江川達也
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江川 達也(えがわ たつや、1961年3月8日 - )は、日本の男性漫画家、テレビタレント。愛知県名古屋市出身、愛知教育大学教育学部卒。血液型はA型。既婚で子持ち。
代表作に『まじかる☆タルるートくん』、『東京大学物語』など。
目次 |
[編集] 略歴
小学生の時からノートに漫画を描き始め、中学時代で投稿作品を描き上げるが、その後は漫画からは離れる。名古屋市立北高等学校を経て愛知教育大学教育学部数学科に入学、人形劇サークル・アニメ研究会・漫画研究会などに在籍し、漫画以外の創作活動も行う。大学卒業後は1983年4月~8月までの5ヶ月間、名古屋市立東陵中学校の数学科講師をしたのち退職、本宮ひろ志のアシスタントを4ヶ月間務める[1]。
1984年、『BE FREE!』(「コミックモーニング」)でデビュー。その後『まじかる☆タルるートくん』を始めとする少年誌向けのギャグ漫画や、『東京大学物語』・『GOLDEN BOY』などの青年誌向けのストーリー漫画まで幅広い分野で執筆し、作品がアニメ化されるなど立て続けにヒット作を生みだす。
近年はネームバリューが高く、なおかつ長期化しやすい作品・テーマ(『源氏物語』、『日露戦争物語』、『家畜人ヤプー』など)を漫画化した連載を手がけたが、いずれも打ち切りとなった。
漫画以外にもテレビ出演(ホリプロとタレント契約)、ヌード画集執筆、高速道路のジャンクション評論など幅広く活動。『タモリ倶楽部』によく出演しており、ジャンクション評論や踏切評論の分野で活躍している。
[編集] 漫画作品の傾向
- 教育大学出身で、小学校教員を目指していたことからか、作品内に学校や教育をテーマにしていることが多く、現在の学校教育や学歴社会・受験戦争を批判している[2]。
- 大学時代の専攻が数学であったことから作品内に数学が登場することもある。また、洗脳や妄想など心理学にも興味を持っており、これらの言葉が作品内に登場するのはもちろん、作品のテーマとなることが多い[3]。
- 源氏物語等の日本古典文学、日本近代国家の形成史に傾倒。これらを主題とする作品[4]を上梓した。また、特に、中国における儒教思想、あるいは日本における鴨長明などの古典から作中に引用[5]。作品世界の形成に独特の位置をしめた。
- ストーリーが進むにつれ、話の展開が難解になったり、一部読者が理解できない(あるいは納得のいかない)もの(東京大学物語における夢オチ等)になることが多い。これにより読者から批判を受けることが多いが、こういった展開は江川自身、故意犯的に行っている。そもそも、『BE FREE!』を連載した際、自分が訴えたかった作品テーマが読者にほとんど理解してもらえなかったことを痛感、「自分が好き勝手に描くと理解してもらえない」ということに気付く。そのことから連載終了の目処がたったり、一定の人気を獲得したことにより、編集部から自由に描いて良い許可が下りると、江川が描きたいテーマ(=難解かつ理解しづらい内容)が展開され始める。
- 1980年代後半~90年代前半の週刊少年ジャンプ黄金時代において人気作家の一人だった江川は、その時「売れる漫画の理論」を作り出し、その後も多くのヒット作を生み出す[6]。そのことから他の人気作品の模倣や人気のあるテーマ(エロ・恋愛・格闘・友情)なども取り入れている。
- 江川本人のTVやメディアの露出の急増と反比例して、2005年以降の作品から作画が乱雑になってきている。人物像の線が乱雑になり、ペン入れはしているもののスクリーントーンの張り込みはおろかスミベタすら入れておらず、背景は無しというものが多い[7]。
- 原作付きの作品であっても自分の作風を徹底して貫くため、原作のファンからは反発も強い。『仮面ライダー THE FIRST』は、上記のように乱雑な作画だったことと合わせて、島本和彦をはじめ、ファンからの激しい批判を受けた。
[編集] 人物
- 東京都渋谷区の高級住宅地松濤にある、建設費6億円強の豪邸に住む。
- 5775万円のメルセデス・ベンツ SLRマクラーレンを所有している。書籍やテレビ等でこの車を購入したことに触れていることが多い[8]。
