デジタルラジオ
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従来のAM、FMラジオ放送に比べ受信状況の変化によるノイズが少なく、格段に高音質である事、データ放送などの付加サービスが充実している事などが特徴である。
CS-PCM音声放送・衛星デジタル音声放送・BSデジタル音声放送(BSデジタルラジオ)・地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)等の種類があるが、地上デジタル音声放送を指すことが多い。
目次 |
[編集] 地上波による放送
[編集] 地上デジタル音声放送
地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)は、日本の地上デジタルテレビジョン放送の移動体向け放送(いわゆる“ワンセグ”)のISDB-Tを拡張したISDB-T SBを採用している。1セグメントの占有帯域は430kHz、伝送速度は4つの変調方式のうち移動体に適した方式で280kbps、圧縮方式はMPEG-2AAC。中継局を同一周波数で使用できるSFNが使用できる。テレビが13セグメントでUHF帯を使用するのに対して、ラジオでは3または1セグメントを一単位として利用し、VHF帯を使用する。
[編集] 実用化試験放送
デジタルラジオ推進協会が免許人・運営者となり、2003年10月10日から東京タワー(800W)と生駒山(240W)から共にテレビVHF7chの周波数で8セグメント使用して放送されている。2007年2月19日より東京タワーの出力が800wから3倍の2.4kwに増力された。
TOKYO FMとfmosakaでは、2006年12月から試験放送の放送時間を1日あたり現行の2倍の20時間に増やした。一方でJ-WAVEでは2006年11月末で撤退を表明している。
[編集] 本放送開始まで
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[編集] 現状
- 2006年12月1日現在、エフエム東京は「本格的な実用化試験放送」(エフエム東京として本格的に取り組むことを意味する)を開始している[1]。
- TBSラジオは2007年4月に「OTTAVA(オッターヴァ)」の実用化試験放送を開始するとしている[2]。
[編集] 本来の計画
当初の地上波デジタル音声放送の本放送開始は2011年の地上アナログテレビ放送終了後の予定である。試験放送は、VHF帯の1チャンネル(東京・大阪地区は7ch)を8セグメントに分割し、すべてのセグメントを社団法人デジタルラジオ推進協会に割り当てていたが、本放送時には、1セグメントはNHKに、残り7セグメントは民放局等が共同出資して設立される株式会社マルチプレックスジャパンに割り当てる予定。この運営会社が、出資した放送局から番組の提供を受けて放送することになる予定。
なお、地上アナログテレビジョン放送とは異なり、従来のアナログラジオ放送(AM・FM・短波放送)は2011年のデジタルラジオ本放送開始以降も継続して放送される。これは災害時の情報伝達手段として、従来のアナログラジオ放送が重要視されているためであり、デジタルラジオ放送は従来の置き換えではなく、4番目のラジオ放送という位置づけになっている。
又、テレビ兼営の民間放送は、テレビと同じチャンネル(リモコンキーID)番号が割り当てられる可能性もある。
[編集] 前倒し計画に関する曲折
地上波デジタル音声放送の本放送開始は本来、2011年の地上アナログテレビ放送終了後の予定ではあるが、一時期、テレビが2006年度から携帯端末向けにデジタル放送(ワンセグ)を始めたため、ラジオも当初計画を5年前倒しして2006年に本放送開始することが計画された。
しかし2006年10月にマルチプレックスジャパン設立の発起人会を開催する予定だったが(社団法人デジタルラジオ推進協会 第9回東京放送番組審議会議事概要より)、設立の見通しが白紙化されたため、2006年の本放送開始の見通しも立たなくなり、当初予定の2011年以降に立ち返る公算が大きくなった。
総務省の2011年以降の電波割当て計画の動向も大きな影響があるとされている。
