戦闘潮流
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『戦闘潮流』(せんとうちょうりゅう、JOJO'S BIZARRE ADVENTURE Part2 Battle Tendency)は、荒木飛呂彦の代表作である大河漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』のPart2(第2部)。波紋の戦士シリーズ・第2弾。
『戦闘潮流』は後につけられた副題で、連載当時の副題は「第二部 ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統」。
目次 |
[編集] あらすじ
Part1『ファントムブラッド』から50年後の1938年のニューヨークから物語は始まる。Part1の主人公ジョナサンの孫であるジョセフ・ジョースター(愛称ジョジョ)が、過酷な波紋の修行を経て、石仮面の吸血鬼より強力な「柱の男」達と種の存亡をかけて戦うアクション活劇。「柱の男」の更なる進化に関わる秘宝「エイジャの赤石」争奪戦が軸となっている。ナチスの部隊もこの争奪戦に参加し、主人公サイドと複雑な絡みを見せた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 波紋の戦士
- ジョセフ・ジョースター
- 詳しくはジョセフ・ジョースターを参照。
- シーザー・アントニオ・ツェペリ
- 詳しくはシーザー・アントニオ・ツェペリを参照。
- リサリサ(エリザベス・ジョースター)
- ジョセフとシーザーの波紋の師であり、波紋の修行を厳しく指導した。
- ジョセフの母親であり、1889年の大西洋の事件(Part1のラスト)でエリナに助けられた赤ん坊。ストレイツォによって育てられる。
- 成人し、イギリス空軍のパイロットだったジョージII世と恋に落ち結婚、ジョセフを産む。しかし、イギリス空軍に司令官として潜んでいたゾンビに、ジョージII世を殺されてしまう。そのゾンビを波紋で倒すものの、その場面を軍人のひとりに見られてしまい、「イギリス空軍司令官殺し」の汚名と国家反逆罪で、全世界へ指名手配となってしまう。スピードワゴン財団の協力により、あらゆる手段で身元を消し、姿をくらましていた。ゆえに、ジョセフは、彼女が実の母だということを知らない。
- 波紋による影響で、50歳なのに20代後半のような若々しい外見を持っている。その波紋パワーはジョセフのかるく3倍。武器は、サティポロジア・ビートルという虫の「100%波紋を伝える糸」で編まれたマフラーで、それに波紋を流して吸血鬼を倒す。また武器であると同時に、生命反応を感知できるレーダーにもなっている。
- 柱の男たちとの戦いの後、ジョセフに自分が母親であるとうち明け、ともにアメリカへ移住、1948年にハリウッドの脚本家と再婚した。Part3には登場こそしないものの、ジョセフに「ジョースター家の血筋の人間には左肩に星型のアザがある」ことを教えていた。ちなみに、息子ジョセフはPart6であっても依然健在であり、彼女もまた波紋法を続けていれば、あるいは生きている可能性もある。
- 名前の由来はアメリカのバンド「Lisa Lisa And Cult Jam」。
- ロギンズ
- リサリサの屋敷の召使であり、波紋の師範代。リサリサの下でジョセフとシーザーを厳しく指導した。最終試練の場でジョセフを待っていたところ、エシディシに殺される。名前の由来はアメリカのロックユニット「Loggins & Messina」から。
- メッシーナ
- リサリサの屋敷の召使であり、波紋の師範代。ロギンズとともにリサリサの下でジョセフとシーザーを厳しく指導した。エシディシが郵送した赤石の宛て先を突き止めた。単独でカーズのいる城へ向かったシーザーを止めに追うが、ワムウに左腕を切り落とされて気絶する(その後は元に戻っている事から、手術でつけたと思われる)。名前の由来はアメリカのロックユニット「Loggins & Messina」から。
[編集] 柱の男
- サンタナ
