ロックマン2 Dr.ワイリーの謎
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『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』( - ドクターワイリーのなぞ)は、カプコンから1988年12月24日に発売されたファミリーコンピュータ専用のアクションゲーム。ロックマンシリーズ第2作である。後にプレイステーション対応ソフトとして移植される。また、iアプリのゲームとしても配信されている。2007年3月28日には、プレイステーション版と攻略本をセットにしたカプコンゲームブックスとして発売された。ISBN 978-4-86233-114-4
ステージは8大ボスステージと6つのワイリーステージの計14のステージから構成される。前回と同じようにステージをセレクトしていくことは同じであるが、この作品からパスワードが追加された。パスワードは文字を打つようなものではなく、5×5マスに赤丸を置くことで表される(以降の作品では、マスが大きさは6×6マス、作品によっては丸の色が赤丸と青丸を併用するなど、若干システムが変わる)。
また、8つの特殊武器以外にも、空中にホバリングするアイテム1号、空中で水平方向への移動が可能な2号、壁を伝って上下に移動する3号などの、行動範囲を拡大する特殊装備が付け加えられた。さらに、任意のタイミングで体力ゲージを回復できるエネルギー缶(E缶)というアイテムも追加された(同時最大保有可能数は4つだが、ゲームオーバー時にストックが0に戻ってしまう)。他、ライフエネルギーと武器エネルギーのデザインが変わり、今作以降、6までの標準となった。上述の内容を初めとして、この作品で新たに導入されたシステムの殆どは、以降の作品に何らかの形で受け継がれている。
攻撃を食らって死ぬ間際にタイムラグが存在し、その仕様によって今作のみボス戦で相打ちになる場面があってもタイムラグのおかげでギリギリで生き残ることができ、勝つ事が可能である。 また、敵キャラの無敵時間が異様なまでに短いため、コントローラ連射器を用いることでボスを瞬殺できるという特徴もある。
ファミコン版の売上は151万本を記録した。また、一般からボスキャラクターの募集を始めたのはこの作品からである。
目次 |
[編集] ストーリー
前回の敗北に懲りず、再びワイリーは世界征服を企てる。ライト博士が造ったロボットを使ったのが失敗だったと考えたワイリーは、今度は自ら作り出した8体の戦闘用ロボットを送り出し、ロックマンに戦いを挑むのだった。
[編集] 登場キャラクター
- ロックマン(Rockman)
- ライト博士(Dr. Right)
- Dr.ワイリー(Dr. Wily)
- ロール(PS版のみ)
[編集] ボスキャラクター
[編集] 8大ボス
- DWN.009 メタルマン(Metalman)
- Dr.ワイリー初の純粋な戦闘用ロボット。特殊武器は全方向連射可能のセラミカルチタン製の手投げ式回転ノコギリ「メタルブレード」であり、高く跳躍し、上空から怒涛の連射攻撃を行う。一定方向に進むベルトコンベアーの足場の動きにくさもあって、どちらの体力が先に尽きるか、という「やるかやられるか」的な消耗戦を強いられる。その単純かつスリリングな戦闘や、ステージの攻略難易度の関係によって、初プレイの人が最初に戦う相手となることが多い。「ロックマンのボス」を代表するキャラのひとりである。「ロックマン」に登場したカットマンをベースに造られたといわれる。ロックバスターに弱いという欠陥があったという設定だが、実際は1ダメージしか与えられず、それほど弱いわけではない。(弱点はクイックブーメランであるが、自身の武器であるメタルブレードに非常に弱く、その効果はワイリーステージでの再戦時にのみ見ることが可能。)ライト博士にそのデザインを「未来の歯医者さん」と笑われた。
- 時折、ベルトコンベアーの方向が切り替わる瞬間に(画面処理の都合で)2段ジャンプを行う事がある。
- DWN.010 エアーマン(Airman)
