桜井駅跡
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桜井駅跡(さくらいえきあと)は大阪府三島郡島本町(旧摂津国)にある国指定の史跡である。
すぐ傍にJR京都線が通っている事から鉄道駅(停車場)の跡地と誤解されやすいが、古代律令制度下の駅家(うまや)の跡である。かつて桜井の地を含む天王山一帯は、大阪と京都を結ぶ交通の要所であったため、この地に駅家が置かれていたのである。また、この地は、「太平記第十六巻」の「正成兵庫に下向の事」(湊川の戦い)において1336年、足利尊氏を討つべく湊川に向かう楠木正成が嫡男正行を河内国に帰らせた「楠公父子決別之所」と伝えられている。(→「楠木正成」の項を参照)
なお、続日本紀には和銅四年(711年)の出来事として「摂津国嶋上郡に大原駅を設ける」という内容の記述があり、この大原駅が桜井駅のことであるとの説がある。
なお、1876年に今のJR京都線が開通した後も長らく通過するのみだったが、2008年に実際の鉄道駅である島本駅(仮称)がここに開業の予定である。ちなみに、付近を通る阪急京都線の水無瀬駅は、もとは「桜井ノ駅駅」(さくらいのえきえき)、上牧駅(大阪府高槻市)は「上牧桜井ノ駅駅」(かんまきさくらいのえきえき)という名前がつけられていたこともあった。
[編集] これを題材にした楽曲
- 能の演目。四番目物の侍物。桜井 (能)(さくらい、喜多流)、桜井駅 (能)(さくらいのえき、金剛流)、楠露(くすのつゆ、観世流)
- 吉備楽の演目。上記がモチーフ。桜井駅 (吉備楽)