] 沿革
- 1994年9月4日、関西国際空港開業に伴い運行開始。
- 当初は、αは速達列車として難波駅~関西空港駅間無停車、βは途中駅として新今宮駅・堺駅・岸和田駅・泉佐野駅に停車していた。
- 1996年10月26日、β天下茶屋駅に停車開始。夕方以降の下りのαをβに変更
- 2001年3月24日、αの一部新今宮駅・天下茶屋駅に停車開始。同時に特急料金を従来の510円から500円に変更。
- 2003年2月22日、全列車新今宮駅・天下茶屋駅・泉佐野駅・りんくうタウン駅に停車開始。
- 2005年11月27日、α平日の朝の下り3本のみの運転、他は全てβに統一。同時に泉佐野駅~関西空港駅間の特急料金をレギュラーシート利用の場合に限り100円に変更。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 空港特急ラピート(南海電気鉄道公式サイト内)
- 南海電気鉄道50000系「ラピート」~ 関空特急、デザイン系? ~(乗り物図鑑)
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