開始を前倒しするとしていた計画では、2006年10月頃より東京・大阪地区で本放送を開始し、2008年頃までには札幌・仙台・静岡(静岡・浜松両地域で放送するものの、静岡市周辺は、当初の放送エリアはかなり狭い計画だった)・名古屋・広島・福岡地区で開始することとなっていた。なお、東京・大阪地区は2006年4月を当初予定したが、事業計画の練り直し、放送免許取得の遅れなどにより半年延期され、さらに計画が白紙化する事となった[3]。
また、民生用では初のデジタルラジオ受信機(KDDIの携帯電話W44S、2006年12月発売)が登場することにより、2006年4月に前倒しする計画も持ち上がった[4]。しかし諸般の事情によりそれも立ち消えとなった。
エフエム東京の「本格的な実用化試験放送」では初日にデータ放送関連でのトラブルが生じた[5]。
[編集] チャンネル
[編集] 東京
2007年4月現在
- 91チャンネル NHK・VICS
- 9101(NHK) - NHK・財団法人道路交通情報通信システムセンター
- 92チャンネル DR@TOKYO 92
- 9201(ハマセグ/digitalBay) - 横浜エフエム放送・ベイエフエム
- 9202(OTTAVA) - TBSラジオ&コミュニケーションズ
- 93チャンネル Digi Q+N 93
- 9301(UNIQue the RADIO) - エフエムナックファイブ・文化放送
- 94チャンネル - 休止(2007年6月本格開始)
- 9401(DIGIPICO!) - 伊藤忠商事
- 95チャンネル D95
- 9501(Suono Dolce) - ニッポン放送
- 9502(D95) - 伊藤忠商事 (2007年4月に9401に移動予定)
- 96チャンネル - 割り当てなし
- 97チャンネル TOKYO FM 〔3セグメント放送〕
- 9701チャンネル(3セグメント放送701) - エフエム東京(音楽番組)
- 9702チャンネル(3セグメント放送702) - エフエム東京(音楽番組)
- 9703チャンネル(3セグメント放送703) - エフエム東京(ニュース専門)
- 98チャンネル - 休止
備考
- 98チャンネルは、2006年3月までニッポン放送・エフエム東京が共同で番組を製作していたが、同年4月から10月までニッポン放送が9801チャンネル、エフエム東京が9802・9811チャンネルに独立してチャンネルを運営した。
- 試験放送開始時には次の企業も構成社として参加していたが撤退した。テレビ朝日(93チャンネル)、メガポート放送・ラジオ日本(94チャンネル)、ソニー・ソニーコミュニケーションネットワーク(95チャンネル)、ジャパンエフエムネットワーク(98チャンネル)〔以上、撤退時期不詳 2006年4月以降か?〕、日経ラジオ社(92チャンネル 2006年3月撤退)。2006年10月よりニッポン放送・エフエム東京(98チャンネル)が現在のチャンネルに移動した。
- 上記の構成社再編成により、98チャンネル(愛称 The Voice98)は放送休止となった。
- J-WAVEは94チャンネル(愛称 DAZ94)で放送を行っていたが2006年11月で撤退したため、2007年5月まで94チャンネルは放送休止となった。
- 2007年3月5日より92チャンネルにてOTTAVAのプレ放送が開始した。
- 92チャンネル「DR@TOKYO92」は、2007年4月より愛称を「ハマセグ/digitalBay」に改称し、TBSラジオ&コミュニケーションズを除いた横浜エフエム放送とベイエフエムで構成される。
- 93チャンネルの開局時の愛称はDigi Q+N 93(デジキューン93)だったが、2007年4月2日よりサービス名がUNIQue the RADIOに変更される。(放送局名はDigiQ+N93のままである)
- 伊藤忠商事は、2007年6月より95チャンネルから94チャンネルに移行、愛称を「D95」から「DIGIPICO!」に改称し、本格スタート予定。
- 95チャンネルの愛称はLFX mudigiだったが、2007年4月2日よりサービス名がSuono Dolceに変更された。
[編集] 大阪
2006年12月現在
- 91チャンネル
- 9101(NHK) - NHK・財団法人道路交通情報通信システムセンター
- 92~95チャンネル
- 96チャンネル - 割り当てなし
- 97チャンネル〔3セグメント放送〕
- 9701チャンネル(fm osaka1) -エフエム大阪(音楽番組シーン)
