北斗の拳 (対戦型格闘ゲーム)
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『北斗の拳』は2005年12月6日に稼動開始したセガのアーケードゲーム。ジャンルは2D対戦型格闘ゲーム。製作会社は『ギルティギア』シリーズをこの世に送り出したアークシステムワークスである。使用基板は「ATOMISWAVE」。
2007年3月29日にプレイステーション2の移植版が『北斗の拳 ~審判の双蒼星 拳豪列伝~』のタイトルで発売。
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[編集] 概要
漫画『北斗の拳』を原作としており、キャラクターはアニメ版における『1』に登場している人物のみである。しかし、何か理由があるのか、拳法家ではないユリアを除く南斗六聖拳のうち何故かシュウだけが不参加(一応、聖帝十字陵ステージの背景で石を運んでいる姿が見られる)、ファンからは人気の高い敵役であるアミバが出ていなかったりなど、人選にやや不満の声も挙がっている。
登場キャラクターの数も10人と、近年の格闘ゲームとしては少ない部類に入る。ゲーム独自のストーリー展開などは無く(原作を意識したキャラ同士の掛け合いはある)、最終ボスは全員共通でラオウ(キャラ名は「拳王」で、プレイヤーとして使えるラオウよりも強力になっている)であり、エンディングも全員共通でラオウの最期の場面である。
[編集] システム
操作体系は1レバー+5ボタン(攻撃ボタン4+特殊ボタン1)で、システムも同社の『ギルティギア』と類似性がある。「グレイヴシュート、アジリティーディフェンスといった一部システムの名前が、北斗の拳の世界観にそぐわない」という批判もある。
- ダッシュ
- 前方に走る。空中でも可能。ハート様にはない。
- バックステップ
- 後ろに飛び退く。飛び退きの動作中は無敵。ラオウにはない。
- 投げ
- 通常投げ。ただしマミヤにはない。
- ブースト
- 特殊ボタンに割り当てられたもので、高速で前方に移動する。技をキャンセルすることができるため、通常繋がらない技も連続攻撃にすることができる。3本まで溜められる専用のゲージ(ブーストゲージ)を消費する。ただしハート様は使用できないため、ブーストゲージも存在しないが、バニシングストライクで相手をはじき飛ばしたときなど、特定の状況ではブーストのように高速で前進することができる。
- 究極奥義
- いわゆる超必殺技。2本まで溜められるオーラゲージを1本(技によっては2本)消費する。相手の星(後述)を削ることができる技が多い。
- 一撃必殺奥義
- 体力ゲージの下に7つの星(北斗七星ゲージ)があり、特定の技で星を削ることができ、7つすべてを削ると死兆星が輝く。この状態でのみ一撃必殺奥義を繰り出すことができ、決まれば残り体力とは関係なくKOとなる。一撃必殺奥義で勝負がついた場合、その次のラウンドでは食らった側の星は全回復する。失敗した場合は、オーラゲージとブーストゲージが空になり、相手は星1つ残った状態に戻る。
- 掴み投げ
- しゃがんでいる相手には決まらないが、決まれば星を1つ削れる特殊な投げ。失敗モーションがある。ただしトキ、マミヤにはない。ハート様に限り、しゃがんでいる相手も投げられる。
- グレイヴシュート
- 相手を上空に浮かせる攻撃。その後レバー上方向による特殊なジャンプで連続攻撃をすることができる。そのジャンプ中に必殺技を入れると星を1つ追加して削ることができる。ただし、ハート様にはない。一部キャラクターの技にもこれと同様の性質が備わっているものがある(レイの「南斗虎破龍」やサウザーの近距離立ち強パンチなど。ハート様にもタメしゃがみ強パンチや必殺技の弱「アースクラッシュ」があり、それで代用できる)。
