源氏物語の登場人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
源氏物語の登場人物一覧(げんじものがたりのとうじょうじんぶついちらん)は、『源氏物語』に登場する、架空の人物の一覧である。
基本的に登場順であるが、一部血縁関係でまとめてあるところもある。
目次 |
[編集] 主人公
- 光源氏(ひかるげんじ)
[編集] 光源氏の両親
[編集] 光源氏の兄弟
- 朱雀帝(すざくてい) - 桐壺帝第一皇子、光源氏の兄。弘徽殿女御を母とする。
- 螢兵部卿宮(ほたるひょうぶきょうのみや) - 桐壺帝皇子。光源氏の弟。藤壺の兄とは別人。風流人で特に香に詳しい。源氏とは親しく、須磨直前に源氏との関係を断つ者が増えた時にも関係を維持し続けた。光源氏の養女玉鬘に思いを寄せる。
- 八の宮(はちのみや) - 宇治十帖に登場。桐壺帝第八皇子。東宮時代の冷泉帝を廃そうとする陰謀に巻き込まれ宇治に隠棲。仏教に傾倒し「俗聖」と称する。同じく世を儚む薫と親しくなり、娘の夫に、とそれとなく頼んだ。
[編集] 光源氏の女君たち
- 藤壺中宮(ふじつぼのちゅうぐう) - 先帝の皇女。桐壺帝の中宮。桐壺更衣に瓜二つ。
- 葵の上(あおいのうえ) - 光源氏の北の方。夕霧を生んだ後夭逝。
- 紫の上(むらさきのうえ) - 若紫とも。葵の上亡き後、光源氏の事実上の正妻。六条院の春の町に光源氏と共に住まう。
- 明石の方(あかしのかた、明石の御方(あかしのおんかた)とも) - 光源氏の愛人で明石の女御の生母。六条院の冬の町の主。
- 花散里(はなちるさと) - 六条院の夏の町の主。夕霧、玉鬘の養母。
- 女三宮(おんなさんのみや・にょさんのみや) - 朱雀院の皇女。光源氏の二番目の北の方。薫の母。
- 空蝉(うつせみ) - 伊予介の後妻。
- 軒端荻(のきばのおぎ) - 空蝉の義理の娘。明かりの落ちた部屋で空蝉と間違われ源氏と関係を持つ。
- 夕顔(ゆうがお) - 頭中将の愛人であり、玉鬘の母。
- 末摘花(すえつむはな) - 常陸宮(ひたちのみや)の姫君。醜女。名前の末摘花はベニバナのこと。
- 源典侍(げんのないしのすけ) - 桐壺帝に仕える高齢の女官。夫は修理大夫(すりのかみ)。
- 朧月夜(おぼろづくよ) - 右大臣の6番目の娘。弘徽殿女御の妹で朱雀帝の尚侍(ないしのかみ)。
- 朝顔女王(あさがおのにょおう) - 桃園式部卿宮の娘。肉体関係はなかった。
- 六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ) - 先の春宮(桐壺帝の弟?)妃。
[編集] 光源氏の子供たち
- 冷泉帝(れいぜいのみかど) - 桐壺帝の第十皇子。実際には光源氏と藤壺の子。
- 夕霧(ゆうぎり) - 光源氏と葵の上の子。
- 明石中宮(あかしのちゅうぐう、明石姫君、明石女御 とも) - 光源氏と明石の方の娘。紫の上の養女。匂宮の母。
[編集] 左大臣家
※源氏の君の婿入り先。桐壺帝時代には庇護者として源氏と政治的立場が近しかった。葵の上亡き後も源氏に夕霧を託され、関係は存続。頭の中将が統領の時代には源氏と権勢を競ったが、常に源氏に敗れ続けた。なお、『宇治十帖』では紅梅が一族の統領だが、その時代の左大臣は夕霧。
※源氏-冷泉帝親子は絵画をその血統の暗示とされているのに対し、こちらは音楽を一族の家芸としている。ただし夕霧は左大臣家との繋がりが強い為か、音楽への造詣の方が強い。
- 頭中将(とうのちゅうじょう) - 左大臣と大宮の子。葵の上の同母兄弟。のちに内大臣、太政大臣。
- 左大臣(さだいじん・ひだりのおとど) - 葵の上と頭中将の父。源氏の舅。藤原左大臣家の統領。桐壺帝や源氏とは公私共に親しい。若き日の源氏の後見人。冷泉帝即位時には源氏の要請を受け太政大臣に就いた(63歳。「澪標」)。享年66歳(「薄雲」)。
- 大宮(おおみや) - 桐壺帝の姉妹で左大臣の北の方(正妻)葵の上、頭中将の母。
- 柏木(かしわぎ) - 頭中将(内大臣)の息子。
- 玉鬘(たまかづら) - 夕顔と頭中将(内大臣)の娘。光源氏の養女。
