ルパン三世 (架空のキャラクター)
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ルパン三世(ルパンさんせい)は、モンキー・パンチの漫画、ならびにこれを原作とするアニメ『ルパン三世』シリーズに登場する架空の人物で、アルセーヌ・ルパンの血を受け継ぐ天才的大泥棒(なお、3世やIII世という表記は誤り)。アニメでのオリジナルキャストは山田康雄。山田没後は栗田貫一が声を務める。
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[編集] プロフィール・人物像
- 身長:179cm
- 体重:63kg
- 血統
- モーリス・ルブランの連作小説『怪盗ルパン』の主人公「アルセーヌ・ルパン」の孫であり、同じく怪盗である。下の名前については不明だが、祖父と同じアルセーヌだという説がある。
- 犯行の動機
- 祖父と同様、卓越した技量を持った泥棒であるが、祖父にあった紳士らしさや愛国心はない。宝をコレクションにする事よりも、鮮やかな手口で盗み出す事自体に生き甲斐を感じている。また泥棒行為を行う対象は、通常単なる現金よりも由緒ある宝石・財宝や美術品等であることが多く、それらを厳しい警備等の困難な状況下で鮮やかに盗み出す過程が、物語の縦糸としての筋立てになることが多い。芸術品に対する審美眼はかなりのものである。
- 身体能力・特徴
- 身体は痩体長身かつ軟体。両手足の関節も器用であり、多少だが身長を偽装できる。短髪で額が狭く、長いもみ上げを生やし、服装はジャケットにネクタイが(原作初期の数話を除いて)定番。奥歯には装置があって機械を操ったりするのでサイボーグと疑われる場合もある。
- 素顔:不明
- 『ルパン三世・新冒険』、『新ルパン三世』には、通常素顔とされている顔も変装であり、声も偽装、性別も不明とされている。なお、オリジナル設定での彼は、美男子という設定であった。銭形曰く「しゃくれたモンキー面」が定着したのはTV第2シリーズの途中から。シリーズ終盤において表示された手配写真は、殆どモンキー面に近いものとなっている。アニメでは作画によってはきりっとした感じになったりする。(一時期銭形と顔が似てる時期があった。)ただし、携帯公式サイトでは銭形警部が「奴の素顔はこれだ」と言ってモンキー面を素顔と言っている為、現在ではこの設定はあやふやになっている。
- 仁義
- 普段は義賊として振る舞い、善人の金には一切手をつけず、基本的には不必要な暴力および殺人を避ける。その証拠として、拳銃の一発目はいつも催眠弾であると本人が語っている(『ルパン三世 PartIII』第37話)。警官と女は殺さないことをモットーにしているが、非道な敵や自分の命を狙うものに対しては、たとえ女性であろうとも容赦しないダークな部分も持ち合わせている。このため、血を見るのが好きな残虐な殺し屋、悪辣な金持ち、他の手段を選ばない類の盗賊と争うこともしばしばである。
- 学歴
- 原作第46話で、過去に東西京北大学へ入学していた事が判明したが、卒業か中退かは描かれていない。大学では電子医学部に在籍し、義賊部を設立、処女非処女を見分ける識別薬を研究した(原作第64~66話)。服装は角帽に学生服のバンカラ派であった。他の生徒の裏口入学を暴くなど正義感の強い一面もあるが、無許可で教室をディスコにして退学になりかけるなど、型破りな性格が騒動の原因になることもあった。この話では銭形警部が大学の先輩という設定。
- 嗜好:カワイ子ちゃん、金、貴重なお宝(ルパン三世 お宝返却大作戦!!)で判明)
- 女たらし且つ三枚目であり、特に女性に対して甘く、失敗を繰り返す憎めない性格であるが、時にその性格が心を閉ざしていた女性の心を氷解させる魅力にもなる。また、外見に合わず、かなりのプレイボーイである。TV第2シリーズからは、声優である山田康雄(当時)がアドリブを多用、彼の個性がルパンのキャラクターに反映されるようになり、原作漫画に比べてややおちゃらけた感じになっている。
- 女性好きに関しては、普段は不二子に夢中である。不二子に騙されて盗みを働く事が非常に多い。ただし、義賊としてのプライドまでは完全に失っておらず、善人から物を盗る事は、たとえ不二子が色仕掛けで迫ってきたとしても拒否するという信念がある。また、「不二子を信用するなんて、ドジな野郎だ」「女と金はな、この手に抱くまで信じちゃいけねえ」などと不二子との関係を弁えているつもりのようだが、実際には不二子やその他の美女に騙されるケースが非常に多い。(女は滅多な事では殺さない主義だったようだが、『ルパン三世 天使の策略 ~夢のカケラは殺しの香り~』 でだまし討ちにしようとした女を射殺している。)
