春日大社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
春日大社 | |
---|---|
![]() 南門 |
|
所在地 | 奈良県奈良市春日野町160 |
位置 | 北緯34度40分53秒 東経135度50分54秒 |
主祭神 | 武甕槌命 経津主命 天児屋根命 比売神 |
社格等 | 式内社(名神大)・二十二社・官幣大社・勅祭社・別表神社 |
創建 | 神護景雲2年(768年) |
本殿の様式 | 春日造 |
例祭 | 3月13日(春日祭) |
春日大社(かすがたいしゃ)は、奈良県奈良市の奈良公園内にある神社である。旧称春日神社。式内社(名神大社)、二十二社の一社で、旧社格は官幣大社。全国にある春日神社の総本社である。
藤原氏の守護神である武甕槌命と経津主命、祖神である天児屋根命と比売神を祀る。四神をもって藤原氏の氏神とされ、春日神と総称される。武甕槌命が白鹿に乗ってやってきたとされることから、鹿が神使とされる。
目次 |
[編集] 歴史
奈良・平城京に遷都された和銅3年(710年)、藤原不比等が藤原氏の氏神である鹿島神(武甕槌命)を春日の御蓋山に遷して祀り、春日神と称したのに始まる。社伝では、神護景雲2年(768年)に藤原永手が鹿島の武甕槌命、香取の経津主命と、枚岡神社に祀られていた天児屋根命・比売神を併せ、御蓋山の麓の四殿の社殿を造営したのをもって創祀としている。ただし、近年の境内の発掘調査により、神護景雲以前よりこの地で祭祀が行われていた可能性も出てきている。
藤原氏の隆盛とともに当社も隆盛した。平安時代初期には官祭が行われるようになった。当社の例祭である春日祭は、賀茂神社の葵祭、石清水八幡宮の石清水祭とともに三勅祭の一つとされる。嘉承3年(850年)には武甕槌命・経津主命が、天慶3年(940年)には天児屋根命が最高位である正一位の神階を授かった。延喜式神名帳には「大和国添上郡 春日祭神四座」と記載され、名神大社に列し、月次・新嘗の幣帛に預ると記されている。
藤原氏の氏神・氏寺の関係から興福寺との関係が深く、弘仁4年(813年)、藤原冬嗣が興福寺南円堂を建立した際、その本尊の不空絹索観音が、当社の祭神・武甕槌命の本地仏とされた。神仏習合が進むにつれ、春日大社と興福寺は一体のものとなっていった。11世紀末から興福寺衆徒らによる強訴がたびたび行われるようになったが、その手段として、春日大社の神霊を移した榊の木(神木)を奉じて上洛する「神木動座」があった。
明治4年に春日神社に改称し、官幣大社に列した。昭和21年に現在の春日大社に改称した。
[編集] 施設
[編集] 本殿
春日造の本殿が四殿並んで建っており、第一殿に武甕槌命、第二殿に経津主命、第三殿に天児屋根命、第四殿に比売神が祀られている。拝殿はなく、一般の参拝者は幣殿の前にて、初穂料を納めて特別拝観を申し込んだ場合は本殿前の中門から参拝することになる。
[編集] 摂末社
広大な境内には多数の摂末社がある。本殿の東側には比売神の御子神として天押雲根命を祀る摂社若宮神社があり、若宮神社、夫婦大国社を始めとする本殿東側の十二社は、「福の神十二社めぐり」として古来より崇敬を集めている。
本殿廻廊の西南隅には、摂社・榎本神社(式内小社)がある。榎本神社の祭神は当地の地主神であり、元々この地で祀られていた神であるとされる。現在の祭神は猿田彦大神であるが、中世までは巨勢姫明神とされていた。
[編集] 祭事・年中行事
- 旬祭(毎月1日・1日・21日)
- 神楽始式(1月3日)
- 御祈祷始式(1月7日)
- 舞楽始式(1月10日)
- 節分万燈籠(節分の日)
- 御田植祭(御田植神事)(3月15日)
- ひと雛まつり(4月3日)
- 水谷神社鎮花祭(4月5日)
- 菖蒲祭(端午の節供祭)(5月5日)
- 献茶祭(5月10日)
- 薪御能(5月11日 - 12日)
- 夏越大祓式(6月30日)
- 中元万燈籠(8月14日 - 15日)
- 采女祭(中秋の名月の日)
- 重陽節供祭・献香祭(10月9日)
- 文化の日舞楽演奏会(11月3日)
- 春日若宮おん祭(12月15日 - 12月18日)
- 年越大祓式(12月31日)
[編集] 文化財
