放送事業者
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放送事業者(ほうそうじぎょうしゃ)とは放送(放送事業者が委託放送事業者である場合は委託放送業務)を行う者である。放送事業者が免許人である場合、これが開設する無線局が放送局である。
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[編集] 定義
[編集] 放送法における定義
放送法では次の3つを放送事業者と規定している。
また、放送法では同法に基づく法人である日本放送協会及び放送大学学園法に基づく放送大学学園以外の放送事業者を一般放送事業者と定義している。
[編集] 一般放送事業者
いわゆる民間放送と呼ばれているものであり、株式会社形態を採っているものが殆どであるが、コミュニティ放送を行う特定非営利活動法人ひがしむらやまエフエムや特定非営利活動法人京都コミュニティ放送の様な特定非営利活動法人、超短波文字多重放送でVICSを放送する財団法人道路交通情報通信システムセンターや東京及び大阪でデジタルラジオの実用化試験を行っている社団法人デジタルラジオ推進協会の様な法人も一般放送事業者である。
[編集] 受託放送事業者
「受託放送事業者」の項目を参照されたい。尚、日本放送協会及び放送大学学園は受託放送事業者でない為、全ての受託放送事業者は一般放送事業者である。
[編集] 委託放送事業者
委託放送事業者とは、委託放送業務に関し、放送法第五十二条の十三第一項の認定を受けた者である。受けるのは飽く迄「認定」であり、電波法の規定により放送局の免許は受けない。但し、同法の規定により放送局の免許を受けた者が委託放送業務の認定を受ける事は出来る。
尚、委託国内放送業務を行う場合における日本放送協会は委託放送事業者に当たらない為、委託放送事業者は放送大学学園又は一般放送事業者である。
[編集] 著作権法における定義
著作権法において放送事業者は「放送を業として行なう者」、有線放送事業者は「有線放送を業として行う者」とそれぞれ規定している。
[編集] その他の法律における定義
放送法及び著作権法以外の法律に拠るものに、有線テレビジョン放送事業者及び電気通信役務利用放送事業者がある。前者は有線テレビジョン放送法において「有線テレビジョン放送の業務を行なう者」と規定している。又、後者は電気通信役務利用放送法第三条第一項の登録を受けた者である。
[編集] 免許の承継
委託放送事業者以外の放送事業者は、前述の通り電波法の規定により免許を受けている免許人である。この免許人の地位は、従来は合併などの場合に限り承継する事が出来たが、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成12年法律第91号)による改正で会社分割した場合、電波法の一部を改正する法律(平成12年法律第109号)による改正で事業譲渡した場合にも承継する事が出来るようになった。
地上系による放送を行う放送事業者の場合、2006年4月1日現在で、次の表に示す3件の免許の承継が行われている。
年月日 | 種別 | 分割・譲渡会社 | 承継会社 |
---|---|---|---|
2001年10月1日 | 吸収分割 | 東京放送 | ティ・ビー・エス・ラジオ・アンド・コミュニケーションズ[1] |
2005年10月1日 | 営業譲渡 | 札幌テレビ放送 | STVラジオ |
2006年4月1日 | 新設分割 | ニッポン放送[2] | ニッポン放送 |
[編集] 災害報道との関係
放送事業者はマスメディアの中でも主要な報道機関であるとともに法律によって防災機関としての位置付けもなされている。放送法の規定及び災害対策基本法、国民保護法などによる指定公共機関としての指定に基づいた災害報道が求められる。
とりわけ国民保護法にて義務付けられている有事の場合に際しては武力攻撃鎮圧及び被害拡大につながりかねない報道については一定のメディア規制を受けるものの、自主性を尊重を原則としつつ、国に対して報道を通じて国民保護のために必要な情報提供を行うことが求められる。このことをもって、報道統制(報道の自由の侵害、戦前の翼賛報道)につながりかねないという議論もある。
1961年に成立した災害対策基本法に基づく諸般の計画では、行政がマスコミと協定を結び協力して災害報道を行うことになっており、国民保護法において政府と報道機関の関係については、今後議論が必要となろう。
[編集] 防災機関・指定公共機関という位置付け
[編集] 放送法(関連部分のみ抜粋)
- 第6条 放送事業者は国内放送を行うにあたり、暴風、豪雨、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するため役立つ放送をするようにしなければならない。
[編集] 災害対策基本法(関連部分のみ抜粋)
- 第2条 5.指定公共機関
- 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)、日本郵政公社、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、内閣総理大臣が指定するものをいう。
- 6.指定地方公共機関
- 地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。)及び港湾法(昭和25年法律第218号)第4条第1項の港湾局、土地改良法(昭和24年法律第195号)第5条第1項の土地改良区その他の公共的施設の管理者並びに都道府県の地域において電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、当該都道府県の知事が指定するものをいう。
