第51回有馬記念
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2006年12月24日に施行された第51回有馬記念について記述する。
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[編集] レース施行時の状況
前年の有馬記念で敗れたディープインパクトだが、本年は凱旋門賞で失格(3位入線)となったものの天皇賞(春)、宝塚記念、ジャパンカップを制し国内では敵なしの状況を保っていた。10月に引退を発表し本レースがラストランとなる同馬は、2年連続でファン投票1位となった。
そのほかにも、本年の牡馬クラシック二冠馬メイショウサムソン、天皇賞(秋)とマイルチャンピオンシップを制したダイワメジャー、メルボルンカップから凱旋したデルタブルースとポップロック、ジャパンカップ2着に健闘したドリームパスポートなど、中央競馬の年内最後のメインレースを飾るに相応しいメンバーが揃った。また、出走馬のGI競走勝ち数の合計は有馬記念史上最多の17であった(ディープインパクト6勝、スイープトウショウ3勝、ダイワメジャー3勝、デルタブルース2勝、メイショウサムソン2勝、コスモバルク1勝)。
[編集] 出走馬と枠順
枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | オッズ | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ポップロック | 牡5 | オリビエ・ペリエ | 27.1(5人) | 角居勝彦 |
2 | 2 | デルタブルース | 牡5 | 岩田康誠 | 33.7(9人) | 角居勝彦 |
3 | 3 | ドリームパスポート | 牡3 | 内田博幸 | 12.4 (2人) | 松田博資 |
4 | ディープインパクト | 牡4 | 武豊 | 1.2(1人) | 池江泰郎 | |
4 | 5 | ダイワメジャー | 牡5 | 安藤勝己 | 14.2(3人) | 上原博之 |
6 | スイープトウショウ | 牝5 | 池添謙一 | 27.7(6人) | 鶴留明雄 | |
5 | 7 | コスモバルク | 牡5 | 五十嵐冬樹 | 29.0(7人) | 田部和則 |
8 | メイショウサムソン | 牡3 | 石橋守 | 19.4(4人) | 瀬戸口勉 | |
6 | 9 | トウショウナイト | 牡5 | 武士沢友治 | 56.4(10人) | 保田一隆 |
10 | アドマイヤメイン | 牡3 | 柴田善臣 | 32.8(8人) | 橋田満 | |
7 | 11 | スウィフトカレント | 牡5 | 横山典弘 | 82.9(11人) | 森秀行 |
12 | アドマイヤフジ | 牡4 | 武幸四郎 | 103.6(12人) | 橋田満 | |
8 | 13 | ウインジェネラーレ | 牡6 | 蛯名正義 | 153.6(13人) | 国枝栄 |
14 | トーセンシャナオー | 牡3 | 勝浦正樹 | 160.4(14人) | 森秀行 |
[編集] レース展開
競走は、ゲート入りを嫌がったスイープトウショウが出遅れる形でスタートした。大逃げを宣言していたアドマイヤメインが宣言通り大逃げを打つ展開となった。後方11番手辺りにつけたディープインパクトは3コーナー入り口、残り800mのハロン棒を通過したあたりで仕掛けて進出、直線では鞭を1発入れたのみで手綱だけで追い続け、先行馬をまとめて捕らえてゴール。見事有終の美を飾った。レース後、観客からディープインパクトを称える「ディープ」コールが沸き起こった。
[編集] レース結果
着順 | 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 4 | ディープインパクト | 2.31.9 | |
2 | 1 | 1 | ポップロック | 2.32.4 | 3馬身 |
3 | 4 | 5 | ダイワメジャー | 2.32.5 | 3/4馬身 |
4 | 3 | 3 | ドリームパスポート | 2.32.5 | ハナ |
5 | 5 | 8 | メイショウサムソン | 2.32.7 | 1 1/4馬身 |
6 | 2 | 2 | デルタブルース | 2.32.7 | クビ |
7 | 6 | 9 | トウショウナイト | 2.32.8 | 3/4馬身 |
