宇宙船サジタリウス
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宇宙船サジタリウス | |
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テレビアニメ : 宇宙船サジタリウス | |
原作 | アンドレア・ロモリ「アルトゥリ・モンディ」 (ALTRI MONDI) |
監督 | 横田和善 |
企画 | 佐藤昭司(日本アニメーション) |
シリーズ構成 | 横田和善 他 |
脚本 | 一色伸幸・藤本信行・城谷亜代・久樹晴美・松下幹夫・古長直美 |
キャラクターデザイン | 坂巻貞彦・関修一・高野登 |
メカニックデザイン | 坂巻貞彦 |
アニメーション制作 | 日本アニメーション株式会社 |
製作 | 本橋浩一(日本アニメーション) |
放送局 | テレビ朝日系列(ANN) |
放送期間 | 1986年1月10日 - 1987年10月3日 |
話数 | 77 |
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宇宙船サジタリウス(うちゅうせんサジタリウス)は、1986年1月10日から1987年10月3日までテレビ朝日系で全77話が放送された日本アニメーション製作のSFアニメ。
目次 |
[編集] 概要
イタリアの物理学者、アンドレア・ロモリが描いた「アルトゥリ・モンディ」 (ALTRI MONDI) というSF怪奇冒険絵本を原作としているが、原作から借りているのはメインキャラクターや一部の設定のモチーフだけであり、ほぼ日本アニメーションオリジナルの作品である。ちなみに「アルトゥリ・モンディ」とはイタリア語で「異世界」 (ANOTHER WORLD) という意味。
金曜夜19時30分という『ドラえもん』の次の放送枠を与えられていたとはいえ、放送開始当初はそれほど注目もされておらず、半年程度の予定でスタートした番組だったが、まさしく主題歌に唄われている通りの平凡でどこかサエない生活臭あふれる(だけど、魅力的な)キャラクター達が、困っている人たちのため知恵と勇気を振り絞り、時に命を張って冒険に赴くストーリーが静かに支持を集め、最終的に2年近くもの間放送されることとなった。SFをテーマとしたアニメとしては80年代中盤を代表する良作とされており、放映後20年を経た現在もなお評価は高い。
また、エンディングテーマの「夢光年」はその歌詞の壮大さと落ち着いた曲調が幅広い層に受け入れられ、1980年後半には全国各地の学校で合唱曲として頻繁に使用されていた時期がある。
2001年にDVD-BOXが全15巻(1セット5巻×3セット)数量限定で発売された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
トッピーとラナは宇宙輸送の中小企業・宇宙便利舎のサラリーマンで中古貨物宇宙船サジタリウス号のパイロット。月面基地のトイレ修理の仕事を終え、ひと月ぶりで地球に戻ると、社長から次の仕事を言い渡された。依頼主は宇宙考古学研究所の研究員のジラフ。危険なベガ第3星に調査のために単身で旅立った、研究所の先輩で恋人のアン教授を連れ戻して欲しいという内容だ。トッピーとラナは家族との再会もつかの間、休む暇もなくジラフと共にサジタリウス号で一路ベガ第3星に向かう。ベガ第3星では不思議な異星人にして吟遊詩人のシビップを仲間に加え、スリルと笑いと涙に満ちあふれた冒険行が始まる。
[編集] 登場人物
- トッピー(声:島田敏)
- サジタリウス号の船長でメインパイロット。宇宙便利舎倒産後は「新宇宙便利舎」を立ち上げ、代表を務める。正義感と責任感が強く、冷静な判断力で暴走しがちなサジタリウス号クルーをまとめる。家族は妻(ピート)と娘(リブ)。最終回には二人目の子供(フェロー)が生まれる。年齢は30代。
- ラナ(緒方賢一)
- トッピーの相方でサジタリウス号のコパイロット。トッピーとは宇宙便利舎時代からの同僚で同社倒産後は新宇宙便利舎に参加する。大阪弁を使い、大好物はラザニア(ラザニアという料理の名前をこの番組で覚えた当時の子どもは多いハズ)。時として実利に流されて仲間を裏切るような行動に出ることもあるが、友情を思い出し結局は仲間を助けてしまうという人情に脆い性格。便利舎の仕事がなく地球にいる時は、生計のために工場の臨時雇いなどの仕事をしていることが多い。楽しみは家で奥さん(ナラ)の手作りラザニアを食べること。7人の子持ち。年齢は40代。
- ジラフ(塩屋翼)
