島国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
島国(しまぐに)とは領土が島のみで構成されている国のこと。対義語は内陸国。
目次 |
[編集] 概要
島国に共通する特徴は少ない。面積だけをとってもナウルの21平方kmからインドネシアの191万9440平方kmまで規模はさまざまである。周辺は海洋であるため、海洋からの資源(食糧など)、船舶による貿易を容易にする条件が整っている場合がある。交易ルートとして栄える地域も多い。気候条件はさまざまであるが、大陸性気候にはならない、つまり気温の年較差が小さいという点では一致している。
[編集] 経済
大消費地域に近い、もしくは航路上に位置する場合は、交易によって発展しやすい。近代に至るまでは船舶は速力が遅く、ひんぱんな補給が必要であった。船員も現代のタンカーのように数人~10人程度という少人数ではなく、数十人という場合もあった。このため、頻繁な食料補給が必要となり、島国は貴重な補給基地として活用された。寄港地には船舶によって運搬されてきた物品を扱う交易所が発展する傾向が見られる。
海洋資源(魚類など)の採取によって動物性蛋白質を得ることが容易な島国が多い。
[編集] 気候風土
亜寒帯~寒帯では海流によって気候が一定に保たれている事も多い。
国土が狭い島国では河川や湖沼などの形で雨水が残り難く、井戸を掘っても海に近い地域では塩水井となってしまう。農耕に適するだけの水が得がたい地域も少なくない。
[編集] 問題点
地球温暖化に伴う海面上昇によって、沿岸部に開けた平地が水没する危険もある地域も出てきている。特に海抜の低い太平洋諸国において、国土が縮小しており、いずれ国土そのものが消失してしまうのではないかという危機に直面している。モルディブでは海面上昇が死活問題ともなっている。
[編集] 国防
共通点は少ないものの、近代以前は軍団を大量の船舶で輸送しなければ島国を攻撃することはできない。攻撃されても守備側有利の上陸戦を行えるため、攻撃すら受けない場合が多く、極端に対外戦争経験が少ない国もある。近代以後も国防は海上防衛を中心とすることが多い。
[編集] 分類
島国にも様々なタイプがある。一概にまとめることはできないが、いくつかの分類を提示する。
- 大陸に近く、比較的規模の大きな大国
- 大陸に近いが、規模の小さい小国
- 大陸から離れた小国
- 太平洋諸国など・・・文化的にも政治的にも独自の発展を遂げていた。
こういった区分はあくまでも恣意的なものであり、全ての事例に対して当てはまるわけではないことは明記する。 いずれのタイプの国々も近代以降は西洋文明の進出により多くが植民地化、半植民地化されていき、こういった特性は次第に薄れていった。それでも国防上、強力な海軍を擁したり、経済上巨大な港を建設するなどの特性はあったが、現代に入り、航空技術の発展や経済、情報のグローバル化、植民地独立の達成により均質化が進み、そういった特性も次第に薄れつつある。
- かつて存在した島国
[編集] 島国根性
島国に住む人には、その地域(国家)特有の住民性が見られる場合もあり、これを指して島国根性(しまぐにこんじょう)と呼ぶ場合がある。英語では Insularism がこれに相当する。日本や日本人だけに言われるものではない。
[編集] 日本における島国根性
日本語における「島国根性」とした場合は、根性論の根性とは関係無く、日本で育まれた文化や価値観を否定的に捉え、日本人的国民性を指すややネガティブなイメージを含む場合がある。これらでは、以下の項目に絡んで日本人の閉鎖性(狭量さ)・日本民族(または大和民族)同士で小さな社会を形成してしまう傾向・ないし日本人自身のコンプレックスなどが取り沙汰される傾向も否定できない。
- 日本の民族問題
- 日本の外国人に対する反応
- 日本国内の外国人労働者に対する反応
- 留学・外国赴任における現地コミュニティに対する馴染み難さ
- 英会話教室に見られる英語等、外国語コンプレックス
- 海外旅行に於ける落書きなどの問題行動
とはいえこれらは、島国という地理的条件というよりも、文化面やメンタリティにおける民族性に負う所も大きく、他方では語学的な制約から相互コミュニケーションが難しい等の要因も挙げられる。各々の特徴とされる物も、実際には文化的に似通った様々な民族に共通して見られる傾向でもあるため、単なる日本人論に囚われずに、それら他文化同士の社会科学的な視点による比較論にも注目すべきだといえよう。