- バニシングストライク
- 相手を前方に吹っ飛ばす攻撃。攻撃が決まったときはレバー進行方向で自動的にブーストでき、追撃のチャンスが生まれる。この際のブーストは通常よりブーストゲージの消費が少ない。また、星を1つ削れる。また、ボタン押しっぱなしで溜めることが可能で、最大までためるとガード不能攻撃になる。
- ヘヴィーストライク
- ガード不能攻撃。地上で攻撃が決まったときはよろけが発生する。また、星を1つ削れる。
- アジリティーディフェンス
- 相手の技をひきつけて行ったガード。ガード硬直時間の軽減などの恩恵に与れる。
- オーラガード
- ゲージを使って発生させるガード。必殺技による体力の削りダメージが無くなる、空中で地上技をガードできるなどの効果がある。ただし、オーラガードでもってしてもガードできない攻撃も多数存在する。
- ガードキャンセル
- ガード中にオーラゲージを使用して硬直をキャンセルし攻撃できる。ユダ、ハート様は一部必殺技でも可能で、通常のものよりオーラゲージの消費が少ない。
- よろけキャンセル
- ヘヴィーストライクを食らったときなどに発生するよろけ(行動不能な状態)を解消する。オーラゲージを消費する。
- 特殊起き上がり
- 起き上がりの速さを調節できる。地面に落下した際にレバーを上方向に入力すると早く起き上がり、下に入力すると遅く起き上がる。
- 世紀末体力ゲージ
- ダメージを受けても地上にいる場合は、回復可能な分は徐々に体力が回復する。
[編集] 登場キャラクター
- 北斗四兄弟の末弟にして、一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」の正当伝承者。諸事情で声優は神谷明ではないが、声質はほぼ似ている。飛び道具や対空技などが揃っており、2D対戦格闘ゲームにおけるスタンダードなキャラクターに仕上がってはいるが、コンボのバリエーションも多く、奥深いキャラである。アーケード情報誌の『アルカディア』によれば、トキを除けばラオウやレイ同様、上位の強さである。勝利演出にはリン(声:倖月美和)とバット(声:恒松あゆみ)が登場するパターンがある。
- 一撃必殺奥義:北斗百裂拳(ハイキックを繰り出し、それが当たると、ケンシロウが筋肉で服を破り捨て、拳の連打~蹴りの連打という流れの演出に移行。必ずヒット数が100になる)
- 北斗四兄弟の長兄で、ケンシロウの義兄。移動速度が遅い上に「拳王は決して退かぬ!」という性格上、バックステップが使用できない(そのコマンドを入力すると避け動作を行う。歩いて下がったり、空中で後方にダッシュすることは可能)。しかし、攻撃力の高さと多彩なコンボでその欠点を補う、上級者向けのキャラクターといえる。最初は最弱扱い(アーケード情報誌『闘劇魂』より)されていたが、プレイヤー間の研究が進むにつれて段々と見直され、上位キャラとして評価される様になった。デフォルトのカラーは漫画版のもので、アニメ版の方も別カラーで存在する。
- CPU戦では最終ステージに「拳王[Kenoh]」として登場する。見た目的には通常のラオウと同じだが、技の一部が強化され、またある条件が満たされていると、体力を全回復させ、回復中は攻撃が当てられないなどの要素が追加されている。このとき、タイムも元に戻る(アーケード版ではプレイヤーキャラとして使う事は出来ないが、プレイステーション2版ではヒストリーモードをコンプリートすることでプレイヤーキャラとして使えるようになる)。
- 一撃必殺奥義:北斗滅天把(闘気を発した後、背後にクレーターができるほどの拳で相手を殴る。原作のラオウ編ラスト、ケンシロウと打ち合った全霊の拳)