- 9702チャンネル(fm osaka2) -エフエム大阪(ハイクオリティー音楽番組)
- 9703チャンネル(fm osaka3) -エフエム大阪(ニュース専門)
備考
- 96チャンネルは試験放送開始当初は割り当てられていたが、その後放送休止となった(時期不詳)。
- 試験放送開始時はエフエム京都・関西テレビ放送・京都放送・讀賣テレビ放送・Kiss-FM KOBE・プロムナード・ラジオ関西も構成社として参加していたが、後に撤退(時期不詳、2006年4月以降か?)。
- 97チャンネルは、2006年12月放送開始。
[編集] DAB
DAB(Digital Audio Broadcast)は、ほぼ世界で使用されている方式。ヨーロッパで開発された。1995年開始、VHF帯、UHF帯、衛星を使用する。EU諸国で規格化したEureka-147方式で、Lバンド衛星波又は地上波を使って放送される。
- DABを採用した主な国は以下の通り
- 実用放送 :イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、スイス、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、キリシャ、カナダ
- 試験放送 :イタリア、オーストリア、ポーランド、オーストラリア
[編集] IBOC
IBOC(In-band on-channel)は、アメリカのFCCに認可を受けた方式。従来のAMラジオ(中波)とFMラジオにデジタル信号を多重する方式。放送エリアはアナログ放送よりかなり狭いが、デジタルが受信できないエリアではアナログ放送に切り替わる。放送局の投資費用が少ないという利点がある。
[編集] DRM
デジタル・ラジオ・モンディエール(DRM)は、AMラジオ(中波)にも使用できる方式だが、主に短波ラジオで使われている。
[編集] 衛星波による放送
[編集] 日本国内
- 移動体向け衛星放送(モバHO!、2004年開始のモバイル放送)
- CS-PCM音声放送(ミュージックバード、通信衛星JCSATを用いたCS音声放送)
- 衛星放送
- 通信衛星
- SKY PerfecTV!(スターデジオ)
- ミュージックバード
- SOUND PLANET(USEN)
- サウンドテリア(CS110° 放送中止 20チャンネルあった)
- ワールドスペース(無料、パラボラアンテナは必要ない)
[編集] 海外
- アメリカ国内移動体向けの衛星デジタル音声放送
- XMサテライトラジオ(XM Satellite Radio)
- シリウスサテライトラジオ(Sirius Satellite Radio)
なお、日本国内でも海外衛星テレビ受信装置(DVB、アナログ)で海外ラジオ放送が幾つか受信できる。
[編集] デジタルラジオに対応した受信機
[編集] 携帯電話・PHS (地上デジタル)
- W44S (ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ)(ワンセグ放送も受信可能) CDMA 1X WIN端末。2006年12月8日(東北は9日)発売
- W51SH(シャープ)(ワンセグ放送も受信可能) CDMA 1X WIN端末。2007年春発売
- W51T (東芝)(ワンセグ放送も受信可能) CDMA 1X WIN端末。2007年2月9日(東北・関東・中部・関西・沖縄は10日)発売
- W52T (東芝)(ワンセグ放送も受信可能) CDMA 1X WIN端末。2007年2月16日(北海道・関東・関西・中国・四国・沖縄は17日、中部・九州は22日、東北は24日)発売
[編集] 専用携帯端末 (地上デジタル)
- 法人向け「評価用」
ピクセラは2006年5月に専用携帯端末を発売すると2005年12月発表した[7]が、地上デジタルラジオの本放送開始が(5年前倒し案の)計画通り実施されず、同製品の機能評価が完了していないため」として発売を延期[8]。その後9月にデジタルラジオ評価用としてprodia発売開始[9]。デジタルラジオに加えワンセグ、アナログFMラジオにも対応。
- 一般消費者向け
パソコン用USB接続型ワンセグチューナでデジタルラジオも受信可能。但し受信用ソフトウェアはまだサンプル版の段階で製品には同梱されておらず、別途同社Webサイトからダウンロードする形式となっている上、著作権対応によりWindows Vistaのみでの対応である。