桜井線
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桜井線(さくらいせん)は、奈良県奈良市の奈良駅から奈良県大和高田市の高田駅までを結ぶ西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。全線が大阪近郊区間に含まれる。
沿線には名所や史跡が多く、車窓からは三輪山や大和三山が望める。また、京終(きょうばて)、帯解(おびとけ)、櫟本(いちのもと)、巻向(まきむく)、畝傍(うねび)など、名前の読み方の難しい駅も多い。桜井や天理教で知られる天理以外はすべて難読駅と言って良い。
ほぼ全区間で近鉄の各線と並行しているが、京都・奈良・吉野方面や大阪・名古屋・伊勢方面と直結し、その上多数の列車が運転されている近鉄線の方が利用者が多く、対する桜井線は運転本数が少なく利用者も少ない。
桜井線全駅で、Jスルーカード・ICOCA、及び東日本旅客鉄道(JR東日本)のSuica、またスルッとKANSAIのPiTaPaが使用できる。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):29.4km
- 軌間:1067mm
- 駅数:14駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 運転指令所:天王寺指令所
- 最高速度:85km/h
※全区間、西日本旅客鉄道大阪支社の管轄(うち、支社直轄となる奈良駅を除き王寺鉄道部の管轄)である。
[編集] 運行形態
奈良~桜井間の運転本数は1時間に2本程度、桜井~高田間は昼間時間帯で1時間に1本しかない。年に3回ほど保守作業による運休がある。
奈良~桜井・高田間の列車のほか、高田駅から折り返して和歌山線に乗り入れる列車もあり、朝・夕方には王寺駅や大阪方面、おもに昼間時間帯には和歌山方面と直通運転している。また、大阪方面からの臨時列車が奈良駅側から直通運転されることもある。かつては定期列車として奈良線からの直通列車が運転されていた。
基本的にはワンマン運転だが、朝ラッシュ時には大和路線への直通の区間快速が、また大神神社の月次祭など、沿線で催し物が行われる場合には、車掌乗務で運行されるケースもある。また、年末年始(12月31日~1月1日)に掛けて、終夜臨時列車(御神火号)が運行され、正月には臨時列車を増発させて初詣客を捌いている。
沿線で遺跡等が発掘されると、普段は物静かな駅が突如として、現地説明会に向かう乗客で溢れかえり、駅員を派遣して対応に当たるなど、奈良らしい光景も見られる。また天理教の祭礼があるときには日本全国各地から天理駅へ向けて団体列車が運転され、この時に限り、普段地元では見ることのできない車両を見ることができる。
[編集] 使用車両
- 105系電車 - 主力車両。ワンマン運転対応。
- 103系電車 - 朝ラッシュ時のみ。
- 201系電車 - 2006年12月20日から運用開始。朝ラッシュ時のみ。
- 221系電車 - 朝ラッシュ時、および年末年始のみ。
[編集] 歴史
奈良~桜井間は、京都~奈良間(現在の奈良線)を営業していた奈良鉄道によって、桜井~高田間は湊町~奈良間(現在の大和路線)を営業していた(初代)大阪鉄道によって開業した。両社は関西鉄道に合併された後、国有化された。
開業時は、大阪・京都などから橿原・桜井・天理方面へ向かう重要な交通機関として位置づけられていたが、大阪電気軌道(近畿日本鉄道の前身)や奈良電気鉄道(同左)によって現在の近鉄大阪線・京都線・橿原線・天理線などが建設された(天理線は天理軽便鉄道が建設したのを買収した物であるが)事により、客の多くは流れた。そのため、ローカル線の趣きが強くなっている。
- 1893年(明治26年)5月23日 大阪鉄道が高田~桜井間を開業。
- 1898年(明治31年)5月11日 奈良鉄道が京終~桜井間を開業。
- 1899年(明治32年)10月14日 奈良鉄道が奈良~京終間を開業させ全通。
- 1900年(明治33年)6月6日 関西鉄道が大阪鉄道を合併。
- 1905年(明治38年)2月7日 関西鉄道が奈良鉄道を合併。
- 1907年(明治40年)10月1日 関西鉄道が国有化。
- 1909年(明治42年)10月12日 線路名称制定。奈良~高田間を桜井線とする。
- 1913年(大正2年)4月21日 香久山駅、金橋駅開業。
- 1914年(大正3年)8月20日 長柄駅開業。
- 1955年(昭和30年)8月1日 巻向駅開業。
- 1963年(昭和38年)5月25日 丹波市駅を天理市駅に改称。
- 1965年(昭和40年)9月1日 天理市駅を移転・高架化し天理駅に改称。
- 1980年(昭和55年)3月3日 奈良~高田間が電化。
- 1983年(昭和58年)4月1日 貨物営業廃止。
- 1984年(昭和59年)10月1日 急行「紀ノ川」(京都~和歌山、奈良線・桜井線・和歌山線経由)廃止。奈良線が電化され、京都~桜井間の直通運転開始。
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継。
- 2005年(平成17年)3月1日 Jスルーカード・ICOCA・Suica対応自動改札導入。
[編集] 駅一覧
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
奈良駅 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:関西本線(大和路線) | 奈良県 | 奈良市 |
京終駅 | 1.9 | |||
帯解駅 | 4.8 | |||
櫟本駅 | 7.3 | 天理市 | ||
天理駅 | 9.6 | 近畿日本鉄道:天理線 | ||
長柄駅 | 12.6 | |||
柳本駅 | 14.3 | |||
巻向駅 | 15.9 | 桜井市 | ||
三輪駅 | 18.0 | |||
桜井駅 | 19.7 | 近畿日本鉄道:大阪線 | ||
香久山駅 | 21.7 | 橿原市 | ||
畝傍駅 | 24.7 | 近畿日本鉄道:橿原線(八木西口駅) | ||
金橋駅 | 27.3 | |||
高田駅 | 29.4 | 西日本旅客鉄道:和歌山線 近畿日本鉄道:大阪線(大和高田駅) |
大和高田市 |