- また、不二子以外にカワイコちゃんが登場すると不二子の事はまったくと言って良い程眼中に無い状態になる。そのためか、劇場映画第二作『ルパン三世 カリオストロの城』では不二子はヒロインのクラリスに対し、一時は「恋人だったこともあった」と話しながらも彼女に「気を付けたほうがいいわよ。彼、生まれながらの女たらしだから」と言っていた。その不二子には「無教養」と馬鹿にされがちだが、逆に不二子をルパン達が出し抜く事もある。
- 仲間:次元大介、峰不二子、石川五ェ門、その他多数
- 但し、事の成り行きによってはそれぞれと敵対することがある。
- 宿敵:銭形警部、ネズミ一族(原作のみ)
- 銭形はどちらかと言えば愛すべきライバルとして描写され、狂言回しの役回りとなることもしばしばある。事実、エピソードによっては「一時休戦」という形で銭形と手を組むことがある。
- 年齢:不詳
- 次元とほぼ同年齢と考えられる。これは作品によって異なっているようで、『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』のころは主要人物全員が比較的若く、『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』は、その5年後の設定である。正確な生年月日は本人も知らないと言っている。
- 国籍:日本(自称ではフランス)
- 「俺ァ自分を日本人だなんて思ったこたァねえんだ」というセリフから、日本であると思われる。アニメでは銭形が何度か「日本人だ」と言っている。また第2シリーズでモナコグランプリや泥棒オリンピックに出場した際、アナウンサー(前者は市川治、後者は徳光和夫)に「日本からルパン三世が参加」という台詞がある。ルパン自ら「日仏友好の生き証人」と語っていることから、日仏混血である事が分かる(ハーフと言う説がある一方、TV第1シリーズ第13話『タイムマシンに気をつけろ!』(原作第83話「能ある悪党は牙をかくす(その3)」)ではルパン一世の段階で日仏系となっている)。また、ルパン一味や銭形警部は様々な国を転々としているにも拘らず、現地の人々と何不自由なく会話しているところを見ると、あらゆる言語が堪能であることが窺える。
- 以上の設定は『TV第2シリーズ』においても継続されており、第118話『南十字星がダイヤに見えた』では、ルパン自身が「俺、日仏混血ルパン三世」と言っており、第123話『泥棒はパリで』でも再び、ルパン自身が10代の頃にパリのブローニュで在住していたと言っている。また、第145話『死の翼アルバトロス』中で次元と五ェ門とすき焼きを食べている時に、肉ばっかり食べられた際には「ネギ食えネギ、日本人だろうが!」と言った場面もある。
- TVスペシャル第4作『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』で土木作業をしているときに「最近の日本人はこういった仕事をしねぇからな」と言い、次元から「日本人の鏡だ、お前は」と言われるシーンもある。
- 苦手なもの:銭形警部、くすぐられること、好戦的な殺し屋、タコ、かなり大柄な相手や巨漢
- 特にタコは、見ただけで蕁麻疹が出てしまうほどに嫌っているという(TV第1シリーズ第2話)。TV第2シリーズ以降では蕁麻疹は出ていないものの、依然としてタコは大の苦手である。くすぐられるのが苦手なのは潜在意識によるもの(TV第2シリーズ第110話)。他にも、ロゼッタ婆さんのストリップや、エジプト考古学関連の品物(TV第2シリーズ第7話で、ツタンカーメンの呪いに取り付かれたことがあるためで、後のエピソードではヒエログリフを見せられただけでパニックに陥っていた)などが挙げられる。
- 余技:ルパンダイブ
- ルパンの余技の一つ。女性(異性)の寝ているベッドへ向かって、跳躍しながら服をすり抜け、全裸(もしくはトランクス1丁)の状態で飛び込むというもの。「脱ぐ」のではなく、着衣状態のまま襟首から全身すっぽ抜けるというもので、手足の拘束を簡単にすり抜けてしまうルパンの技の、ある種の究極形態といえる(但し、大抵ろくなオチにならない)。
- その他
- 余談だが、パイロット版の紹介コメントには「クールタッチのゲバルト」とあり、頓挫した映画の企画書には「全学連に参加していた」らしい記述があるなど、時代を感じさせる。もちろん、これらの設定はTVアニメ第1作スタートの時点でリセットされている。
- 国際指名手配犯であるにも拘らず、多くの場合実名でホテル等に宿泊している。また、あまつさえ限度額が数億ドル単位のクレジットカードを所持している。これは、彼が逮捕または殺害され支払いが滞るリスクが、下手な債権の不履行よりも低いと判断されているからと推測できる。また、基本的に無銭飲食などの軽犯罪は起こさず(ただし不二子などに嵌められたり、取引相手と面会するために1ドルのハンバーガーを一個無銭飲食するなど、やむを得ずやったケースはある)、自分が使った金銭に対する払いは良い。
