蒲鉾
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蒲鉾(かまぼこ)は、主としてスケトウダラなどの白身魚のすり身を主原料とし加熱により木の板(臭みのないモミ、シラベなどの木が好まれる)の上にゲル化させて製造した魚肉練り製品。なお、かまぼこの歯応えは麺類で言われる「コシ」とは言わず「足(あし)」と呼ぶ。
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[編集] 歴史
古くは現在の竹輪状のものを指していた。その形が蒲の穂に似ていたことから、「蒲鉾」と呼ばれるようになったとされる。後に板の上に成形した「板蒲鉾」が登場し、区別のために「竹輪蒲鉾」と呼び分けていたが、元祖の方は「蒲鉾」が脱落して単に「ちくわ」となり、板蒲鉾の方は逆に板が外れて「蒲鉾」になった。文献では1115年の宮中に出されたものが最古とされており、業界団体が語呂合わせで11月15日を蒲鉾の日としている。
白身の魚は高価であり、蒲鉾もご馳走と考えられた。下記のように贈答品として用いられ、おせち料理にも利用される。豊臣秀頼の大好物であったと伝えられる。
[編集] 形態
板(蒲鉾板、あるいは空板(からいた)と呼ばれる)の上に半円形にすり身を盛り付けて作った「板蒲鉾」が一般的である。
一方、地方によって特色のある場合もある。
- 細工蒲鉾
- 鯛や水引などの形に蒲鉾を整形したもの。結婚式の引出物として作られている。本格的なものは、鯛型で実物大程度の大きさがある。また、松竹梅の形にし、縁起物としても作られている。舞鶴市や富山県のものが広く知られる。
- はべん
- 富山県で作られるかまぼこの総称。板状にしたすり身をだし巻き卵のように巻いて作った物(昆布を巻き込んだものや、赤巻~主に鳴門巻きの代用品とする)が主流であり、板付きのものはほとんど見られない。
- 笹かまぼこ
- 仙台市名産のかまぼこ。いわゆる板かまぼことは違い、笹の形に成型して竹串に刺し、焼いて作られる。仙台で「かまぼこ」といえば、板かまぼこではなくこちらを指す。贈答品・土産品としてもよく用いられる。仙台市以外に、港町である塩竈市・石巻市・気仙沼市・亘理町・女川町でも生産されており、仙台の老舗と石巻などの新興勢力との間でどちらが美味いか、宮城県民の論争の的である。
- 近年では石巻・女川・亘理産の笹かまぼこ店が仙台市内の百貨店内に店を構え繁盛している。一方の仙台老舗笹かまぼこ店も品質の向上・商品のバリエーションを増やすなど迎撃態勢に入っている。競争により笹かまぼこの質は向上している。
- 焼きかまぼこ
- 関西地方で好まれるかまぼこ。厚みを低く抑えた蒸しかまぼこの表面に、焼き目を付けたもの。焼き板かまぼことも言う。後述の分類における焼き抜きかまぼこには該当しない。
[編集] 食べ方
加熱済の食品であり、薄切りにしてそのまま食べるのが普通である。人によっては少量のわさびや醤油をつけて食べる。これを板わさと呼び、居酒屋の他に蕎麦屋でも提供される。また、切り分けるだけで調理の手間がかからないため、朝食に用いられることも多い。
軽く火を通して焦げ目を付け酒の肴にするのも良く、こちらは生とは違った味わいがある。
[編集] 製法
[編集] 原料
スケトウダラ、(グチ)イシモチ、ニベ、イサキ、オオギス、ムツ、ハモ
[編集] 製法
板付き蒲鉾では白身魚の白身の部分のみを使用し、赤身や血合い肉は用いない。捌いた魚の身を水で晒し、身の血液や脂肪を取り除く。この身を石臼などですり潰し、砂糖、塩、みりん、卵白を加えて練り合わせる(本来、塩を加えて練ることで自然に粘り気が生じるのだが、後の整形をしやすくするために増粘安定剤などの食品添加物を加えることもある)。板付き蒲鉾は練り合わせた身を「手付包丁」というへら状の道具を用いて「かまぼこ板」に半円状に盛りつける(近年量販店などで市販されているものはベルトコンベア上で機械的に盛りつけられることも多い)。その後、蒸す又は焼くことによって熱を通す。加熱方法の違いにより、以下のように呼び分けられる。
- 蒸しかまぼこ - すり身を蒸して加熱したもの。
- 焼抜かまぼこ - 蒸さずに板の下からあぶり焼きにして加熱したもの。「焼通しかまぼこ」という名称で呼ばれる地域もある。
また、板に盛りつけず、そのまま整形するものもある。これらは蒸し・焼きの他に茹で・揚げ等で加熱されることがある。茹でたものははんぺんやつみれであり、揚げたものは薩摩揚げ(西日本では天ぷらとも呼ばれる)などとなる。これらも広義の蒲鉾の一つといえよう。
[編集] 言葉
- 俗にいう「かまとと」(かまとと振り)とは「とと(魚)もかまもご存じない」の縮まったもので、世間知らずのこと。江戸時代に遊女が世間知らずを装うため、蒲鉾を指してこれが魚なのかと問うたことに由来するといわれる。
- 線路が周囲より高い場所または低い場所に設けられた踏切は、極端に盛り上がったり窪んだ形状になるため、かまぼこ型踏切といわれる。
- 軍隊の駐屯地等に設置されたでアーチ状の兵舎のことがその形状からかまぼこ兵舎と呼ばれる場合がある。
- オーディオにおいて、低音域と高音域が小さく、中音域が強調された音づくりをさしてカマボコ型という。所謂ドンシャリの反対である。
[編集] 主な蒲鉾産地
- 岩手県
- 揚げかまぼこ等が名産。
- 新潟県新潟市
- 宮城県仙台市・石巻市・名取市・塩竈市・気仙沼市・亘理町・女川町
- 揚げ蒲鉾・笹かまぼこ等が名産。
- 福島県 - いわき市小名浜は日本一の板かまぼこ生産量を誇る
- 「夕月」「かねまん」
- 神奈川県小田原市
- 「鈴廣」「丸う田代」「籠清」「杉兼」「伊勢兼」が名店として知られる。
- 静岡県焼津市
- 鳴門巻き等が有名。
- 愛知県
- 三重県
- 伊勢かまぼこ等が名産。
- 富山県
- 巻かまぼこ等が名産。「河内屋」が名店として知られる。
- 福井県敦賀市
- 和歌山県
- 京都府舞鶴市
- 兵庫県
- 広島県広島市
- あなご竹輪や、かに風味蒲鉾(カニカマ)などが名産。
- 広島県尾道市
- さしみかまぼこ等が名産。
- 島根県
- とうふかまぼこ等が名産。
- 山口県長門市・萩市
- 愛媛県八幡浜市
- 揚げかまぼこの一種じゃこてんが名産。「八水かまぼこ」「谷本蒲鉾」など市内に専門店多数。
- 愛媛県宇和島市
- 板かまぼことじゃこてんが名産。「田中かまぼこ店」「野中かまぼこ」等市内に多数の専門店あり。甘さ控えめで足(アシ)が良く関西で人気がある。「安岡かまぼこ」はじゃこてんで有名。
- 熊本県八代市
- 長崎県雲仙市
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