レイ (北斗の拳)
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レイは、漫画『北斗の拳』に登場する、架空の人物。
[編集] 声の出演
[編集] 人物
南斗六聖拳「義星」の男。人のために生き、命を懸ける宿命を背負う。指や手刀による斬撃を主体とする南斗水鳥拳の使い手。
初登場時には、家族を惨殺し、妹アイリを連れ去った「胸に七つの傷のある男」(のちにジャギであったことが判明する)への復讐の念にこりかたまり、非道で孤独な旅を続けていた。当初はかなりにすさんだ表情で、リンに「あの目は人を助けるような目じゃない」とまで言われ、ケンシロウも自分の利益以外では動かない男、との人物評を下していた。
マミヤたちの村へも最初は用心棒として訪れ、ケンシロウたちともそこで知り合った。村人の前で弟の死にも冷徹さを貫く姿勢を見せながらも、陰でその弟の死を嘆き涙するマミヤの姿に動かされ、やがて利害を超えてマミヤたちのために戦う姿勢を見せる。
更にはケンシロウたちのお陰で妹アイリとの再会を果たし、以降、本来の「義星」であるべき輝きを取り戻していき、ケンシロウたちへの無償の友情のために奔走することになる。
マミヤたちの村に侵攻したラオウに挑むも、馬上からの闘気による攻撃に圧倒されてしまう。なんとしてもラオウを葬り、ケンシロウに借りを返したいレイは、南斗究極奥義「断己相殺拳」で相打ちを狙うが、命を賭したこの勝負もラオウには指一本触れる事も叶わず、3日後に全身から血を吹き出して死に至る新秘孔「新血愁」を突かれて敗北した。
彼の使う水鳥拳は、優美にして華麗、見るものを魅了し、そのために「妖星」のユダの激しい妬みと逆恨みをかい、後に戦うことになる。奥義には「飛翔白麗」「飛燕流舞」「朱雀展翔(アニメ版)」 がある。
登場期間は(作品全編から比べると)長くはなかったものの、独特の台詞回し、「ショオ~」、「シャオッ!!シャオ~!!」などの掛け声、アニメ化時の南斗水鳥拳の演出(暗転した背景に数条の光が弧を描くや、次の瞬間相手は、輪切りにされ、あるいは手足を切断される)、「てめえらの血はなに色だーっ!!」「てめえらごとき、南斗聖拳の前ではゴミクズ同然!」などの名台詞、名優・故塩沢兼人の好演などで、忘れがたい印象をファンに残した。名台詞、名場面を多く生み出したことでは、北斗三兄弟に優るとも劣らないものがある。現在でも「ケンシロウのパートナー」といえば、トキやバットらではなく、レイをまず連想するファンが多い。
また、牙大王の奸計により、ケンシロウと非情な闘いを強いられるが、ケンシロウと対戦した南斗の拳士としては、互角に近い闘い方をしていることは評価できる。
彼がマミヤたちの村に用心棒として入ったのは、牙一族に雇われて、村を乗っ取る刺客として送り込まれた為であり、果たしてマミヤがリンと水浴びをしている所に現れ、彼女の身を纏っていた布を剥ぎ取ってしまうが、『 野盗にくれてやるのは惜しい。』と元来の優しい目に戻り、牙一族を見限る。ある時は、『 私はただの戦士。女を捨てた。』と言い張るマミヤの着衣を水鳥拳で切り裂き胸をあらわにしてしまう。思わず胸をかくすマミヤに、『 女でなければ、胸をかくす必要はない。』と、彼女が戦い続けることを諫め、彼なりの優しさを表現する。こうしてマミヤと接し見守っている間に、いつしか彼女を愛するようになる。
マミヤの"死の運命"の鍵を握る男として拳を交えることとなるユダは宿敵となり、彼の死後に登場したシュウとは親友であるらしい。
いわゆる美形キャラでもあり、「北斗の拳」が男性のみならず、女性にも人気を博する一翼を担った。
こうした格闘技漫画でよく見られる「解説者」の役をつとめることも多く、特にラオウに秘孔をつかれ瀕死の激痛に耐えながらラオウとトキの戦いを実況し続けたことは語り草となった。
原作では黒髪の長髪であった。クライマックスではラオウに突かれた死の秘孔に唯一対応できる延命の秘孔・心霊台をトキに突いてもらいユダとの宿命の対決に臨むが、秘孔を使用した際の猛烈な苦痛のため鮮やかな白髪となる。しかしアニメ版では当初から白に近い水色の髪色のカラーリングとなったため、ラストの白髪との対比の印象が薄くなってしまった。
ユダとの死出の戦いに赴く際、白髪化した頭の周囲にハイロウ(聖なる光輪)が原作には描かれていたが、聖書の聖人や天使をイメージした描写とみられる。その姿を見て思わず絶句し嗚咽する妹アイリ、力無く微笑むレイの表情が印象的である。
モデルは「ハイスクール!奇面組」の一堂零。奇面組の原作者の新沢基栄が「北殿軒 戻樹(ほくとのけん・もどき)」と言う、ケンシロウのパロディキャラを出演させる際のバーターとして、北斗の拳側で登場させたキャラである事は余り知られていない。奇面組側とは違って、どんどんモデルから離れていっている感がある。なお「ハイスクール!奇面組」TVアニメ版では、一堂零がレイ(2頭身)に変身して格闘するシーンが登場した。
なお複数いる敵を次から次へと真っ二つに切り刻んでいくシーンは、ルパン三世に出てくる石川五ェ門の斬鉄剣がモデルである。(性格も若干影響あり) 余談ながら、担当声優の塩沢兼人は『風魔一族の陰謀』で五ェ門の声を務めた事がある。
新劇場版での南斗水鳥拳の演出は、ジェット機のような速さで飛翔し、火花のような光の線による斬撃の後、敵がスクリーンごと輪切りになるなど派手なものになった。が、ユダやマミヤとのエピソードが描かれなかったため、トキに秘孔を突いてもらい延命した意味も薄れてしまった。また高い人気のわりに出番も非常に少なかった。