- もともとは宇宙考古学研究所の研究員で、先輩で恋人(のちに結婚する)のアン教授を探すためにトッピーに協力を依頼する。ベガ第3星からの帰還後は研究所を解雇されたため、トッピーの立ち上げた新宇宙便利舎に就職。以後サジタリウス号のクルーになる。考古学のみならず、物理学や化学、生物学など幅広い知識を持つというかなりのインテリ。性格は人一倍臆病で優柔不断。プライドが高く、アン教授に比べ名声・収入において劣っていることにコンプレックスを持っている為、結婚後もその事で喧嘩に発展する場合も。年齢は20代。
- シビップ(堀江美都子)
- ベガ第3星ライララ村出身の異星人で「宇宙の吟遊詩人」。女性。2話にてトッピーたちと合流する。愛用の琵琶を常に携帯し、弾き語りでの歌声は聴く人々の心を打ち、これにより危機から脱出したこともかなりあった。危険が迫るとそれを感知して毛が逆立ち目が光るという不思議な能力も備えているが、シビップが危険を感知した時には仲間に気付かれなかったり、あるいは手遅れである場合がほとんどだった。植物系人類でありその緑色の体には葉緑素が含まれている。とかく個々の利益に走りがちなサジタリウス号クルーの中で、ただひとり純粋な心を持っているキャラクターといえ、仲間に人情や友情の大切さを気付かせるという場面が多い。結婚することが夢 (?) らしい。故郷のライララ村には家族のハンヨー(母)とトンヨー(父)がいる。口癖は「ペポ」。
- アン教授(岡本麻弥)
- 宇宙考古学者にして宇宙物理学者でもある。ムー大陸の存在を実証するために単身ベガ第3星に向かうなど、行動派の学者である。サジタリウス号のクルーではないものの、準レギュラーとしてサジタリウス号の冒険に何回か同行する。ウーマン・リブ的な強さと母性本能による優しさを兼ね備えた女性といえるが、それがもとで恋人のジラフとケンカをすることもしばしば。年齢は30代。ジラフと結婚後も宇宙考古学者として宇宙を飛び回っている。
- ピート(高島雅羅)
- トッピーの妻。地球でトッピーの帰りを待ち、苦しい家計をやりくりしながら、娘・リブを育てる。まさに良妻賢母。
- ナラ(峰あつ子)
- ラナの妻。ひと月ぶりに旦那が帰宅しても、迎えにも出ずテレビで昼メロ (?) に見入っているようなグータラ女房的な面もあるが、7人の子供たちの面倒を見ながら、ラナの少ない給料を内職やパートで補い、夫の仕事を陰から支えるなど、ラナの良き理解者でもある。
[編集] サジタリウス号
宇宙便利舎が中古で購入した貨物宇宙船。トッピーとラナは宇宙便利舎でこの宇宙船のクルーを務めていた。船名のサジタリウスとは射手座のことで、同船には弓矢をモチーフとしたシンボルマークが付けられている。宇宙便利舎倒産後は宇宙コスモサービス社の資産となり、宇宙便利舎倒産後に宇宙コスモサービス社の社員となってその後退職したトッピーとラナに対し退職金代わりに譲渡された。サジタリウス号を元手にトッピーは新宇宙便利舎を起業することになる。
深緑色のいかにも旧式然とした宇宙船で、大気圏突入時に船内を冷却する機構が無く、「指令エックス」と称してクルーが着衣を脱いで、突入時に発生する高熱をしのぐというシーンが何回か登場した。また故障も多く、操縦レバーが折れたり、燃料漏れを起こすといったトラブルは当たり前で、メインエンジンが故障して操縦不能になり、これで事件に巻き込まれるという展開は例に事欠かない。船体最後部のロケットエンジンの噴射から推力を得て、船体側面のロケットエンジンで操舵をしていると推測されるが、航行速度等は作中で正確な数字で示されることがなかったので不明。ただ、最新の宇宙船に比べるとかなり遅いらしい。他のSF作品では見られるワープなどの宇宙航行技術に関する設定や情報が本作では一切登場しないため、どのようにして恒星間航行を実現しているのかも謎である。
船体は前半のコクピット部と後半の貨物・推進部に大別される。離着陸時は一体となっているが、航行時は通路部を通じて分離可能な構造になっている。通路部を囲むような形で予備燃料タンクを装着することも可能。初期のエピソードではコクピット部が貨物・推進部から完全に分離して、大気圏に突入するということもあったが、以後はそのような運用をされていない(EDの映像ではコクピット部のみで海上に漂うシーンがある)。またコクピット部には3機の船外作業用ポッドと小型の飛行機が格納されている。ポッドは数回の登場が確認できるが、飛行機は初期に1回登場したのみで、その後の登場は確認できない。
