柴田善臣

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柴田善臣（しばたよしとみ、1966年 7月30日 - ）は日本中央競馬会（JRA）所属の騎手。

調教師の柴田政見、柴田政人、柴田利秋兄弟の甥にあたり、プロ野球選手の柴田博之はいとこにあたる。

[編集] プロフィール

血液型：A型
生年月日：1966年7月30日
星座：獅子座
趣味：釣り、鷹の調教、ジェットスキー、クルージング（1級船舶免許を所持）、ゴルフ、ワイン
初免許年：1985年
出身地：青森県
所属：美浦
初騎乗：1985年3月9日
2回中山5日第6競走イズミサンエイ（5着/14頭）
初勝利：1985年4月7日
3回中山6日第3競走イズミサンエイ

[編集] 来歴

JRA通算1600勝以上を挙げ、ワールドスーパージョッキーズシリーズも2度制覇（1999年、2003年）している。そして、掲示板（5着以内）へ頻繁に入着する堅実な騎乗で3年連続JRAの関東リーディングジョッキー（2002年-2004年）に輝いている。

重賞4勝馬ワシントンカラーを始め、管理馬の数多くを柴田に騎乗依頼している調教師の松山康久は、柴田を「騎乗馬の状態判断が的確であり、義理堅く、丁寧なやりとりをしてくれている」と語っているように関係者からの評判もよい。また、2005年3月に岡部幸雄が引退したのに伴い、日本騎手クラブ会長にも就任している（かつて叔父の政人も騎手時代に務めた）。

中央GIを6勝していながら、クラシック（皐月賞、東京優駿、菊花賞、桜花賞、優駿牝馬）は未勝利である。また、その6勝全てが東京と中京の左回りの競馬場である。そして、JRA主要競馬場の1つの京都競馬場では重賞勝利と無縁であったが、2007年1月、騎手生活22年目にして京都金杯を制することでその記録は途絶えた。

2001年から2005年の間はJRAのGIを勝つことができず（83連敗）、また見せ場も少なかった。しかし2006年春、高松宮記念でオレハマッテルゼに騎乗し6年振りの中央GI制覇を果たした。その後は桜花賞、ヴィクトリアマイル、優駿牝馬といった牝馬GIの舞台で、人気薄の馬を好走させている。そして、続く東京優駿でも、初騎乗のアドマイヤメインで2着に入った。惜しくもダービージョッキーとなることは出来なかったが、例年のイメージと異なるその姿は、周囲を驚かせるに十分であった。また3歳牝馬最後の一冠となる秋華賞でもアサヒライジングで2着に入った。悲願の京都重賞初制覇とはならなかった（後に京都金杯のマイネルスケルツィで京都の重賞に初勝利する）が、オークスと同じく先行直線抜け出しの好騎乗が光った一戦であった。

関西騎手に押されがちな関東の牙城を、横山典弘とともに守っているのが現状である。

2006年 10月29日、JRA通算1700勝を達成した。

[編集] GI競走勝利一覧及び当該競走における騎乗馬（年度別）

（カッコ内は騎乗馬名。斜字は統一GIを指す）

1993年
- 安田記念（ヤマニンゼファー）
- 天皇賞（秋）（ヤマニンゼファー）
1996年
- NHKマイルカップ（タイキフォーチュン）
1998年
- 天皇賞（秋）（オフサイドトラップ）
2000年
- 高松宮記念（キングヘイロー）
2003年
- JBCスプリント（サウスヴィグラス）
2004年
- ジャパンダートダービー（カフェオリンポス）
2006年
- 高松宮記念（オレハマッテルゼ）