[編集] 建造物
- 国宝「春日大社 本社 本殿」(4棟)
- 重要文化財「春日大社 本社 中門」
- 重要文化財「春日大社 本社 東御廊」
- 重要文化財「春日大社 本社 西及び北御廊」
- 重要文化財「春日大社 本社 捻廊」
- 重要文化財「春日大社 本社 幣殿」
- 重要文化財「春日大社 本社 直会殿」
- 重要文化財「春日大社 本社 移殿」
- 重要文化財「春日大社 本社 宝庫」
- 重要文化財「春日大社 本社 廻廊」(5棟)
- 重要文化財「春日大社 本社 南門」
- 重要文化財「春日大社 本社 慶賀門」
- 重要文化財「春日大社 本社 清浄門」
- 重要文化財「春日大社 本社 内侍門」
- 重要文化財「春日大社 本社 車舎」
- 重要文化財「春日大社 本社 着到殿」
- 重要文化財「春日大社 本社 竈殿」
- 重要文化財「春日大社 本社 酒殿」
- 重要文化財「春日大社 本社 板蔵」
- 重要文化財「春日大社 本社 一の鳥居」
- 重要文化財「春日大社 摂社若宮神社 本殿」
- 重要文化財「春日大社 摂社若宮神社 拝舎」
- 重要文化財「春日大社 摂社若宮神社 細殿及び神楽殿」
- 重要文化財「春日大社 摂社若宮神社 手水屋」
- 重要文化財「旧春日大社板倉(円窓)」(奈良県所有)(奈良公園内所在)
[編集] 美術工芸品
- 国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」
- 国宝「沃懸地(いかけじ)獅子文毛抜形太刀 中身無銘」
- 国宝「沃懸地酢漿平文(いかけじかたばみひょうもん)兵庫鎖太刀 中身無銘」
- 国宝「沃懸地酢漿紋兵庫鎖太刀 中身無銘」
- 国宝「金装花押散兵庫鎖太刀 中身無銘」
- 国宝「菱作打刀 中身無銘(附 杉箱)」
- 国宝「赤糸威鎧 兜、大袖付」(梅鶯金物)
- 国宝「赤糸威鎧 兜、大袖付」(竹虎雀金物)
- 国宝「黒韋威矢筈札胴丸(くろかわおどしやはずざねどうまる) 兜、大袖付」
- 国宝「籠手」
- 国宝「本宮御料古神宝類」
- 国宝「若宮御料古神宝類」
- 重要文化財「木造舞楽面 皇仁、新鳥蘇、地久、納曾利、崑崙八仙(ころばせ)」5面
- 重要文化財「木造舞楽面 納曾利一、新鳥蘇三、散手一、貴徳鯉口一、採桑老一」7面
- 重要文化財「だ太鼓」
- 重要文化財「亀甲蒔絵手箱」
- 重要文化財「秋草蒔絵手箱」
- 重要文化財「禽獣葡萄鏡 春日金竜社伝来」
- 重要文化財「古神宝銅鏡(附 黒漆八稜形鏡箱)」16面
- 重要文化財「竹虎双雀方鏡」
- 重要文化財「藤花松喰鶴鏡」
- 重要文化財「菊造短刀」
- 重要文化財「梅花皮(かいらぎ)腰刀」
- 重要文化財「柏木兎(かしわみみずく)短刀」
- 重要文化財「太刀 銘備州長船住家助 永享八年二月日」
- 重要文化財「錦包太刀 中身銘助行」
- 重要文化財「金銅柏文兵庫鎖太刀 中身銘□次」
- 重要文化財「三鈷柄籐巻剣」
- 重要文化財「赤銅造太刀 友成作」
- 重要文化財「黒韋威胴丸 兜、大袖付」
- 重要文化財「鉄三十六間四方白星兜鉢及鎧金具(てつさんじゅうろっけん しほうじろ ほしかぶとばち」
- 重要文化財「鉄十八間二方白星兜鉢及鎧金具」
- 重要文化財「鉄二十八間四方白星兜鉢及鎧金具」
- 重要文化財「石燈籠」
- 重要文化財「石燈籠(柚木燈籠)」
- 重要文化財「紙本墨書楽所補任」
- 重要文化財「紙本墨書楽書」
- 重要文化財「春日神社文書」
- 重要無形民俗文化財「春日若宮おん祭の神事芸能」(春日若宮おん祭保存会)
- 選択無形民俗文化財「春日若宮おん祭の芸能」(春日古楽保存会)
[編集] 名所・旧跡
[編集] 交通
[編集] 外部リンク
- 春日大社(公式サイト)
- 奈良ネットホームページ
[編集] 関連項目
神 道 | |
---|---|
ポータル神道 (ウィキプロジェクト神道) | |
基 礎 | 神道、日本神話、神、日本の神の一覧 |
文 献 | 日本神話、古事記、日本書紀、風土記 |
神 社 | 神社、神社一覧、式内社、一宮、近代社格制度、別表神社 |
祭祀と祭礼 | 祭、祝詞 |
関 連 用 語 | 神道用語一覧 神仏習合、修験道、陰陽五行説、民俗学、国学 |