同型の宇宙船が登場するエピソードは無いが、リブのお気に入りのおもちゃがサジタリウス号の模型であることを考えると、模型になるほどにかつてはありふれた種類の機体だったのかもしれない。
[編集] スタッフ
- 原作:アンドレア・ロモリ
- 製作:本橋浩一
- 製作管理:高桑充
- 企画:佐藤昭司
- 音楽:美野春樹
- 脚本:一色伸幸・藤本信行・城谷亜代・久樹晴美・松下幹夫・古長直美
- 総作画監督:坂巻貞彦
- キャラクターデザイン:坂巻貞彦・関修一・高野登
- 絵コンテ・演出:横田和善・鈴木孝義・早川啓二・斎藤次郎・大町繁・佐藤博暉・花井信也・小金井良一 他
- 作画監督:高橋昇・菅原浩喜・高野登・朝倉隆・石川哲也・武内啓・石之博和・小泉謙三・小川隆雄・飯村一夫・小和田良博 他
- 美術監督:阿部秦三郎
- 撮影監督:森田俊昭
- 録音監督:藤野貞義
- オープニング・エンディング作画:北原プロ
- 動画チェック:白鳥真澄・三好正人・牧由尚・村田美樹子 他
- 背景:スタジオロフト・スタジオWHO・ボア83・アートワークショップ・スタジオアクア・ブーメラン
- 美術助手:千葉みどり・藤田勉
- 彩画:スタジオキリー 岩切紀親・久保田滝子・森沢千代美・渡部真由美 伊良波淳子・田村至子・羽生田たか代・下地美江
- 撮影:トランスアーツ 鳥越一志・細田恒生・杉山幸夫・松沢宏明・金沢章男・大久保宏孝・藤井秀生・大空佳史
- 色指定・検査:宇野薫・一瀬美代子
- 色指定助手:荒川英子・篠山智恵子
- 特殊効果:滝沢昭夫
- 編集:瀬山武司(前期のみ)笠原義宏(後期のみ)
- タイトル:道川昭
- 現像:東京現像所
- 録音制作:映像音響システム(現:サンオンキョー)会田昌克
- 効果:依田安文(フィズサウンド)
- 整音:佐藤守
- 録音スタジオ:太平スタジオ・アバコスタジオ
- 制作デスク:余語昭夫
- 制作進行:八重垣孝典・石井義光・山田直明・中村誠人・伊藤久夫・鈴木孝・宗岡幸男・安部吉晴・小林克規・小林正彦 他
- 演出助手:佐土原武之・石堂宏之・村山靖 他
- 設定制作:小林正彦
- プロデューサー:宇都宮恭三(テレビ朝日)・松土隆二(日本アニメーション)
- 監督:横田和善
- 製作・企画:日本アニメーション株式会社
- 制作:テレビ朝日、日本アニメーション
- ©ANB・NIPPON ANIMATION CO.,LTD.1986
[編集] 主題歌
[編集] 放送リスト
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[編集] ネット局
※印は時差ネット
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[編集] エピソード
- 実は本作については1982年の段階でパイロットフィルムが完成しており、当時のアニメ雑誌にも新番組予定として紹介されていた。しかし、スポンサーの確保に手間取ったと言われており、実際にオンエアが始まるまでにはそれから4年近い歳月を必要とした。そして番組では、住友電工やNEC、藤倉電線(現・フジクラ)といった、普段はアニメーション番組とはおよそ無縁の、またアニメーション番組のイメージとはおよそ似あわなさそうな企業がスポンサーに付いていた。
- 劇中に電子マネーが使われているシーンがある。
- 放送終了が決定した後になって石原裕次郎死去の特番のため番組が1週飛び、最終回のみ第76回の翌日である10月3日(土)19:30-20:00に放送された。このため朝日放送では「部長刑事」とのかねあいで放送時刻が17:55-18:25となり、全国で最も早い最終回となったほか、76回の予告も差し替えられた。ちなみにこのABCでの最終回の直後の番組はネットワークニュースの新番組(ANNニュース&スポーツ)であった。この番組終了後、同年10月10日より土曜19時後半枠に後番組として『アニメ80日間世界一周』がスタートした。
テレビ朝日 金曜19時30分枠 | ||
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前番組 | 宇宙船サジタリウス | 次番組 |
巨獣特捜ジャスピオン (→月曜19時に移動) |
ニュースシャトルANN (19:20から) |
BS2衛星アニメ劇場 月曜18時30分枠 | ||
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とんがり帽子のメモル | はれときどきぶた |
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