十二宮
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十二宮(じゅうにきゅう)とは、太陽の見かけの通り道である黄道を、白羊宮から双魚宮までの12の領域に等分したものである。西欧語では、ゾディアック(英zodiac、仏Zodiaque)と呼ばれ、獣帯(じゅうたい)と訳されている。
十二の宮は占星術において、天体の位置を表すのに使われ、サイン(astrological signs)として扱われる。かつては、黄道十二星座と重なっていたが、地球の歳差運動によりずれてゆき、現在では約30°ほどずれている。
なお、十二宮の起点をどこに定めるかは、占星術の流派などによってさまざまだが、大きく分けてトロピカル方式とサイデリアル方式のふたつに分類できる。西洋占星術ではトロピカル方式、インド占星術ではサイデリアル方式が主流。
宮 | 距星 | シンボル | 太陽が通過する期間 (グレゴリオ暦での日付) |
|
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トロピカル方式 | サイデリアル方式 | |||
白羊宮(はくようきゅう) | おひつじ座 | 3月21日 - 4月19日 | 4月14日 - 5月14日 | |
金牛宮(きんぎゅうきゅう) | おうし座 | 4月20日 - 5月21日 | 5月15日 - 6月14日 | |
双児宮(そうじきゅう) | ふたご座 | 5月22日 - 6月20日 | 6月15日 - 7月16日 | |
巨蟹宮(きょかいきゅう) | かに座 | 6月21日 - 7月23日 | 7月17日 - 8月16日 | |
獅子宮(ししきゅう) | しし座 | 7月24日 - 8月22日 | 8月17日 - 9月16日 | |
処女宮(しょじょきゅう) | おとめ座 | 8月23日 - 9月22日 | 9月17日 - 10月17日 | |
天秤宮(てんびんきゅう) | てんびん座 | 9月23日 - 10月22日 | 10月18日 - 11月16日 | |
天蝎宮(てんかつきゅう) | さそり座 | 10月23日 - 11月21日 | 11月17日 - 12月15日 | |
人馬宮(じんばきゅう) | いて座 | 11月22日 - 12月21日 | 12月16日 - 1月14日 | |
磨羯宮(まかつきゅう) | やぎ座 | 12月22日 - 1月20日 | 1月15日 - 2月12日 | |
宝瓶宮(ほうへいきゅう) | みずがめ座 | 1月21日 - 2月18日 | 2月13日 - 3月14日 | |
双魚宮(そうぎょきゅう) | うお座 | 2月19日 - 3月20日 | 3月15日 - 4月13日 |
- 上表に示した日付は毎年のおおよその日付であり、実際の太陽通過時期はその年ごとに異なる。年ごとの時期は、西洋占星術用の天文暦やコンピュータソフトなどを用いて知ることができる。
[編集] 由来
この十二宮は、古代バビロニア時代に設定されたと考えられている。ただし、星座の順や名前は、現代のものとは若干異なる。バビロニアから西に伝わったものはギリシア神話の体系に組み込まれ、インドにはギリシアから紀元前後に伝えられた。古代中国にも十二次という十二宮と類似したものがあるが、伝播によって成立したものかは定かではない。後に仏教経典を通じてインドから中国に十二宮が伝えられ、さらに日本にも伝わった。
漢字の宮名は西洋から伝来した当初に意訳された占星術用語と思われる。天文学が制定した星座・星座名とは異なるが、混用されることが多い。中国から日本に伝来した十二支ともよく似ているが、相互の関係については詳しく解っていない。
[編集] 十二宮と実際の星座
実際の太陽の運行と、それぞれの宮名の星座との位置は大きく異なっている。これは、数千年単位で地球の自転・公転運動が変化したこと(歳差)によるもので、占星術が成立した当時は太陽の見かけの位置はそれぞれの宮の名を持つ星座に近かったと考えられる。