- 弘徽殿の女御(こきでんのにょうご) - 頭中将(内大臣)の娘。朱雀帝の母は叔母にあたる。冷泉帝の後宮に入る。冷泉帝とは年も近く寵愛されていたが、秋好中宮には及ばず、中宮の座を得る事が出来なかった。
- 近江の君(おうみのきみ) - 頭中将(内大臣)の落胤。玉鬘が自分の娘と知る前、その存在を羨み、自分にも何処かに娘がいないか、と見つけ出させた。父似で、親しみやすく愛嬌のある顔立ち。育ち故に教養に欠け、非常な早口であり、周囲から物笑いの種となる。頭の中将に疎まれ、弘徽殿の女御の召使に付けられる。典侍になることを望み、便所掃除までも行ったが、それらが逆に兄弟からも疎まれる要因となった。源の典侍同様、「笑われ役」と位置づけられている。双六好き。
- 雲居の雁(くもいのかり) - 頭中将(内大臣)の娘。夕霧の北の方。母は皇族の出だが、父とはすぐに離婚した。
- 紅梅(こうばい) - 頭中将(内大臣)の息子、柏木の弟。母は右大臣の四の君。
- 右大臣の四の君 - 弘徽殿の大后の妹。頭中将の北の方。若い頃は夫と疎遠であった。柏木、紅梅、弘徽殿の女御の母。
- 五節の君(ごせちのきみ) - 近江の君の女房。近江同様に軽薄な所があり、共に双六ではしゃいでいる姿が描かれる。近江とは友人のように親しげ。
[編集] 政敵
- 弘徽殿女御(こきでんのにょうご)- 桐壺帝の妻。朱雀帝の母。桐壺帝の寵愛を桐壺更衣に奪われたことから、彼女とその忘れ形見である源氏に敵愾心を抱く。朧月夜との醜聞を機に源氏を須磨に追放するも結局は彼を政治的に抹殺できず、失意のままに他界することとなった。
- 右大臣 - 藤原氏。弘徽殿女御、朧月夜らの父。一時は源氏を朧月夜の婿に迎えようともしていた。
- 兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや) - 藤壺中宮の兄。紫の上の父。
- 北の方 - 兵部卿宮の正室。継子である紫の上に強い敵愾心を抱いている。兵部卿宮に強い影響力を持っており、彼が娘と疎遠になり、ひいては源氏と対立する要因となった。
[編集] 源氏の家来筋
- 藤原惟光(ふじわらのこれみつ) - 光源氏の乳母兄弟。源氏の青年期には夜歩きのお供として度々登場、須磨追放時にも帯同したが、壮年期には出番が激減した。摂津の守(「少女」時点)。
- 五節君(ごせちのきみ)・藤典侍(とうのないしのすけ) - 惟光の「秘蔵」の娘。男兄弟すら滅多に会えないほどの可愛がり様。源氏の命により、惟光はしぶしぶ出仕に応じた。夕霧の側室。彼との間に四人の子を成した。
- 源良清(みなもとのよしきよ) - 光源氏の家来。少納言。受領の息子。須磨にも帯同。明石の方に結婚を申し込み、父の入道に拒まれた、という過去を持つ。
- 尉の蔵人(じょうのくろうど) - 源氏の君と親しくしていた為、「須磨」の際に官位を失った人物。自ら願い出て須磨追放に帯同した。
- 大輔の命婦(たゆうのみょうぶ) - 源氏の乳姉弟。両親が離婚し、母は再婚して筑前にいった。恋多き女性。故常陸の宮家に縁があり、その姫(末摘花)を源氏に紹介した。
- 宣旨の娘 - 明石の姫君の乳母。父は宮内卿で宰相。桐壺帝にも出仕していた。若く美しい女性。両親を失った心細さから、源氏の申し出を受け明石に赴いた。
- 中務、中将 - 女房。源氏の恋人たち。「須磨」以降は紫の上の侍女となった。
- 大内記 - 夕霧の学問の師。変わり者のため、学才はあるが出世できなかった所を源氏に召抱えられた。
[編集] その他
- 秋好中宮(あきこのむちゅうぐう、斎宮の女王(さいぐうのにょおう)、梅壺女御(うめつぼのにょうご)とも) - 六条御息所の娘。光源氏の養女。冷泉帝の中宮。六条院の秋の町の主。
- 麗景殿の女御(れいけいでんのにょうご) - 花散里の姉。桐壺帝の後宮に入る。
- 王命婦(おうのみょうぶ) - 藤壺中宮の側近。源氏の藤壺への想いを知っており、その協力をしてしまう。
- 紫の上関係
- 尼君(あまぎみ) - 紫の上の祖母。亡き按察使の大納言の北の方。夫死亡後出家。
- 僧都(そうづ) - 尼君の兄。