- 原作『新ルパン三世』のカリフォルニア編にてジョン・スターモー警部に左目を潰されるが、その後透視眼(Xレイ眼)を移植している。シリーズによっては死んだりするが天国ではお払い箱になって生き返る場合がある。(この点に関しては両津勘吉と通ずる点があるかもしれない)
[編集] 愛用品
- 愛用拳銃:ワルサーP38
- 一般にはac41(1941年に製造されたワルサー純正のミリタリーモデル)。かつてはP38と十四年式拳銃などを組み合わせたような外観の形式不明の拳銃(原作より)や、装飾入りのシルバーメタリックモデルのP38を使用していたが、後者をかつての相棒に奪われ、ac41を使用するようになった(TVスペシャル『ワルサーP38』より)。その後も何回か壊される(『カリオストロの城』では、防衛システムのレーザーに溶かされる)などして変わっている。但し、山上正月の描いた漫画版ルパン三世Yでは、ワルサーP38の後継銃であるワルサーP99を愛用。
- 愛車:ベンツSSK、アルファロメオ6C1750、フィアット・500など
- フィアット・500はTV第1シリーズの後半から登場したもので、作画監督(当時)の大塚康生の愛車であったものを演出の宮崎駿が作品に登場させた(大抵の場合、かなり酷使されている)。
- 愛用タバコ:ジタン・カボラル
- 原作の中に「ルパンしか吸わない、日本では出回っていないタバコだ」との銭形のセリフがあり(現場検証のシーンでルパン絡みの事件と見抜き、理由を同僚に問われて答えた言葉)、これを元にスタッフが、当時、日本に輸入されていなかったフランスタバコの中からジタンを選んだ。ただし、全アニメシリーズにおいて、ルパンがジタンの青い横長のケースを取り出すシーンは1度もない。ちなみに映画『DEAD OR ALIVE』ではCABIMなるタバコを吸っているシーンが登場していた(おそらく『キャビン』をモデルにしたと思われる)。
以上の設定は、アニメ製作者のおおすみ正秋、大塚康生らによるもの。当時、流行していた007シリーズにおいて、作者のイアン・フレミングが「作品中に登場するすべての物は、公然、非公然の市場において実際に出回っているものだ」としたのに影響を受けたもので、「この映画にはクルマというものは登場しません。登場するのはベンツSSKであり、ポルシェであり、といった、実在するものばかりです」と企画書に明記されている。
[編集] 予告状・犯行声明
- 「フランスフェア開催の日 アルセーヌ・ルパンの遺品は孫のルパン三世が引き取る」(第19話)
- このエピソードでは、アルセーヌ・ルパンとガニマール警部の三世対決が実現している。
- 「拝啓 警視庁殿 本日午後5時30分東京発下り禿鷹本線の現金輸送車を襲い、八億円頂戴仕り候 ルパン三世」(第22話)
- 「ジンギスカン家に伝わる秘宝・双頭の黄金獅子 今夜十二時に頂戴に参上 ルパン三世」(第37話)
- 「前略 ペッパー&ドーバー様、昨日俺はまんまと一杯食わされた訳で。でも俺はまだ諦めてない訳で。前略 ペッパー&ドーバー様、王女様の結婚式で必ず王冠は頂きます ルパン三世」(第47話)
- インペリアル・ステート・クラウンを盗み損ねた翌日、ペッパー警部&ドーバー警部に送りつけられた予告状。
- 「本日のダービーの売上金、残らずちょうだい。ルパン三世」(第48話)
- ケンタッキーダービーの売上金を盗む為、競走馬の一頭の後ろに付いていた予告状。
- 「世界中のお宝は、みんな俺のポケットの中さ」(第33話)
- 1978年パリ「オレーヌ銀行」での犯行の後、ルモンドに送った犯行声明文。
- 「鷲は羽ばたいた。今自由の翼を与えられて」(第33話)
- 1982年ロンドン「ブライトン美術館」から「黄金の鷲の像」を盗み出した時の犯行声明文。
- 「アラマッド氏に警告されたし ヘラザードの鷲を頂戴する ルパン三世」(第36話)
- ヘラザードの鷲所有の富豪、アラマッドへの予告状。
[編集] 配役
- パイロットフィルム:野沢那智(シネマスコープ版)→広川太一郎(TV版)
- TVシリーズ:山田康雄
- TVスペシャル:山田康雄(バイバイ・リバティー・危機一発!~燃えよ斬鉄剣)→栗田貫一(ハリマオの財宝を追え!!~現在)
- 劇場版:山田康雄(ルパンVS複製人間~バビロンの黄金伝説)→古川登志夫(風魔一族の陰謀)→栗田貫一(くたばれ!ノストラダムス~DEAD OR ALIVE)
- OVA:古川登志夫(風魔一族の陰謀)→栗田貫一(生きていた魔術師)
- 実写版『ルパン三世 念力珍作戦』:目黒祐樹
- ミュージカル『ルパン三世 I'm LUPIN』:ルー大柴
- 『ルパン三世 D2 MANGA』:難波圭一