- 第55条 都道府県知事は、法令の規定により、気象庁その他の国の機関から災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、又は自ら災害に関する警報をしたときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、予想される災害の事態及びこれに対してとるべき措置について、関係指定地方行政機関の長、指定地方公共機関、市町村長その他の関係者に対し、必要な通知又は要請をするものとする。
- 第56条 市町村長は、法令の規定により災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、自ら災害に関する予報若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害に関する警報をしたとき、又は前条の通知を受けたときは、地域防災計画の定めるところにより、当該予報若しくは警報又は通知に係る事項を関係機関及び住民その他関係のある公私の団体に伝達しなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、住民その他関係のある公私の団体に対し、予想される災害の事態及びこれに対してとるべき措置について、必要な通知又は警告をすることができる。
- 第57条 前2条の規定による通知、要請、伝達又は警告が緊急を要するものである場合において、その通信のため特別の必要があるときは、都道府県知事又は市町村長は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、政令で定めるところにより、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第5号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、若しくは有線電気通信法(昭和28年法律第96号)第3条第4項第3号に掲げる者が設置する有線電気通信設備若しくは無線設備を使用し、又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第3号の2に規定する放送事業者(同条第3号の4に規定する受託放送事業者(以下「受託放送事業者」という。)を除く。)に放送を行うこと(同条第3号の5に規定する委託放送事業者にあつては、受託放送事業者に委託して放送を行わせること)を求めることができる。
[編集] 国民保護法(関連部分のみ抜粋)
正式な法律名を「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」と言う。
- 第7条の2 国及び地方公共団体は、放送事業者(放送法(昭和25年法律第132号)第2条第3号の2の放送事業者その他の放送(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信をいう。次条第二 項において同じ。)の事業を行う者をいう。以下同じ。)である指定公共機関及び指定地方公共機関が実 施する国民の保護のための措置については、その言論その他表現の自由に特に配慮しなければならない。
- 第8条の2 国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民の保護のための措置に関する情報 については、新聞、放送、インターネットその他の適切な方法により、迅速に国民に提供するよう努めな けれならない。
- 第50条 放送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関は、第45条第2項又は第46条の規定による通知を受けたときは、それぞれその国民の保護に関する業務計画で定めるところにより、速やか に、その内容を放送しなければならない。
- 第51条 対策本部長は、警報の必要がなくなったと認めるときは、当該警報を解除するものとする。
- 第101条 第50条の規定は、放送事業者である指定公共機関又は指定地方公共機関が前条第一項の規定による通知を受けた場合について準用する。
[編集] 指定公共機関たる公共放送・放送事業者
国民保護法施行令では次のように定められている。
- 第3条
- 内閣総理大臣指定公示(県域放送の民間放送は指定公示されていない)
- 103 朝日放送株式会社
- 104 株式会社テレビ朝日
- 105 株式会社テレビ東京
- 106 株式会社東京放送
- 107 株式会社フジテレビジョン
- 108 株式会社毎日放送
- 109 関西テレビ放送株式会社
- 110 中京テレビ放送株式会社
- 111 中部日本放送株式会社
- 112 東海テレビ放送株式会社
- 113 名古屋テレビ放送株式会社
- 114 日本テレビ放送網株式会社
- 115 讀賣テレビ放送株式会社
- 116 大阪放送株式会社
- 117 株式会社ティ・ビー・エス・ラジオ・アンド・コミュニケーションズ
- 118 株式会社日経ラジオ社
- 119 株式会社ニッポン放送
- 120 株式会社文化放送
- 121 東海ラジオ放送株式会社
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 2005年4月1日にTBSラジオ&コミュニケーションズに改称している。
- ^ 同日にニッポン放送ホールディングスに改称、フジテレビジョンに合併し解散している。