- 北斗四兄弟の次兄で、ケンシロウの義兄。原作では半病人だが、このゲームでは高性能の移動技を基点とした驚異的な攻めが可能なため最強キャラとなっており、その強さは対人戦で使うと相手が諦めて即座に席を立つことが日常茶飯事となっているほど。コンピュータの強さはそれほどでもない(当たり前だが)。対戦格闘ゲーム大会の「闘劇'06」決勝大会において全参加者中44%が彼を使用していた。この年の「闘劇」の優勝キャラである。原作のイメージとは大きく異なる性能でなおかつ強力すぎるキャラなため、開発の終盤において作られ闘劇の開催に間に合わせようとロクにバランス調整をせずに出されたキャラとの批評がある。
- 一撃必殺奥義:北斗有情破顔拳(原作でトキの初登場シーン、拳王配下の敵を、闘気によって秘孔を突き、倒した技。原作と同じように、技を繰り出すときにはあぐらをかくポーズをとる。この技も一撃必殺奥義の中では非常に高性能で、トキの強さを支える一助となっている)
- 北斗四兄弟の三兄で、ケンシロウの義兄。ドラム缶を置いたりガソリンを撒いたりといったいわゆる設置系の技を持つ。名台詞である「俺の名前を言ってみろ」は実際に名前をクイズのような形式で答えさせる、というユニークな究極奥義として再現されている。また、シンに対してのみ使用できる究極奥義で「今は悪魔が微笑む時代なんだ」というものがある。基本的に相手の動きに対処していく後手気味のキャラなため、システム的にはかなり不利で使用人口の少ないキャラの一人。尚、稼動開始からほどなくして担当声優の戸谷氏は逝去し、本作が最後の戸谷氏が担当したジャギとなっている。
- 一撃必殺奥義:フフ…この時を待っていたのだ(燃料タンクに飛び乗り、燃料をまき散らしてそこに火をつける。原作でケンシロウを焼き殺そうとしたシーンの再現)
- 南斗六聖拳のひとつ「南斗弧鷲拳」の伝承者で、ケンシロウの宿敵。攻撃力が低いものの、星を奪える必殺技が多く一撃必殺奥義を狙いやすい為、稼動初期には猛威を振るった。全キャラの研究が進んだため、現在では初心者にも比較的扱いやすい良キャラとされている。また、自分の死兆星点灯時にのみ使用可能な究極奥義に、自分自身をKOする技「お前の拳では、死なん!」(原作での自決シーンの再現)があり、それを使うと次のラウンドでは星が全回復する。
- 一撃必殺奥義:南斗翔鷲屠脚(真上に飛びながら蹴り上げる。これ自体ではKOにならず、その後原作でケンシロウの胸に7つの傷をつけたシーンの再現を行う)
- 南斗六聖拳のひとつ「南斗水鳥拳」の伝承者。声は故・塩沢兼人の代役で千葉一伸が起用された。空中必殺技が豊富で、3段ジャンプも使用できる。デフォルトのカラーはアニメ版のものだが、漫画版のものも別カラーで用意されている。トキ以外のキャラの内では抜きん出た強さを誇るキャラの一人。ユダやマミヤとの特殊演出もあることから、開発スタッフの贔屓キャラであると言われている。
- 一撃必殺奥義:飛翔白麗(ユダを倒した、レイが最後に放った奥義。この技でユダを倒すと原作通りの演出がその後に入り、マミヤを倒すと原作通り(全く違うシーンだが)服を全て切り裂いてしまう)
- 南斗六聖拳のひとつ「南斗紅鶴拳」の伝承者。必殺技は部下であるコマク(声:千葉繁)やダガール(声:屋良有作)を呼び出して攻撃させるものがほとんどで、専用のゲージを消費する。ゲージは時間で自動回復し、それぞれゲージが満タンになっていないと呼び出す事は出来ない。またダガールを盾にする「俺を利用したのか~!!」を使用した時に技が成立すると、次に呼び出したときにユダに襲い掛かってくる(この時ゲージに「REVENGE」の文字が表示される)がこの時にカウンターでダガールに南斗鷹爪破斬を当てるとダガールは本編通り死亡し、そのラウンドはダガールを使った技が使えなくなるが、オーラゲージ・ブーストゲージが満タンになる。他にも、どこからか現れた鏡を叩き割ったり、どこにあるのか分からないダムを決壊させるなど、原作を踏襲しながらも少々妙な演出の技が多い。しかし、技の性能は高く、部下達をうまく使うことでかなりの強さを発揮できる。「闘劇'06」準優勝キャラ。