- 柱の男たちの一人で、彼らのうちでは最下位の階級にあたる。足手まといとなったのかローマの地下遺跡で眠る他の三人とは離れてメキシコの遺跡で一人眠りについており、スピードワゴン財団が発見したそれをドイツ軍が軍隊の強化の為に収集・研究。その過程で多数の囚人の生き血によって目覚めた。他の3人とは異なり特定の流法(モード)は見せていないし、「波紋」の存在自体知らなかった。最下位とはいってもほんの僅かな間に現代語を習得し、且つ一人でドイツ軍基地を蹂躙する超人そのものの強さを見せる。シュトロハイムの文字通りの捨て身の行動とジョセフの攻撃によって太陽の光を浴び、石化しスピードワゴン財団の研究教材とされた。石化したままの姿で生きている為、以後のシリーズにおいても登場はしないが、スピードワゴン財団の下で、再生しないよう厳重な管理が行われているはずである。ちなみに「サンタナ」の名はシュトロハイムが便宜上名付けただけで本名は不明。柱の男たちは「ヤツ」と呼んでいたが、これは人称代名詞「奴」のことであり本名ではないだろう。物語終盤にはカーズやワムウも「サンタナ」と呼んでいた。会話の相手に分かるように気を使ってくれたのか? 名前の由来はアメリカのラテンロックバンド「Santana」。
- ワムウ
- 柱の男たちの一人。彼らの中では第3位の階級にあたるものの、戦闘の天才と呼ばれる実力者。風の流法(モード)という超能力的な技を用い、必殺技は「神砂嵐(かみずなあらし)」。視覚無しでも、収納可能な1本の角で風の流れから相手の動きを知る事が出来、また肺の水蒸気を胸から出すことで、ごく短時間ながら太陽光線の下(それも雪の積もる、通常よりもきつい環境)でも行動することが出来る。そして額の角はドリルのように回転する武器ともなる。自分の影の中に入られるのを極端に嫌い、無意識のうちに反射攻撃をしてしまう癖がある。カーズ、エシディシに対して非常に忠実であるが、より高次の忠誠の対象として、自らの戦いの美学をおく。
- 自分が認めるに足る敵と戦うことこそを名誉とする誇り高き男。復活後にジョセフと戦い瀕死のダメージを与えるものの、自らに傷を与えた男としてジョセフを認め、その心臓に毒の指輪を埋め込み決闘の約束とした。その後ギリシャにいたらしいが、スイスのサンモリッツにいるカーズと合流、激闘の末シーザーを倒すが、ピッツベルリナ山の決闘でジョセフに敗れる。そして首だけの状態になりながらも自分の戦いを汚そうとした吸血鬼達に制裁を加え、ジョセフとの間に友情を感じながら消滅した。名前の由来はイギリスのユニット「Wham!」から。
- エシディシ
- 柱の男たちの一人。超高熱の血液を用いた炎の流法「怪焔王の流法」(かいえんのうのモード)を用い、必殺技は「怪焔王大車獄(かいえんのうだいしゃごく)」など。自らの血管を変化させた血管針から血を流す攻撃法を用いる。性格は荒っぽく直情的であるが、それを自覚し号泣する事で感情をコントロールする冷静さも併せ持つ。昔、中国に行った事があり、兵法書の「孫子」を知っている。エイジャの赤石の所在を突き止めて1939年2月25日の夜にエア・サプレーナ島を襲撃しロギンズを殺害、ジョセフと戦うが敗北する。しかし脳だけになりながらもスージーQに取りついて赤石をスイスにいるカーズのもとへ郵送、ジョセフとシーザーによりスージーQの体から追い出されると、朝日を浴びて消滅した。名前の由来はオーストラリアのロックバンド「AC/DC」から。
- カーズ
- 柱の男たちの一人。手から生やした刃をきらめかせる光の流法「輝彩滑刀の流法」(きさいかっとうのモード)を用いる。尚刃は足からも生やすことができる。柱の男たちの中では最も知能が高く、究極生命体(アルティメット・シイング)となることを望み「石仮面」を作り出した。(究極生命体となった時点ではIQ400)カーズに恐れを抱き、カーズを殺そうとした同族を返り討ちにし滅ぼしたりと敵対する者には容赦なく、彼にとって自らの信念は絶対のものである。そのためには手段を選ばない卑劣さをも垣間見せる。だが子犬を自動車から守ったり植物を傷つけないように振舞うなど完全な悪とも言い切れない奇妙な一面も見せた。