- 少納言(しょうなごん) - 紫の上の乳母。紫の上がさらわれた際に、世話役として二条院に連れてこられた。
- 王女御(おうのにょうご) - 兵部卿宮の娘。冷泉帝の後宮に入る。紫の上の異母妹。
- 明石の方関係
- 明石入道(あかしのにゅうどう) - 明石の方の父。桐壺更衣の従兄弟。
- 明石尼君(あかしのあまぎみ) - 明石の方の母。入道亡き後尼となる。
- 玉鬘関係
- 右近(うこん) - 夕顔の侍女。その死後は源氏に仕えた。初瀬の観音詣での際に玉鬘と再会。
- 太夫の監(たゆうのげん) - 筑紫の有力者。粗暴で教養に欠ける。「身体に障りがある」との偽りの噂を気にすることなく玉鬘に結婚を申し込む。彼が玉鬘にあまりに嫌われたことが、玉鬘が京に戻るきっかけとなった。
- 髭黒の大将 - 今の帝の伯父。髭が濃く、色黒なことから髭黒と呼ばれる。生真面目で一途な性格だが、複数の妻を平等に扱うことが出来ないなど、平安貴族としては欠点を多く持つ人物とされる。兵部卿宮の娘とは長年連れ添い、その心の病にも耐え続けてきたが、玉鬘を見初め強引に関係を持ち北の方に迎えてしまった。
- 鬚黒の北の方 - 兵部卿宮の娘。紫の上の異母姉。「物の怪憑き」であり発作を起こすことがある。大将が玉鬘を北の方に迎えた後は真木柱と共に実家に戻った。
- 真木柱(まきばしら) - 髭黒の大将の娘。母に引き取られて兵部卿宮家で育つ。蛍兵部卿宮に嫁ぐが、関係は芳しくなかった。その死後に紅梅大納言に嫁ぎ、こちらとの関係は良好であった。
- 落葉の宮関係
- 落葉の宮(おちばのみや) - 朱雀院の女二の宮。柏木の北の方。柏木の死後、夕霧の第二夫人となる。
- 御息所(みやすどころ) - 朱雀院の妻。落葉の宮の母。夕霧が落葉を弄んだと誤解、かねてからの病とその心痛から恨みの歌を遺して死亡。
- 阿闍梨(あじゃり) - 御息所に祈祷を授ける僧侶。御息所に夕霧が落葉に通っていることを伝えた。
- 女三宮関係
- 小侍従(こじじゅう) - 朱雀院の女三の宮の乳姉妹。柏木の召人。柏木の願いを受け、三の宮への手引きをした。
[編集] 宇治十帖の人々
- 薫(かおる、薫君 かおるのきみ とも) - 表向きは光源氏の息子であるが、実は柏木と女三宮の子。
- 匂宮(におうのみや) - 明石中宮の子。今の帝の第三皇子。
- (宇治の)大君(おおいぎみ) - 桐壺帝八の宮の長女。薫の恋人。プラトニックな関係だった。病弱で若くして他界。
- (宇治の)中君(なかのきみ) - 桐壺帝八の宮の次女。後に匂宮の側室。
- 浮舟(うきふね) - 桐壺帝八の宮の娘。薫の愛人。後匂宮にも求愛される。
- 東宮・今の帝(とうぐう・いまのみかど) - 冷泉帝の皇太子、朱雀院の皇子。明石中宮を后とする。
- 女二宮(おんなにのみや) - 今の帝の皇女。母は藤壺女御。薫の北の方。
- 弁(べん) - 薫の出生の秘密を知る老女。柏木の乳母子。朱雀院の女三の宮の小侍従は従姉妹。今は八の宮の姫君たちの世話をする女房。薫に秘密を明かした。また、大君との間も取り持とうとした。後に出家。さらに大君の身代わりを求める薫に浮舟の出生の秘密や所在を明かした。
- 六の君(ろくのきみ) - 夕霧の娘。母は藤典侍。落葉の宮の養女。匂宮の北の方。
- 頭の中将 - 夕霧の左大臣の長男。宇治の紅葉狩りに際しては、明石の中宮の命により匂宮を監視。
- 中将の君 - 浮舟の母。桐壺帝八の宮の北の方の侍女。北の方の死後、その姪であるがために八の宮に迫られ関係を持つ。しかしその後は「過ち」と疎まれ側を離れた。大君・中君は従妹にあたる。
- 常陸介 - 中将の君の夫。妻との間に多くの子をなしたが、彼女が浮舟ばかりを可愛がるため浮舟には冷たい態度を取ることが多い。
- 小君 - 常陸介と中将の君の子。浮舟死後、薫の心を慰めるために彼に仕える事となった。
- 左近の少将 - 浮舟の婚約者。常陸介の後ろ盾を求めており、浮舟がその実の娘でないと知って婚約破棄、常陸介の実の娘と婚約し直した。
- 横川の僧都(よかわのそうづ) - 入水した浮舟を助ける。後にその願いを聞き、浮舟を出家させた。宮廷に呼ばれるほど徳の高い僧侶。