- 巨きな体に頭と胴体のつながった独特の体形を持つ空中戦闘用ロボット。腹部の大型プロペラで台風ほどの強風を巻き起こし、小型の竜巻を発生させる「エアーシューター」が特殊武器。部下のロボット達と協力すれば大型の竜巻を発生できる。ワイリー曰く「腹にプロペラを入れたらこうなった」という頭と胴体のつながった独特のデザインは、通常の人型デザイン以上に敵に恐怖と圧迫感を与え、後に「エアーマンタイプ」と呼ばれる機種を数多く生み出す事になる。
- DWN.011 バブルマン(Bubbleman)
- Dr.ワイリーが初めて造った水中戦闘用ロボット。しかし、欠陥があったため水中を歩くことができず、ジャンプによってでしか移動できない。長い距離を移動する姿はワイリーですら思わず笑ってしまうほど可愛かったらしい。椀部からは銛状の弾を発射、頭部から特殊武器の「バブルリード」を発射する。このバブルには硫酸が混ぜられているので割れにくくなっている。体に切り傷をつけられると、耐水性能が落ちてしまう。(当然の事だがサントリーの同名の飲料品とは関係ない。)
- DWN.012 クイックマン(Quickman)
- 「ロックマン」に登場したエレキマンの特徴を受け継いだロボット。「自らが光速に近づく」というテーマのもと製作された。動きの素早さと、高いジャンプ力を自慢にしている。正々堂々とした戦いを好む、孤高の戦士である。実はまだ「自身を光速に近づける」ためのシステムは未完成なのだが、クイックマン自身の状況判断能力の高さ、及び小型カッター状ブーメランの特殊武器「クイックブーメラン」によりシステムは完成しているとも言える。タイムストッパー対策用の装置に欠陥を有し、それ故にタイムストッパーを発動されると自身の質量がブラックホールのように無限大に近づいてしまい、その結果内部メカにダメージを受けてしまう。体当たりを受けると尋常ではないダメージになるため、プレイヤー達の間で「クイックマンに当たるな、クイックブーメランに当たれ」という格言めいた言葉が広まっている他、ゲーム中におけるその強さから『2』の8大ボス中最強とも言われている(ステージの難易度も8大ボス中最高クラス)。スーパーアドベンチャー版の声優は森久保祥太郎であり、ロックマンと堂々と戦いとどめをさそうとするも出来ず。これに業を煮やしたシャドーマンの攻撃からロックマンを庇い果ててしまう。
- DWN.013 クラッシュマン(Crashman)
- 「ロックマン」に登場したガッツマンとボンバーマンの特徴を受け継いだロボットで、「歩く弾薬庫」と呼ばれる。両腕に強力な破壊力を持つ特殊武器「クラッシュボム」を仕込み、ジャンプからボムを発射、爆発させて攻撃する。クラッシュボムの威力は凄まじく、爆風に触れただけで相当なダメージを受けるが、本人は爆発のショックに耐えられるようにボディが頑丈に造られている。普段はおとなしいが、怒ると手が付けられなくなるらしい。ビルや建物を壊すのが好き。スーパーアドベンチャー版の声優は田野恵である。
- DWN.014 フラッシュマン(Flashman)
- 「時間を制する」という困難なテーマにDr.ワイリーが挑んだ末、ついに完成させた傑作ロボット。特殊武器「タイムストッパー」は光そのものを操ることにより、短期間ではあるが時間を止めることができる。バスターも装備しているが、さほど威力はない。タイムストッパーをたまにお風呂で悪用しているのだが、カツラのCMは大嫌いである(きらりと光る事のある、髪の毛の無い、つまり禿げ頭を隠すから。フラッシュマン自身「光る禿げ頭」のような外見を持ち、それに被さる物は邪魔と考えているようだ)。
- DWN.015 ヒートマン(Heatman)
- 「ロックマン」に登場したファイアーマンのノウハウを基に開発されたロボット。ジッポーライターに手足が生えたような外見。耐熱性に優れたボディを持ち、火を自由に発生させることができる。特殊武器「アトミックファイヤー」は、圧縮型ブラスターにより12000℃にも及ぶ高熱を発生させ、その炎を身に纏い炎の塊となって突進する。火を操るため水に弱い。クラッシュボムでパワーUPする。背中に火力調節ダイヤルがある事はあまり知られていない。