- 同族を滅ぼした後、自分の思想に共感したエシディシと、生まれたばかりでそれらの事情を知らないワムウやサンタナを引き連れ、究極生命体になる為の研究の過程で「エイジャの赤石」の力を発見。石仮面の完成に必要な「スーパーエイジャ」の所在をつきとめるも、休眠期に入り柱の中で眠りについていた。1939年1月30日にワムウやエシディシとともに復活、後の2月28日、スイスでの決闘でリサリサを騙し討ちにして赤石を手に入れる。その後ジョセフに敗北するが赤石の力で究極生命体と化すことに成功。太陽光を克服すると共にあらゆる生物の能力を体現できるまでになり、且つ「波紋」使いの数百倍もの波紋を練る事が出来るまでにいたった。ジョセフにイタリアのヴォルガノ島まで誘導され溶岩の中に落とされるも脱出。ジョセフの左腕を切断し、彼とシュトロハイムとに死への諦観を抱かせるに至る。しかし新たに得た「波紋」の力をジョセフに向けてしまったのが運の尽き。彼が手にしていた赤石によって増幅された超巨大な波紋パワーが火山を噴火させ、その力で宇宙空間に放り出され凍りついてしまい、そのまま生物と鉱物の中間の様な姿で永遠に宇宙を漂う存在となってしまった(究極生命体なのでそんな状況下ですら死ねない)。名前の由来はアメリカのバンド「The Cars」から。
[編集] 吸血鬼
- ストレイツォ
- 詳しくはストレイツォを参照
- 鋼線(ワイアード)のベック
- カーズの手下の吸血鬼。厚ぼったい唇とドカベンの殿馬のような「〜ズラ」口調が特徴。恋人を絞め殺した脱獄囚だったが、逃亡中にカーズにより石仮面で吸血鬼となる。自分の体毛を棘状に変化させることができる。ジョセフの武器であるクラッカーを破壊するが、リサリサに瞬殺された(そして、ジョセフに口調をマネされる)。ザコなのだが、インパクトは絶大であった。名前の由来はイギリスのギタリスト「Jeff Beck」と彼のアルバム「Wired」から。
[編集] その他の登場人物
- エリナ・ジョースター
- 詳しくはエリナ・ペンドルトンを参照
- スモーキー・ブラウン
- 黒人少年。ニューヨークでジョセフの財布を盗んだが、悪徳警官に見つかりリンチにあっていたところをジョセフに助けられて友人となる。吸血鬼騒動に巻き込まれたりなど不運な所はあったが、成人後はアメリカ初の黒人市長となった。名前の由来はアメリカのアーティスト「Smokey Robinson」。
- ロバート・E・O・スピードワゴン
- 詳しくはロバート・E・O・スピードワゴンを参照
- ジョージ・ジョースターII世
- エリナの息子でイギリス空軍のパイロット。リサリサの夫でジョセフの父。軍の上官がディオの生んだゾンビの生き残りであることに気付いて調査をしていたが、波紋の修行をしていなかったため殺されてしまった。
- ルドル・フォン・シュトロハイム
- ドイツ軍のメキシコ秘密基地の隊長でナチスの一員。階級は当初は少佐(サイボーグ化の後は大佐に昇進)。基地においてサンタナを対象にして柱の男たちの研究をしていたが、サンタナを逃し世界を滅亡させてしまう危機に直面し、サンタナを倒すために手榴弾によって自爆する。その後、全身をサイボーグ化して復活し、ジョセフを助ける。性格はプライドが高く、傲慢なようにも思えるが、勇気のある人間は人種や年齢を問わず尊重し、一人だけ実験台になろうとした捕虜の少年を救ったり(その少年以外の全員を実験に使ったのだが)、自分の身を犠牲にしてジョセフを助けたりと根は結構お人好し。サイボーグ化した体は、サンタナのデータを基にしている為、力はサンタナを上回っているものの、カーズと戦った時には通用しなかった。柱の男たちとの戦いの後に1943年のスターリングラード戦線で名誉ある戦死を遂げた。スピードワゴンが目覚めたときの「我がドイツ(ナチス)の医学薬学(科学力)は世界一ィィィィーー!!」を始め、「飲んどる場合か―――!!」「ドイツ軍人はうろたえないッ!!」など、ファンに多大な影響を与えた名セリフの多いキャラクターである。
- ドノヴァン
- ナチス親衛隊コマンドー。足跡をつけずに砂の上を歩くほどの身軽さを持つ。メキシコの砂漠でジョセフを尾行しストレイツォの情報を聞くため拉致しようとするが、戦闘に敗れて逆に拷問され、スピードワゴン生存の事実を吐く。その後哀れにも、サボテンにくくり付けられてしまった。名前の由来はスコットランドのアーティスト「Donovan」。
- スージー・Q(スージーキュー)
