JR貨物EH200形電気機関車
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JR貨物EH200形電気機関車(じぇいあーるかもついーえいち200かたでんききかんしゃ)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)の直流電気機関車である。2001年から製造されている。
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[編集] 概要
中央本線・篠ノ井線などの勾配線区で使用されてきたEF64形基本番台の取替えを目的として開発された。粘着性能と牽引力を確保するため、EH500形と同じ2車体連結の8軸駆動(H級)とされ、これまでEF64形を重連としていた運用に単機で充当できる。
IGBT素子VVVFインバータを搭載し、EH500形で実績のある高速トルク制御(ベクトル制御)や、1台のインバータで1台のモーターを個別に制御する1C1M方式を採用した。これにより、25‰勾配上で1100tの引き出しが可能である。
外観は車体前面が25度傾斜した直線基調の斬新なスタイルで、外部塗色は濃淡ブルー+灰色、運転室側扉はカラシ色(黄緑色)である。愛称は一般公募により「ECO POWER ブルーサンダー」と命名された。
[編集] 形態区分
- 試作機(901)
- 2001年東芝府中工場で落成、高崎機関区に新製配置。各種試験に供され、2002年10月より中央本線・篠ノ井線で営業運転を開始。
- 外観上、正面窓にセンターピラー(中桟)があり、サイドピラーは幅広のものが設けられている。車体側面向かって右側にJRFロゴが描かれ、愛称ロゴはない。側面のナンバー表示は各車体の中央寄りにある。パンタグラフはシングルアーム式のFPS-4形、関節部を車端側に向けて設置される。
- 量産機(1~)
- 2003年3月以降、製造中の量産機。
- 正面窓のセンターピラーがなくなり、サイドピラーの幅が細くなった。運転室内機器の配置が変更され、機器室内の主送風機は低騒音のものに変更された。連結器の開放テコにカバーが、スカートに足掛けが追加設置されている。車体は窓配置等の変更はないが、車体側面向かって右側に「Blue Thunder」の愛称ロゴが、左側にJRFロゴが描かれる。側面のナンバー表示は、向かって右側のものが助士席側窓下に移された。パンタグラフはシングルアーム式のFPS-4A形、空気上昇式に変更され、関節部を車端側に向けて設置される。
[編集] 現況と動向
量産機は勾配対策の問題が判明し、2004年3月落成の5号機で製造が一時中断されたが、CPU変更等の対策が施され、2004年12月に製造が再開されている。
本形式は全機が高崎機関区に配置され、塩尻機関区篠ノ井派出のEF64形重連運用を順次置き換えている。中央本線・篠ノ井線で石油専用貨物列車を中心に運用される他、高崎機関区への入出区に際して倉賀野駅→川崎貨物駅、根岸駅→岡部駅の運用もある。また、EH200の粘着性や牽引力、加速性能が買われ、近年設定が増加している、タキ1000形で組成された最高速度95km/hの高速石油列車への充当も多い。
2006年度は3両の増備が計画されている。また、2007年度についても3両の増備[1]を行う予定である。
- ^ 2006年12月13日発表のJR貨物Webサイト ニュースリリース「平成19年度の車両等の設備投資について」による。
[編集] 主要諸元
- 全長:25000mm
- 全幅:2948mm
- 全高:3799mm
- 運転整備重量:134.4t(軸重:16.8t)
- 軸配置:(Bo-Bo)+(Bo-Bo)
- 定格出力:4,520kW(1時間) 5120kW(30分)
- 定格引張力:271.8kN(= 27,735kgf)
- 定格速度:58.4km/h
- 主変換装置:VVVFインバータ(3レベル変調三相電圧形IGBT)×8基
- 主電動機:三相かご形誘導電動機(FMT-4形)565kW×8基
- 動力伝達方式:1段歯車減速つりかけ式(コロ軸受式車軸支持)
- 最高運転速度:110km/h
- 最高許容速度:120km/h
[編集] 参考文献
- 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2005年5月号 No.463 特集:鉄道貨物輸送の現状
- 誠文堂新光社『鉄道画報』2005年夏季号 No.2 特集:JRFの機関車たち
[編集] 関連項目
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