8 | 7 | 12 | アドマイヤフジ | 2.32.8 | クビ |
9 | 6 | 10 | アドマイヤメイン | 2.32.8 | ハナ |
10 | 4 | 6 | スイープトウショウ | 2.32.9 | クビ |
11 | 5 | 7 | コスモバルク | 2.33.2 | 2馬身 |
12 | 7 | 11 | スウィフトカレント | 2.33.3 | クビ |
13 | 8 | 13 | ウインジェネラーレ | 2.33.6 | 1 3/4馬身 |
14 | 8 | 14 | トーセンシャナオー | 2.34.0 | 2 1/2馬身 |
[編集] データ
1000m通過タイム | 59秒5(アドマイヤメイン) |
2100m通過タイム | 2分08秒7(アドマイヤメイン) |
上がり4ハロン | 48.2秒 |
上がり3ハロン | 35.4秒 |
優勝馬上がり3ハロン | 33.8秒 |
[編集] 払戻
単勝式 | 4 | 120円 |
複勝式 | 1 | 360円 |
4 | 100円 | |
5 | 230円 | |
枠連 | 1-3 | 1000円 |
馬連 | 1-4 | 1070円 |
ワイド | 1-4 | 570円 |
1-5 | 1840円 | |
4-5 | 330円 | |
馬単 | 4-1 | 1210円 |
3連複 | 1-4-5 | 2890円 |
3連単 | 4-1-5 | 9680円 |
[編集] 達成された記録
[編集] 入場者数・レース売り上げ
- 入場人員 11万7251人 (前年比72.2%)
- 売上金 440億2037万7700円 (前年比88.2%)
前年の16万人より入場者数が減少した理由は
- 前売入場券を持たない者の入場制限をやめるために(JRA競馬場共通入場回数券を含む)当日券による入場者を約5万人と見積もり、前売入場券の発売枚数を減らしたこと(このことをJRAが公表したのは競走後である)。
- 混雑を予想した競馬ファンが競馬場への入場を自重したこと。前売入場券を持たない者は入場できないという誤解もあった。
などをJRAの広報担当者はあげている。
この点に関しては違う見方をする競馬評論家も存在する。柏木集保はnetkeiba内のコラムにてレース自体の感想を「拍子抜けするほど盛り上がらなかった気がする」と述べ、予想外の入場人員と売上金低下の原因について、「拝金のディープインパクト・ビジネスに嫌気のさしたファンがほとんどだった」と分析した。[1]
[編集] レースにまつわるエピソード
- 単勝人気では前年を上回ったディープインパクトであるが、評論家の中にはディープインパクトを本命にしない者もいた。と言うのも、調教で右回りを走っているにもかかわらず右手前を変えようとしなかったことや、その日の有馬記念前のレースがどれも時計の割りに上がりがかかっていることが、小回りの中山競馬場を3F33秒台で上がったことのないディープインパクトにとって不安材料と思われたのであろう。実際、本競走と同日の第6競走に施行されたホープフルステークスでは半弟のニュービギニングが勝ったが、勝ち時計がレースレコードであったにもかかわらず同馬の上がり3Fは35.6秒もかかっていた。前日発売終了時点ではディープインパクトの単勝人気、複勝人気はともに一番人気であったものの単勝1.4倍、複勝1.0-1.0倍というオッズになっていた。これは複勝圏には確実に入るだろうが、1着になったときのみにしか払い戻しされない単勝馬券を買うのは怖いというファン心理を如実に表した現象と言えるだろう。しかしレースではそのような不安要素を完全に一掃するが如く、しっかりと左手前に変えてスパートをかけ、大外を33.8秒の末脚で駆け抜けた。
- 井崎脩五郎によれば、2000m未満のレースに出走したことのない馬が有馬記念を勝ったことは無かった。また、有馬記念までの近三走全て2400m以上に出走していた場合も最高着順はカツラノハイセイコの2着が最高だった。
- GIを数多く制覇してきた武豊であるが有馬記念との相性はかなり悪く、2005年までに17回参戦するが、2着は多いものの勝ったのは1990年にオグリキャップでの1勝のみで、今回は久々の優勝となった。しかも偶然とはいえ、どちらも勝利した時は騎乗した馬の引退レースだったという共通点もある。
カテゴリ: 2006年のスポーツ | 有馬記念 | 競馬の競走回顧