福塩線
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福塩線(ふくえんせん)は、広島県福山市の福山駅から広島県三次市の塩町駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
2007年夏より、福山駅~神辺駅間にICOCA対応型の自動改札機が設置される。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):78.0km
- 軌間:1067mm
- 駅数:27駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:福山~府中間電化(直流1500V)、府中~塩町間非電化
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 最高速度:85km/h
- 府中駅以北には保線点検の合理化を目的として速度制限されている箇所がある。
- 運転指令所:府中CTCセンター
※福山~府中間は西日本旅客鉄道岡山支社府中鉄道部(但し福山駅のみ同支社せとうち地域鉄道部)、府中~塩町間は同広島支社三次鉄道部の管轄である(境界駅である府中駅は岡山支社側の管轄)。なお、岡山支社管内・広島支社管内とも、独自に設定されているラインカラーは桜桃色。
[編集] 運行形態・車両
運転系統は電化区間と非電化区間の接続点である府中駅で完全に分断されている(以前は福山駅から三次駅行の定期列車が2往復設定されていた他、芸備線・木次線経由三井野原駅行きのスキー列車の設定があった)。そのため、鉄道ファンの間では、電化区間を福塩南線、非電化区間を福塩北線と通称している。両区間とも普通列車のみの運転であり(一時期、快速列車の設定があったが施設上の問題で効果が十分でなく廃止された)、朝夕は4両編成・車掌乗務での運転で、日中は全ての列車が2両のワンマン運転となっている。
電化区間の車両は、主に岡山電車区の105系、115系が使われている。2006年3月のダイヤ改正以降は、105系の一部運用に同区の103系が充てられることもある。福山~府中間の運転が基本であり、毎時1~2本の列車が設定されているが、万能倉駅折り返しの列車も設定されている。福山~神辺間では井原鉄道井原線からIRT355形気動車が乗り入れる。
非電化区間は、気動車がワンマン運転を行っているが、全列車が線区の終点である塩町を越えて芸備線の三次まで乗り入れている。この区間は全列車が広島運転所のキハ120形気動車による運転となり、昼の1往復は奇数月の第3日曜日に運休する。
トイレが設置されていない列車があったが、2007年には全便に設置された。
[編集] 利用状況
- 福塩南線の沿線人口は増えているが、福山駅・神辺駅・府中駅などの主要な駅以外には駅前広場や取付道路、ロータリー、駐車場などが十分になく、また駅設備、路盤、線形、設備も古く、所要時間も距離の割りにかかり過ぎで、潜在的な需要はあるにもかかわらず利用が伸び悩んでいる。
- 福塩北線は主に山間部で過疎地域でもあり年々沿線人口も減り、自家用車にも押され乗客も減る一方であるが沿線には高等学校が数校あるので通学需要は根強い。
[編集] 歴史
改正鉄道敷設法別表第91号に掲げる予定線の一部として両備鉄道を買収、国有化し、延長したものである。国有鉄道が保有した唯一の電気運転を実施する軽便鉄道(特殊狭軌線)であったが、国有化後に改軌改築され、現在の姿となった。
1989年には、芦田川に八田原ダム(1998年竣工)を建設するために、河佐~備後三川間が八田原トンネル(全長6,123m)経由の新線に付け替えられ、同区間の旧線上にあった八田原駅が廃止された。
[編集] 両備軽便鉄道→福塩南線
- 1914年(大正3年)7月21日 - 両備軽便鉄道 両備福山~府中町間(22.0km)が開業。軌間762mm。
- 横尾駅、神辺停留場、湯田村停留場、道上停留場、万能倉駅、駅家駅、近田駅、戸手停留場、両備天王駅(現在の上戸手駅)、新市駅、高木停留場、鵜飼停留場、府中町駅(現在の府中駅)開業。
- 1914年(大正3年)11月20日 - 胡町停留場開業。
- 1915年(大正4年)5月4日 - 吉津停留場開業。
- 1922年(大正11年)4月9日 - 両備軽便鉄道高屋線として神辺~高屋間が開業。
- 1926年(大正15年)6月26日 - 両備軽便鉄道が両備鉄道に改称。
- 1927年(昭和2年)6月25日 - 両備福山~府中町間電化(直流750V)