- リサリサの使用人。かなり天然ボケの性格で、イタリア人。脳髄のみのエシディシによって操られるが、ジョセフに救われた。柱の男との戦いを終えたジョセフを介抱し、のちにジョセフと結婚する。名前の由来はアメリカのロックミュージシャン「Suzi Quatro」という説もあるが、おそらくDale Hawkinsの「Susie Q」。
- マルク
- ナチス・ドイツの軍人。シーザーの親友。仕事に一生懸命な人の良い青年。シーザーに手伝ってもらってナンパした、婚約中の彼女がいる。柱の男たちの眠る、ナチスが監視しているローマの地下遺跡にジョジョやシーザーを案内するが、眠りから目ざめたワムウによって体の横半分を食われて致命傷を負う。
[編集] 関連用語
- 柱の男(はしらのおとこ)
- 2000年周期で石の柱の中から復活し活動する謎の生物「闇の一族」のこと。そのうちの一人であるカーズが滅ぼしたため、生存するのはカーズ・エシディシ・ワムウ・サンタナの四人。かつて神や悪魔(或いは鬼)などと原始の人間たちに認識されていた存在。頭にはそれぞれ固有の角(ワムウの発言)、或いは触覚(カーズの発言)がある。人間とは比較にならぬほどの寿命・知能・格闘能力を誇るが、太陽光に弱く、紫外線を受けると、吸血鬼のように灰化まではしないものの、硬直して石となる。ただし「波紋」の攻撃を受ければ消滅もする(もしくは、角を折られると消滅するのかもしれない。事実エシディシの肉体が消滅したのも、ワムウが消滅したのも角が折れた直後である)。「石仮面」に「エイジャの赤石」の力を取り込み、弱点の太陽光を克服、究極生物へ進化することを目論んでいた。「波紋」使いの一族は、この柱の男達からエイジャの赤石を守るため、また柱の男達を殲滅するために存在することが明らかになる。Part1に登場する石仮面は、実は自分たち用のそれを作り出す為の試作品であった。その試作品であった「石仮面」を使い、柱の男達は、ただの人間よりも高効率のエネルギー源として人間を吸血鬼に変貌させ、捕食していた。
- エイジャの赤石(えいじゃのせきせき)
- カーズ達が捜し求めていた赤い石。太陽を克服し、究極生命体になるために必要とされ、その行方を追っていた。宝石としてペンダントの一部として偽装され、リサリサが所持していた。結晶内で光を何億回も反射を繰り返し増幅した後、一点に照射する力を持っており、特に完全に曇りの無い状態の石は『スーパーエイジャ』と呼ばれている(不完全な石でさえ、ランプの炎の光だけで、エシディシの掌を貫通する威力がある)。石仮面に装着する事によって、光を増幅する力により石仮面の脳を押す力を増幅させ、「闇の一族」を究極生命体へと変貌する事が出来る力を持っている為、本来は危険な石ではあるものの、これが無ければカーズ達を倒せないという言い伝えが残されていた為、代々の波紋戦士によって引き継がれていた(波紋を増幅する力があり、この力を持ってカーズ達を倒そうとしていたからと思われる)。だが波紋増幅能力については伝承されず、カーズによって奪われ、カーズはこの石を使い、究極生命体へと変貌する。しかし最後はこの石の力が火山の大噴火を引き起こし、カーズを宇宙へと追放したため、結果的に言い伝えは真実になったともいえる。
[編集] その他
- 登場人物の名称は洋楽のバンド名やメンバー名などをアレンジしたものが多い。
- 劇中のセリフ・シーンに「空手バカ一代」へのオマージュを感じさせるシーンが多い。
- 後の時代であるPart3を原作にした格闘ゲーム版『ジョジョの奇妙な冒険』には、隠しキャラクターとしてPart2仕様のジョセフ(誇り高き血統ジョセフ)が登場する。
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漫画: | ファントムブラッド | 戦闘潮流 | スターダストクルセイダース | ダイヤモンドは砕けない | 黄金の風 | ストーンオーシャン | スティール・ボール・ラン |
ゲーム: | コンピュータRPG| 対戦型格闘ゲーム(未来への遺産) | 黄金の旋風 | ファントムブラッド |
設定: | スタンド |
登場キャラクター: | ジョナサン | ジョセフ | 承太郎 | 仗助 | ディオ | エリナ | スピードワゴン | ツェペリ男爵 | ストレイツォ | シーザー | ポルナレフ | ディアボロ |
その他: | 荒木飛呂彦| 死刑執行中脱獄進行中 |ジョジョ立ち |