車両基地
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車両基地(しゃりょうきち)とは、鉄道車両の滞泊、整備や列車の組成等を行う鉄道施設である。
JRでは電車区あるいは機関区などと呼ばれることが多く、他の鉄道事業者では検車区と呼ばれることが多い。そのほかにも運転所、車庫などと呼ばれており、事業者によって名称は異なる。
国土交通省が定めた「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」によれば、専ら車両の収容を行うために使用される場所を車庫といい、専ら車両の入換え又は列車の組成を行うために使用される場所を操車場というと規定されている。さらに車庫には車両検査修繕施設として十分なものを有することとしている。したがって、電車区や検車区などと呼ばれている施設は、車庫と操車場の機能を併せ持ったものと言うことができる。また、JRの場合、車両工場を自社で運営しているが、これは車庫の一形態とみなされる。
また、東日本旅客鉄道(JR東日本)では、2004年度に一部の「電車区」・「運転所」などは「車両センター」に名称変更している。
車両基地が近くにある駅の事を車両基地所在駅あるいは車庫所在駅と称する。車両基地所在駅に該当する駅からは、列車の入出庫を兼ねて、始発・終着列車が大量に設定されている。
本線から離れた場所に設置された車両基地は、本線と専用の引込線で結ばれている。これを車庫線とも言う。車庫線は通常旅客路線としての営業は行わないのがほとんどであるが、延長距離の長い車庫線については、沿線住民の要望で旅客営業を行っているケースがある。
また、鉄道の日などに行われる車両基地の一般公開では、最寄駅からシャトル列車が運転されるケースもある。
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[編集] 名称の定義
※以下の名称は一例である。鉄道事業者によっては、以下と異なる名称を用いている場合もある。
- 検車区・工場(総合車両センター)
- 一般的に「工場」と呼ばれる場合の多いもの。
- 主な業務は車両の「重要部検査・全般検査・車両の改造・事故車両の復旧」等である。(大手私鉄・JRでは、電車区(JR)・検車区で仕業検査・交番検査、工場(JR東日本は総合車両センター)で上記二つの検査を行っている場合が多い)
- 電車区・運転所・運輸区・車両所・車両センター
- 一般的に「車庫」と呼ばれることの多いもの。
- 工場・検車区ほどではないが多くの留置線・設備抱え、車両の検修施設を備えており仕業・交番検査を行っている。一部では、ここでまとめて重要部検査・全般検査も行う会社がある。
- 電留線・留置線
- 上記2つに当てはまるほど規模が大きくなく、車両を留置しているだけの物。
- また他の電車区・検車区などに車両を移管し、配属車両の無い物。(例:東神奈川電車区・蒲田電車区は、旧大船電車区(現鎌倉車両センター)に車両を移管し電留線となっている。)
- ただし、一般の旅客を対象とした案内放送などでは、便宜上これらも「車庫」と表現される場合が多い。
[編集] JR東日本の場合
2004年よりJR東日本では、保全一元化(車両管理業務の一元化)のため、車両検修部門のみを受け持つものを「車両センター」、工場等の大規模施設・機能を保有するものを「総合車両センター」(新幹線・東京・大宮・長野・郡山の各総合車両センターは電車区の機能も併せ持つ)というように改称している(但し、乗務員が配置されている電車区や線区営業所は、改称の対象になっていない。例として中原電車区や小海線営業所がある)。
なお、関東地域における保全一元化は準備の整った箇所から行われており、浦和電車区等の未改称電車区等については、2006年3月31日に深沢エリアの工場機能廃止された鎌倉総合車両センター(4月1日より鎌倉車両センター)と同時期以降に各区(乗務員配置区の車両検修部門を含む)の廃止、統合を含めた「車両センター」化が図られることになる。
検査項目についての詳細は、鉄道車両の検査を参照のこと。
[編集] 車庫線を旅客営業している区間
- 東京地下鉄千代田線:綾瀬駅~北綾瀬駅
- 山陽新幹線(博多南線):博多駅~博多南駅(この区間は新幹線が走っているが法律上在来線の扱いである。乗車には乗車券のほかと特急券が必要である)
- 上越新幹線(上越線の一部):越後湯沢駅~ガーラ湯沢駅 - スキーシーズンのみ営業。この区間については通常の車庫ではなく、除雪基地への線路である)
また東京地下鉄丸ノ内線中野坂上駅~中野富士見町駅(路線は方南町駅まで)は車庫を確保するために敷いた路線で、これも一種の車庫線である。
[編集] 関連項目
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