- 一撃必殺奥義:血粧嘴(原作ではレイの「飛翔白麗」によって日の目を見ることのなかった技。飛び道具を放って相手の防御を封じ、突撃する技となっている)
- 南斗六聖拳のひとつ「南斗鳳凰拳」の伝承者。名台詞である「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」が、連続入力の必殺技「極星十字拳」のボイスになっている。ケンシロウの究極奥義「北斗残悔拳」の3カウントによる一撃KOが通用しないという特殊能力を持つのだが、他の北斗神拳の技は効果があるので、中途半端とも言える。おそらく、原作の「(ケンシロウに秘孔を突かれ、あと3秒で死ぬと言われ)おもしろい、ならばその3秒を数えてやろう」という台詞を再現するためだけなのだろう。また、サウザーステージで究極奥義「聖帝十字陵」か一撃必殺奥義でKOすると、師匠のオウガイが登場する。豊富な飛び道具を盾に怒濤のような攻めが可能だが、「我が拳にあるのはただ制圧前進のみ」という性質上、防御力は低い。
- 一撃必殺奥義:天翔十字鳳(原作の再現である。バク転のようにして蹴りを放ちつつ後ろに飛び上がり、聖帝十字陵に乗って、鳳凰を象った闘気を放つ)
- 拳法殺しの肉体を持つシンの部下。ダッシュとブーストが不可能だが、一部の技にスーパーアーマー能力(相手の攻撃を受け止めつつ攻撃を繰り出す技の総称)を持ち、攻撃力も高い。また、究極奥義「いてえよ~!!」でパワーアップが可能(この間専用のゲージが出現する)。ケンシロウの一撃必殺奥義「北斗百裂拳」でKOされると、あの断末魔を叫んでくれる。他キャラよりも上位のキャラとの相性が比較的良いが、中堅以下との相性はあまり良くないという特殊な位置のキャラ。
- 一撃必殺奥義:超いてえよ~!!(後方から羽が飛んでくると、なぜかハート様が赤くなり(おそらく原作通り羽で傷がつき、自分の血を見て逆上したということだろう)、シン、スペード(声:米田直嗣)、クラブ、ダイヤ(声:西本理一)のカットインが入った後、相手をビンタする技)
- 村を守るために戦う女戦士。原作から考えると北斗や南斗の拳士達と戦うにはあまりにも無理があることや、南斗六聖拳の一人シュウがプレイヤーキャラとして登場してないことから、女性キャラは一人くらいいるべきだろうという開発スタッフの意向によりシュウの代わりに登場させられたとの声もある。強Pや一部の必殺技で専用のゲージ(それぞれ別)を消費する(これらは特定の必殺技で回復が可能)。機動力はあるが攻撃力と防御力が低く、当初最弱キャラとされていたが、工夫次第で十分戦えるキャラではある。本作での唯一の女性キャラであり、レイの一撃必殺奥義でKOされると服を切り刻まれるというサービスシーンも。
- 一撃必殺奥義:さようなら…(ビンが出現し、それをボウガンで射つとビンが割れ、その破片が相手に当たると燃える家の演出が現れる、というもの。レイを倒すと、原作の通り空にレイの顔のカットインが入る、相手がユダだと台詞が少し変わる)
[編集] PS2版移植問題
2007年3月29日にPS2版が発売された。しかし一部のキャラの技の性能が変更されていたり(例、スタンプ・ザ・UDの位置の違い)、一撃必殺奥義が決まった際のBGMの音飛び、効果音にこもりがある等、公式のうたい文句である「完全移植」とは決して言えない内容となっており一部に不評がある。
[編集] 外部リンク
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