[編集] 代表騎乗馬

ヤマニンゼファー - 安田記念、天皇賞（秋）（いずれも1993年）を優勝。
タイキフォーチュン - 1996年の第1回NHKマイルカップを優勝。勝ちタイム1分32秒6は、2004年にキングカメハメハに破られるまでのレースレコード。
オフサイドトラップ - サイレンススズカが故障を発生し競走中止となった1998年天皇賞（秋）の優勝馬。ナリタブライアンと同期で、8歳（現・7歳）の天皇賞制覇は史上最年長勝利。
キングヘイロー - 2000年高松宮記念を優勝。1998年クラシック戦線においてはスペシャルウィーク、セイウンスカイとともに3強のうちの1頭に数えられていた。
サウスヴィグラス　高橋祥泰厩舎に所属した1996年生まれの外国産馬で、種牡馬エンドスウィープの代表産駒の1頭。7歳時、柴田を背にJBCスプリントを初め重賞8勝を挙げた。ちなみに柴田は高橋祥厩舎の主戦騎手である。
プリエミネンス - 1997年生まれのアフリート産駒。川崎の関東オークス(統一GIII)を初め、札幌のエルムステークス、浦和の浦和記念（統一GII）など各地の交流重賞を8勝した。牝馬ながら2002年のJBCクラシックではアドマイヤドンの2着になるなど、男勝りな面も見せ、国内で3年間タフに活躍した。現在はアメリカで繁殖牝馬として過ごしている。
ホクトビーナス - 師匠・中野隆良調教師が管理した競走馬で、3戦全ての手綱を取った。1989年桜花賞にて直線抜け出し優勝目前かと思われたが、意図的な出遅れと伝わる武豊騎乗のシャダイカグラの前に一歩及ばず、ゴール前で差し切られアタマ差2着に惜敗。
マチカネタンホイザ - 父は名種牡馬ノーザンテースト。母系も数々の名馬を輩出したスターロツチ系のため大変期待され、厩舎も名門・伊藤雄二厩舎に所属し、騎手も当初は武豊・岡部幸雄ら超一流騎手を配されていた。しかし、血統に似合わぬズブさのため、大レースに出走するものの掲示板に載るのがやっとの有様であった。そして『一流半』の烙印を押された所で柴田に手綱が巡り、コンビを組むこととなった。GIでは今ひとつだが、中～長距離、それも左回りのコースでならしぶとい差し脚を発揮し、ダイヤモンドステークス（当時の芝3200mの日本レコードをマーク）を始め、重賞を4勝した（柴田とのコンビでは2勝）。なお、旧6歳（現5歳）秋にはジャパンカップを鼻出血で、有馬記念を蕁麻疹により連続で出走を取り消すという珍事件を起こした個性的な馬であった。
ホクトヘリオス - 柴田が初めて出会った名馬。今でも「ヘリオスに競馬を教わった」旨の発言をすることがある。柴田が騎乗する以前は南田美知雄・河内洋らが手綱を握っていた。早々と重賞を勝利するも朝日杯3歳ステークスでメリーナイスに敗退。クラシック挑戦は距離の壁に遭い惨敗となった。その後マイル路線に腰を据え、柴田とのコンビ結成となった。レースぶりは不器用で、いつも後方から追い込む戦法だった。GIIまでは通用したがGIでは苦しく、先頭の馬がゴールする頃に後方の大外から追い込んでは掲示板に乗る成績を残す程度だった。最後までGIを勝つことは無かったが、重賞通算5勝（柴田騎手とのコンビで3勝）を挙げた。規定で引退式を行える程の成績だったのだが、行なわず引退、種牡馬入り。名脇役として名を残した。
ホットシークレット - ディープインパクト、キングカメハメハで知られる名馬主金子真人の持ち馬で、柴田とともに重賞戦線で活躍した逃げ馬である。中でも、2001年第115回目黒記念（GII）は、柴田の好騎乗が光った一戦である。本来逃げ馬であるはずのこの馬を、柴田の判断でわざと出遅れさせ、そのまま最後方から追い上げ勝利したのである。
オレハマッテルゼ - 柴田にとって6年ぶりの中央GI勝利となった、2006年高松宮記念の騎乗馬。音無秀孝厩舎所属で、馬主は個性的な馬名を付けることで有名な小田切有一。馬名の由来は石原裕次郎のヒット曲「俺は待ってるぜ」から。珍名馬ではあるが、父は大種牡馬サンデーサイレンスであり、叔母に名牝エアグルーヴ、姉に重賞2勝も非業の死を遂げたエガオヲミセテなどを持つ良血馬である。複勝率7割強を誇る堅実派だが、ゴール前で抜け出すと遊ぶ癖があり惜敗することが多かった。マイル戦を中心に使われてきた同馬にとって高松宮記念は初挑戦の1200m戦であったが、前記の癖を掴んでいた柴田は馬を騙す為にあえてマイルでのレース運びをし、見事勝利へ導いた。その次走も、柴田とのコンビで京王杯スプリングカップを制した。
マイネルスケルツィ - 柴田にとって京都競馬場での初の重賞制覇をもたらした馬。岡田繁幸が「朝日杯はもちろん、ダービーも」と公言していたように、デビュー前から多大な期待を持たれていた。また、管理する稲葉隆一調教師の「ジョッキーも柴田善をもう押さえてあるんだ」のコメントは一部で話題を呼んだ。マイル路線に矛先を向けてからはニュージーランドトロフィー、京都金杯を制するなど、グラスワンダー産駒の代表マイラーとして今後の活躍が期待されている。2007年の高松宮記念では前年覇者のオレハマッテルゼではなくこの馬を選んだのも「関東の馬には関東の騎手でないと」とコメントしている。