- 最近の若者(アシスタント)の責任感の無い態度に怒り、現在はアシスタントを一切使わずに一人で漫画を描いている(本人談)。なお、ある番組では「(うまいアシスタントを除いて)アシスタントを置かない方が仕事を速く処理できる」、若しくは、「アシスタントを置かない方が好きな時に仕事ができるのでよい」という趣旨の説明をしていたこともある(『パソコンテレビ GyaO』内『PRO FILE #6 江川達也 【仕事】』参照、2006年3月20日まで配信)。もっとも、アシスタント募集は今でも一応しているようではある。
- 『ドラえもん』原作者の藤子・F・不二雄が亡くなった後、雑誌やラジオにおいて『ドラえもん』を「人の欲望を際限なく肥大化させる」という趣旨の批判を繰り返し行い、反対意見は「思考停止・浅学の極み」という表現の元に嘲うといった行いが目立った。その『ドラえもん』の悪所を徹底分析し、アンチテーゼとして構築したのが『まじかる☆タルるートくん』であるとのこと。だが、結局模倣に終わったと後に語る。藤子・F・不二雄についても、「子供を食い物にするハラ黒い大人だ」など根拠もはっきり示さずに一方的に雑誌等で発言している。後に『ドラえもん』の機関誌でもあるコロコロコミックにて『ドラえもん』と同じようなコンセプトを持つ『魔動天使うんポコ』を連載したが、不人気により短命に終わっている。近年は宮崎駿、コンピューターゲーム批判をよく行っているが、その反面、江川はいくつかのゲームソフトでキャラクターデザインを担当しており、その姿勢を「矛盾している」と批判される事もある。
- 著作『現実はマイナーの中に』で水木しげるを最も尊敬する漫画家に挙げる一方で、徹底した手塚治虫批判を行っている。
- 『ドラゴンクエスト』をわずか数分しかプレイしていないにも関らず、ドラクエ及び、ドラクエをプレイしている作家やそれ以外の人達を酷評して反感を買った[9]。
- ソフト・オン・デマンドでアダルトビデオの監督も行ったことがある。
- 学歴社会を批判する一方、受験参考書の表紙絵を描いており、この行動にも批判が向けられる事がある。
- 恋愛論を語ることが夢で、「恋愛論を語るならanan誌上で」→「ならばドラマ化されるほどの恋愛漫画の巨匠に」→「ドラマ化がよくされている漫画雑誌はビッグコミックスピリッツ」と、その夢を逆算していって生まれたのが「東京大学物語」であると、江川はTV番組「アイデアの鍵貸します」で語った[10]。
- セックス描写が多いという指摘がなされる。これについて江川達也はここがヘンだよ日本人の中などで、日本の文化は浮世絵などからしてもエロ文化であるから当然であるとの趣旨の発言をしている。これに対し、同じ名古屋市の出身の漫画家石坂啓は女性への男性による性暴力と戦争は男性文化の象徴であり、石坂は男性青年誌における男性優位のセックスを含めた性描写を改めるべく青年誌で活動しているという主張をしており、江川のセックス描写が日本の文化によるものとは限らないのではないかとの指摘がある。そもそも、日本文化がエロ文化であるとの指摘自体、さまざまな方面から再考を要する。
[編集] 作品リスト
[編集] 漫画
- BE FREE!
- まじかる☆タルるートくん
- GOLDEN BOY
- 東京大学物語
- タケちゃんとパパ
- HAPPY BOY
- 魔動天使うんポコ
- DEADMAN
- ラストマン
- THE LASTMAN PREMIUM
- 文化祭ウラ実行委員会
- 日露戦争物語
- 源氏物語
- ONE ZERO NINE
- けっこう仮面R
- 家畜人ヤプー(「月刊コミックバーズ」2006年10月号で第一部完)
- 八月の鯉・コーリュー
- 江川式勉強法
- 仮面ライダー THE FIRST
- BOCCHAN 坊っちゃん(「無料週刊誌コミック・ガンボ」にて連載中)
- 家庭教師神宮山美佳(「週刊現代」にて連載中)
[編集] ゲーム
- ホーリーアンブレラ(キャラクターデザイン)
- ナグザット製作のスーパーファミコン用アクションゲーム。
- G.O.D~目覚めよと呼ぶ声が聴こえ~(キャラクターデザイン)
- Aniventure Diary(キャラクターデザイン)
- タイトー制作のオンラインRPG(2003年11月18日βテスト開始、2004年6月開発中止)。
[編集] 映像作品
- 実写映画版『BE FREE!』(1986年)…原作
- アニメ『王立宇宙軍~オネアミスの翼』(1987年)…原画参加(強姦未遂シーンを担当)
- アニメ版『まじかる☆タルるートくん』(1990年9月2日~1992年5月10日)
- 映画版『まじかる☆タルるートくん』(1991年3月9日公開)
- 映画版『まじかる☆タルるートくん 燃えろ友情の魔法大戦』(1991年7月20日公開)