- DWN.016 ウッドマン(Woodman)
- 天然の檜の中身をくり抜いて特殊コーティングしボディとして利用され、更には内部メカまでもがボディと同じ素材で出来ているという高級感漂う自然派ロボット。怪力が自慢のパワーファイターだが、気(木)は優しくて力持ち。自然破壊・森林破壊を絶対に許さない。特殊武器「リーフシールド」は、葉っぱ状の電磁ビットを回転させるバリアーである。木製のため炎に弱い。「スーパーアドベンチャーロックマン」では、シャドーマンの親友という設定があった。この作品以外でも「ロックマン8」のサターン版に登場する。ベースがないワイリーの人型ロボットの中ではもっとも強く、欠陥もほとんどないためにワイリーのお気に入りとされ、登場作品数は2のメンバーの中ではトップクラスである。
[編集] 大ボス
- メカドラゴン
- ドラゴンをイメージして作られた機動メカ。炎を吐いて攻撃してくる。圧倒的な巨体を誇るが、その中身は水素ガスであり、本体も大半が風船でできている(当時は巨体を浮かす技術がまだ無かったため)。飛行時はその浮力を用いる。
- ピコピコくん
- 元々はDr.ライト宅のガードシステムであったのを、ワイリーが対ロックマン用に改造したもの。ワイリーは過去に、これに酷い目に遭わされたらしい。壁のブロックが合体することで戦闘力を発揮する。
- ガッツタンク
- ガッツマンをベースに開発された、超大型戦車。その重量も相当のものであるが、その実、重さを多く占めるのは積んである燃料であり、それほどに燃費が悪い。よく見るとボディに「LPガス」の文字を確認できる。
- ブービームトラップ
- 硬化フードによって守られたビーム発射装置。その防御力は半端ではなく、効く攻撃はクラッシュボムのみである。部屋の各箇所に五基配備されている。
- 基本武器であるロックバスターも含め、あらゆる攻撃が効かず、パズル要素が含まれているという珍しいボス。ボス部屋にはクラッシュボムでしか破壊できない特定の壁も配置されており、ある程度決まった箇所だけを破壊しないとエネルギー切れによって一回の戦闘でどうやってもボスを倒せなくなるという事態に陥る。そして二戦目以降は、一戦目で破壊した壁のみそのままの状態で開始する(ゲームオーバー時には元通りになる)。
- 配置の関係上クラッシュボムを1発だけ余らせて倒すことも可能。
- ワイリーマシーン2号
- 前回の失敗を生かし、戦闘力と格好よさを追求した、対ロックマン用兵器。反重力エネルギー弾や、より一層効果を高めた非常時の強化システムがその象徴だが、反面装甲が脆くなってしまっている。装甲が弱いのは、ワイリーが自分の顔を見せたいからだという説もある。
- 回避困難な上に恐ろしく威力の高いバウンド弾を装備している強敵だが、うまくやればクラッシュボムの爆風一撃で葬ることができる。
- エイリアン
- Dr.ワイリーの真の姿と思いきや、ホログラフ投影装置によって映し出された宇宙人。姿形は「200X年度版 よい子の怪物図鑑」を参考に作られている。
- ある特定の武器しか通用しない上、そのダメージはたったの1である。要するに28発撃てるエネルギーが無ければその時点でクリア不能(ただし、ある方法を使えば残りエネルギー1メモリであっても賄える)。また、それ以外の武器(ロックバスターを含む)を使うと一気に全回復してしまう。攻撃力も半端ではなく、エイリアンが放つ弾は4発程度食らうとアウトである上、本体に当たってしまうと一気にライフが3/4程度削られるというかなり理不尽な設定にされている。
[編集] 特殊武器
- MAIN
- 特殊武器名 - 所有するボス
- 武器の2文字記号はロックマンワールド、ロックマンワールド2での表記
- 「2」の特殊武器には、タイムストッパー以外は、一撃で倒せる敵を貫通するという特性がある。
- メタルブレード(M)(ME) - メタルマン