[編集] エピソード

1998年の秋の天皇賞（サイレンススズカがレース途中故障し、予後不良と診断され即日安楽死されることとなったレース）において、オフサイドトラップに騎乗し優勝したが、その際、レース直後に「よっしゃー！」と叫んだばかりか、勝利騎手インタビューでは「笑いが止まらない」などと発言したことについて、一部ファンから非難を浴びた。
夏の新潟・福島開催において2002年から2004年にかけて3年連続で新潟リーディングジョッキーに輝いているほか、2001年 7月14日の新潟競馬第10競走『NiLS21ステークス』でツジノワンダーに騎乗して出した芝2000mの日本レコード1分56秒4は未だ破られていない。
新潟では新潟競馬場が所在する新潟市豊栄（旧・豊栄市）の地名をとった『豊栄特別』という条件競走があるが、これまで東京優駿（日本ダービー）制覇には無縁なのにも関わらず、「俺はダービー3連覇よりも豊栄特別3連覇を目指す」との発言を残した。
その個性で熱心な競馬ファンからの人気者となっており、先生の愛称で親しまれている。
競馬が一番の趣味と断言する柴田は、プライベートにおいても趣味の人として知られる。2005年11月にはNHK BSの『にっぽん釣りの旅～伝統のカモシで誘え巨大ヒラマサ～』にゲスト出演するなど、釣りの腕前はプロからも一目置かれている。番組内での釣果はゴマサバとマダイのみだったが、後日再挑戦に成功した。
2006年7月には、釣り仲間の谷中公一調教助手（元騎手）や次男の健登（けんと）、三男の陸樹（りっき）と共に、茨城県日立沖でメバル釣りに挑戦した。柴田は釣りと競馬を重ね合わせた勝負哲学を披露しながら、13匹という最大の釣果を挙げた。そして最後は騎乗馬のオレハマッテルゼを引き合いに出し「こんな楽しい乗船依頼なら、いつでもおれは待ってるぜ」という名言で締めくくった。これは日刊スポーツの企画であったが、柴田はプライベートでも、7月・8月の新潟競馬開催期間に息子を連れて海へ出かけるなど、子煩悩な一面を見せている。
仲の良い騎手は横山典弘、田中勝春、武豊、後藤浩輝など。特に横山と田中は年齢が近いことなどから仲が良いようで、自著の中でも頻繁にその名前が出てくる（武の名前もよく出てくる）。他の騎手の言動などから、どの騎手とも友好的な付き合いであると推測される。
動物好きの柴田は猛禽類も愛し、以前はハヤブサの『ピー』を飼っていたが、野生に帰った（逃げられた）為、現在はノスリの『クー』ほか、計2羽の鷹を飼っている（しかし騎手会長職等の多忙さから今は手元にいない）。
夫人が中心ではあるが犬のブリーディングも手掛け、休日（平日）にはドッグショーにも参加し、自らハンドリングもする。代表格の『ジェリタ』を初め、犬達の名前はバリ島に傾倒する夫人により名付けられ、それぞれインドネシア語に由来する。2006年FCIアジアインターナショナルドッグショーでは、愛犬のサルーキーがBOB（ベストオブブリード）を獲得した。2007年1月の落馬で腰を痛めた際には、自転車で行う犬の散歩がリハビリ代わりにもなったという。
- さらに夫人のバリ島好きはそれだけに留まらず、現地から輸入したテーブルやオブジェで装い、バリのリゾートを再現したレストラン、アジアンダイニング『ジェリタ』をも経営するに至っている。中国料理出身の桜井シェフによるインドネシア料理の数々は、日本人の舌に絶妙に合う一級品との定評がある。
2006年6月14日のプロ野球、千葉ロッテマリーンズ－横浜ベイスターズ戦では始球式のプレゼンターを務めた。当日は背番号『ヨシトミ』のロッテのユニフォームを着用。競馬（関東のGI）のファンファーレが流れる中、一塁側外野のグラウンド入り口から馬に跨って登場し、観客から拍手で歓迎を受ける。見事なストレートで空振りを奪ったその始球式は、実況の矢野吉彦アナウンサーが、自分が見た始球式の中でベスト3に入ると絶賛するほどであった。しかし柴田本人は「採点をすれば45点」「もっと速い球を投げられるのに打者に当ててはいけないと自重してしまった」と辛口だった。