Shake
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開発元: | アップルコンピュータ |
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最新版: | 4.1 / 2006年6月20日 |
対応OS: | Mac OS X & Linux |
種別: | Compositing |
ライセンス: | プロプライエタリ |
公式サイト: | [1] |
Shake(シェイク)は映画やハイビジョン等の高解像度の映像、VFXに使用されるデジタル合成を目的としたソフトウェアである。アップルコンピュータ社が販売する。
目次 |
[編集] 概要
CGと実写、ブルーバック素材を合成するのに特に優れたソフトウェア。高解像度の映像も高速で処理できる高性能のソフトであり、モーフィング、タイムリマップなども可能である。業界で最も優れたキーヤーとされるPrimatte KeyerとKeylightの2つを標準でバンドルしている。Ultimatte Keyerにも対応する。当然、合成する為に必要なカラーコレクションやペイント機能、ブラー、プリマルチプライ、メインとエッジをそれぞれ調整可能なロトスコープ、それを利用したマスクなども搭載している。色深度も8bit、16bit、浮動小数点に対応する上、同じプロジェクト内の個別のノードで異なる色深度を扱うことも可能である。コストパフォーマンスは非常に高い。
[編集] 歴史
- 1996年 Nothing Real社創設
- Allen Edwards と Arnaud Hervasが自分自身で使いたいものを作るという目標のもと創設する。Thomson Digital Image社とSony Pictures Imageworks社の協力を得る。元々ハリウッドの映画製作の現場で生まれたインハウスのソフトウェアであった。実際のユーザの視点に立ち、ポストプロダクションのユーザに素早く反応を返すことを企業理念として持っていた。
- 1997年 Shake 1.0リリース
- 解像度非依存で、マルチプラットフォーム(IRIXとWindows95およびNT)、スピードを重視したプロダクトであった。尚、この頃のユーザインターフェースはコマンドラインのみ。
- 1998年 Shake 2.0リリース
- GUIが搭載される。
- 1998年 Shake 2.1リリース
- マスク機能、オートキーフレーム、Z深度バッファが搭載され、Primatte Keyerがバンドルされる。
- 2000年 Shake 2.2リリース
- マルチプロセッササポート、スタビライザ、タイムラインビュー、フィールドレンダリング機能が搭載される。
- 2001年 Shake 2.4リリース
- 新たにLinuxのサポートが加わり、ベクターベースのペイント機能、ロトスコープ、拡張されたカラーコレクションノード、Keylightプラグイン搭載、Ultimatte Keyerがサポートされ、Mac OS Xへ移植することが発表される。
- 2002年 Nothing Real社、Apple社に買収される。
- 2002年 Shake 2.5リリース。
- Mac OS Xに対応。Windowsを始めとするMac OS X以外のプラットフォームからMac OS Xに移行する場合、保有するライセンス数を2倍にして無償で提供するキャンペーンを発表。
- 2003年 Shake 3.0リリース。
- Windowsプラットフォームのサポートが中止される。前述のキャンペーンは引き続き継続された。外部I/O(SDIなど)を追加することで放送用カラーでのリアルタイムプレビューが可能になる。
- 2004年 Shake 3.5リリース
- モーフィング及びワーピング機能が搭載される。分散レンダリングソフトのQmasterがそこそこ使えるものになった。
- 2005年 Shake 4リリース
- 3Dマルチレイヤー合成機能とオプティカルフロー機能が搭載される。弱いとされていた3D空間の扱いが向上し、高精度のタイムリマップが行えるようになった。
- 2006年 Shake 4.1リリース
- Mac OS X版を、PowerPCとIntelアーキテクチャー向けUniversal Binary版として62,000円と大幅な価格の引き下げを行いリリース。
Appleは企業戦略上、プロフェッショナル向けハイエンドソフト、及びそれらのユーザをMac OS Xプラットフォームに移行させたいと考えており、Aliasが開発するMayaを始めとするSGIのワークステーションで動いていたいくつかのアプリケーションをMac OS Xへ移植させている。 Shakeの場合は買収という方法で達成した。 Appleによる買収後、Mac OS X版は半額近くに値下げされ、レンダリングに使うことができるCUI版のライセンスがMac OS X版に限りコピー制限が緩和された一方で、積極的な移行策とともにWindows版とIRIX版のサポートが停止され、Linux版の価格は高止まりしたまま継続販売されている。
Shake4.1のリリースが発表された際に、Mac OS X版が2006年6月22日よりさらに大幅値下げが行われることが発表された。
[編集] 機能
- ノードビュー
- 各ノードがツリー上に接続されることで図像が合成される。オートデスク(旧:Discreet)のInfernoやCombustion等にも似た仕組みがあるが素材以外の中間処理ノード部分を先に計算し、最後に画像に変更を加えるため仕組み上劣化が非常に少ない。ノードの変更はいつでも可能という特徴から試行錯誤はAdobeのPhotoshop等と比較してもより容易かつ直感的である。
- 解像度非依存のワークスペース
- 最終出力される解像度に依存せず様々な解像度の素材を各ノード/ツリー/プロジェクトで扱うことが出来る。
- 豊富なカラースペース
- コンピュータでよく使われるrgba(Red Green Blue Alpha)や、cmy、hls、hsv、yiq、yuvなど標準で様々なカラースペースを扱えるとともにそれらの変換が非常に簡単に行える。輝度を算出する為のパラメータもユーザが変更可能。
- コマンドライン操作が可能
- もともと、CUI版から開発が始まったという経緯もあり、コマンドラインのみでも使用可能である。Shakeのプロジェクトファイル(shk)は単なるテキストファイルであり、これを自分で作成し、CUI版Shakeに読み込ませればGUI版と変わらない品質の出力を得ることができる。また、Shakeがインストールされたリモートのコンピュータにtelnetやsshなどでログインし、レンダリング操作をするなど少々アクロバティックな操作でも可能になる。
- コマンドラインで使用可能という特徴は各種スクリプトなどに組み込むことが出来るということでありUNIXの伝統的な各種自動化のテクニックを流用可能にするものである。
- Mac OS Xバージョンには同じサブネットマスクに存在するのであれば無制限にコピー可能なレンダリングライセンス(CUI版Shake)が同梱されている。Linuxバージョンはレンダリングライセンスの追加販売も行っている。
[編集] 動作環境
バージョン4.0ではMac OS XとLinuxでの動作がサポートされている。コンピュータ本体のみで動作可能ではあるが、shakeからマスモ二などにプレビューを表示させる為には別途I/Oデバイスが必要。4.1でIntelプロセッサを搭載したMacに対応した。
[編集] ライセンス
通常の小売ソフトと同じようなシングルワークステーションライセンスとフローティング ネットワークライセンスの2種類がある。 フローティングライセンスはネットワーク内にライセンスサーバを立てShakeがインストールされたクライアントが起動の度に認証を受ける仕組みとなっている。Linux版はフローティングライセンスのみ。
[編集] 事例
- 映画
- テレビ
- 蛍の墓 (TBS系テレビドラマ)
- 戦国自衛隊 (TBS系テレビドラマ)
- 西遊記 (フジテレビ系テレビドラマ)