- 映画版『まじかる☆タルるートくん すき・すき!タコ焼き!』(1992年3月7日公開)
- ドラマ『東京大学物語』(1994年10月10日~1994年12月19日)
- アニメ(OVA)『GOLDEN BOY さすらいのお勉強野郎』(1995年~1996年)
- アニメ(オリジナルDVD)『東京大学物語』(2004年)
- 月野しずく『憧れの戦闘員』(2004年、ソフト・オン・デマンド)…総合演出
- 実写映画版『東京大学物語』(2006年、ソフト・オン・デマンド)…監督
[編集] その他
- EROPOP―EGAWA TATSUYA’S WORKS 1984‐2002 (角川書店)
- 「東京大学」にダマされるな! (PHP研究所)
- 江川達也の時事漫画 にあいこ≒るリアル 1 この国のバカたち (扶桑社)
- 江川達也の超・常識的生き方 (海竜社)
- 現実はマイナーの中に (ウェイツ)
- “全身漫画”家 (光文社)
- 江川達也のニッポンを鍛えろ!―オレ的国家改造計画 (ぶんか社)
- Jenka.com(アバターデザイン)
- マンガジンマガジン Vol.2 江川達也(キネマ旬報社)
- ラストマン 野獣派宣言(講談社)
[編集] レギュラー出演番組
- ビーバップ!ハイヒール(朝日放送)
- FNNスーパーニュース アンカー火曜日(隔週)(関西テレビ)
- スーパーモーニング月曜日(テレビ朝日)
[編集] 過去の出演番組
- タモリ倶楽部(テレビ朝日)
- たかじんのそこまで言って委員会(読売テレビ)
- たかじんONEMAN(毎日放送)
- 今田ハウジング(日本テレビ)
- 太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。(日本テレビ)
- アイデアの鍵貸します(フジテレビ)
- こたえてちょーだい!(フジテレビ)※再現ドラマに俳優として出演
[編集] 元アシスタント
[編集] 註
- ^ アシスタント時代、本宮から「おまえ、これ売れるか」と問われ、その時漫画とは作品ではなく商品なのだと認識したと言う
- ^ しかし、作中において、受験勉強や高等教育における肯定的といえる側面やその意義(専門諸分野における判断、思考のために必要な概念、知識を獲得しこれを運用するための過渡期としての、すなわちトレーニング期間としての義務教育、高等教育機関への就学)、及び作者による説得性ある代替案が具体的に積極的に提示されているわけではなく、したがって、作中の登場人物の内面を描くための素材として一定の意義があるといえるが、印象批判に近い(一般に、作品が進むにつれて、作者の感情が強くなりがちで、そのために、終盤に至ってその傾向が増している)と言え、学歴社会批判、受験競争批判といった側面から見るならば、江川作品は、定量的な分析結果に基づく批判には、いまだなりえていないといえる。また、これらの一方で受験参考書(中継出版「センター試験の点数が面白いほどとれる本」シリーズ)の表紙を手掛けている。
- ^ 統一教会やオウム真理教などの関連事件により一躍有名になった言葉「マインドコントロール」を有名になる以前から『BE FREE!』にて使っていた
- ^ 『源氏物語』、『日露戦争物語』、『BOCCHAN 坊ちゃん:2007年3月現在執筆中』
- ^ 『GOLDEN BOY』における、「子曰、朝聞道、夕死可矣(しいはく、あしたにみちをきかば、ゆふべにしすともかなり)(『論語』卷第二、里仁第四)」。『DEADMAN』における、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀(よど)みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。鴨長明『方丈記』冒頭」等。
- ^ 読者アンケートの人気結果を分析し、「どういう展開をすれば人気が出る(人気が下がる)」かを研究していた
- ^ 『日露戦争物語』では戦場での銃撃戦のシーンにおいて真っ白な背景上にマジックで擬音を書き込んだだけという作画を行っている。また、『仮面ライダー THE FIRST』においても同様の乱雑さや、ヘビ女の改造シーン(原作と違い、改造中に快楽に目覚める、性的なシーンとなっている)の異常な長さが指摘されている
- ^ 本人曰く「車の事はよくわからないのでベンツを買った」
- ^ ドラクエファンには同じ名古屋出身の鳥山明に喧嘩を売ったと認識されている
- ^ 着実にそれらは実現し、最終的にはananに取材を受けて恋愛論を語ることも実現した