- 8方向に発射できるセラミカルチタン製の回転のこぎり状の武器。攻撃力、連射性、速度、燃費に優れた、優秀な武器。十字キーの押した方向によって発射角度が変わるので、キーの中央を押したまま発射するとその場にブレードが残るという裏技がある(PS版では、コントローラーの仕様上不可)。
- エアーシューター(A)(AR) - エアーマン
- 斜め上に向かって拡散していく、空気をトルネード化させた3つの竜巻を放つ。ワイリーは、以前にこのシステムで凧揚げをしようとしたが失敗した。
- バブルリード(B)(BU) - バブルマン
- 地形を沿って移動する泡状の武器。攻撃力は高いが、壁を登る事はできない。落とし穴の発見に有効。
- クイックブーメラン(Q)(QU) - クイックマン
- ブーメラン状の武器。射程は短いが、燃費は非常に優秀(8発1メモリ)で連射性も極めて高い。
- クラッシュボム(C)(CL) - クラッシュマン
- 1発あたりの攻撃力がとにかく高い、飛行型針付きプラスチック爆弾。別名:力技爆弾。発射されると前方に飛び、壁に当たるとその場所に張り付く。その後、一定時間が経つと爆発する。敵に当たった場合は普通にダメージになるが、バスターを跳ね返す物に当たった場合はその瞬間に爆発する。発生する爆風は連続ヒットする性質がある。クラッシュボムの弾のみ効く敵、弾は効かないが爆風のみ効く敵、両方効果がない敵が存在する。特定の壁を破壊可能。燃費の悪さがネックで武器エネルギーが満タンでも連続7発の発射でエネルギー切れになってしまう。
- タイムストッパー(F)(FL) - フラッシュマン
- 一定時間(武器エネルギー1メモリにつき0.5秒)、全ての敵の動きを止めることが出来る。ただこの間敵を攻撃できない上、途中でキャンセルすることが出来ず、発動するとエネルギーを使い切るまで止まらない。基本的にボスには効果がないが、あるボスにだけは動きを止めるとともにダメージを与えることができる。
- アトミックファイヤー(H)(HE) - ヒートマン
- 放射能を含む、圧縮した炎の弾を撃ち出す武器。3段階にチャージ可能で、圧縮ブラスター装置により12000℃の爆発的エネルギーを生み出す。なお、武器エネルギーの消耗や攻撃力はチャージの段階が上がるにつれて大きくなる。
- リーフシールド(W)(WD) - ウッドマン
- 小型の電磁波発生装置を内蔵し、特殊コーティングした4枚の木の葉型ビットをロックマンの周りで回転させる武器。回転中に十字キーを押すとその方向に飛ばせる。エネルギーを消費するのはシールドを飛ばした瞬間。基本的に防げるのはロックバスターの当たり判定のある敵だけであり、敵の撃つ弾や、一撃で倒せない敵は防げない。
- SUB
- 特殊武器名 - 入手方法
- アイテム1号(1) - ヒートマンを撃破
- ロックマンの目の前にホバー状の足場を出す。少しずつ上昇し、一定時間で消える。画面内に3つまで出せる。
- アイテム2号(2) - エアーマンを撃破
- ジェット機のような足場を出す。ロックマンが乗ると、前方へ高速移動する。最高速度はマッハ3。
- アイテム3号(3) - フラッシュマンを撃破
- 左右両側に手のようなパーツが付いた足場を出す。壁に当たると張り付き、ロックマンが上に乗ると壁を昇ることが出来る。
[編集] 評価
ゲームバランス、システム、音楽、グラフィックなどの要素は非常に評判が良く、この作品をシリーズ最高傑作に推す人は多い。その評価はシリーズでも最高位の難易度も相まってのものだが、しかし故に敷居の高い難易度を考慮し、米国版の「Megaman2」では難易度を抑えた「NORMALモード」が用意されている(日本版と同じ難易度は「DIFFICULTモード」)。また、ワイリーステージ1の音楽はロックマンシリーズで最高傑作とも言われており、インターネット上で数多くのアレンジバージョンが公開されている。 さらには、勝手に歌詞を作りインターネット上で「思い出は億千万(通称:おっくせんまん)」という歌詞付きの曲も出てきた。
[編集] 外部リンク
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