- 1933年(昭和8年)9月1日 - 両備鉄道の両備福山~府中町間が国有化、福塩線となる。停留場を駅に格上げ。両備天王駅を上戸手駅に改称。
- 1933年(昭和8年)11月15日 - 福塩南線に改称。
- 1934年(昭和9年)6月15日 - 神辺~湯田村間に高屋川仮信号場開設。
- 1934年(昭和9年)9月21日 - 高屋川仮信号場廃止。
- 1935年(昭和10年)12月14日 - 横尾~府中町間を軌間1067mmに改軌(-0.2km)。福山~横尾間を新線に付け替え (+1.8km)、既設の福山駅に乗り入れ。両備福山駅、胡町駅、吉津駅廃止。
[編集] 福塩北線
- 1933年(昭和8年)11月15日 - 福塩北線 田幸(現在の塩町)~吉舎間(10.7km)が開業。三良坂駅、吉舎駅開業。
- 1934年(昭和9年)1月1日 - 田幸駅を塩町駅に改称。
- 1935年(昭和10年)11月15日 - 吉舎~上下間(17.0km)が延伸開業。備後安田駅、甲奴駅、上下駅開業。
[編集] 全通以後
- 1938年(昭和13年)7月28日 - 府中町~上下間(28.1km)が延伸開業し全通。福塩南線が新規開業区間と福塩北線(塩町~上下間)を編入し福塩線に改称。下川辺駅、河佐駅、備後三川駅、備後矢野駅開業。
- 1940年(昭和15年)2月1日 - 備後本庄駅開業。
- 1954年(昭和29年)4月10日 - 府中町~下川辺間電化。
- 1956年(昭和31年)12月20日 - 府中町駅を府中駅に改称。
- 1961年(昭和36年)8月13日 - 福山~下川辺間の架線電圧を直流1500Vに昇圧。
- 1962年(昭和37年)4月1日 - 府中~下川辺間電化廃止。
- 1963年(昭和38年)10月1日 - 中畑駅、八田原駅、梶田駅開業。
- 1981年(昭和56年)2月11日 - 105系が運用開始。この結果当線に残っていた70系は同年3月1日で運用終了。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 全線の貨物営業廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。
- 1989年(平成元年)4月20日 - 河佐~備後三川間を新線に付け替え (-1.4km)。八田原駅廃止。
- 1991年(平成3年)4月1日 - 府中~塩町(~三次)間でワンマン運転開始。
- 1992年(平成4年)3月14日 - 福山~府中間でワンマン運転開始。
- 1999年(平成11年)1月11日 - 井原鉄道井原線からの片乗り入れ開始。
- 2002年(平成14年)3月23日 - 管轄支社の変更、府中以北の管轄を岡山支社から広島支社に変更。
[編集] 駅一覧および接続路線
[編集] 営業中の区間
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
福山駅 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線 | 広島県 | 福山市 |
備後本庄駅 | 1.8 | |||
横尾駅 | 6.1 | |||
神辺駅 | 8.4 | 井原鉄道:井原線 | ||
湯田村駅 | 10.4 | |||
道上駅 | 11.3 | |||
万能倉駅 | 13.4 | |||
駅家駅 | 14.6 | |||
近田駅 | 16.0 | |||
戸手駅 | 17.0 | |||
上戸手駅 | 18.8 | |||
新市駅 | 20.0 | |||
高木駅 | 21.7 | 府中市 | ||
鵜飼駅 | 22.7 | |||
府中駅 | 23.6 | |||
下川辺駅 | 27.9 | |||
中畑駅 | 31.8 | |||
河佐駅 | 34.9 | |||
備後三川駅 | 42.4 | 世羅郡世羅町 | ||
備後矢野駅 | 46.6 | 府中市 | ||
上下駅 | 50.3 | |||
甲奴駅 | 54.7 | 三次市 | ||
梶田駅 | 57.1 | |||
備後安田駅 | 62.3 | |||
吉舎駅 | 67.3 | |||
三良坂駅 | 73.6 | |||
塩町駅 | 78.0 | 西日本旅客鉄道:芸備線 |
[編集] 廃止区間
- 1935年12月14日廃止区間
- 両備福山駅 - 胡町駅 - 吉津駅 - 横尾駅
- 1989年4月20日廃止区間
- 河佐駅 - 八田原駅 - 備後三川駅