お荷物小荷物・カムイ編
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お荷物小荷物・カムイ編( - にもつこにもつ・かむいへん)は1970年10月17日~1971年2月13日まで放送されていたお荷物小荷物の続編。朝日放送製作で東京放送系列で1971年12月4日~1972年4月15日まで放送されていたドラマで前作同様「脱ドラマ」の異名で知られている。
目次 |
[編集] あらすじ
田の中菊が今帰仁(なきじん)菊代という素性と運送業を営む滝沢家の長男仁の悪行をばらして故郷の沖縄へ帰ってから10ヶ月経った。ある日滝沢家に沖縄に帰ったはずの田の中菊がお手伝いとしてやってくる。しかし身なりがアイヌの格好である。それもそのはず、彼女の正体はオキクルミ・ピリカ。北海道二部谷アイヌ集落の首長コシャマインの娘である。彼女が滝沢家にやってきた理由は北海道二部谷から持ち帰ったヒグマの子供を奪還するため。実は滝沢家が持ち帰ったヒグマの子供はアイヌの人々にとってのカムイ=神なのであるのだ。カムイであるヒグマの子供の奪還を目指す菊と滝沢家の珍騒動が勃発する!!
[編集] スタッフ
(※ その他のスタッフは不明なのでわかる方加筆願います。)
[編集] キャスト
- 田の中菊=オキクルミ・ピリカ:中山千夏
- 滝沢仁(長男):河原崎長一郎
- 滝沢義(次男):浜田光夫
- 滝沢礼(三男):林隆三
- 滝沢智(四男):渡辺篤史
- 滝沢信(五男):佐々木剛
- 滝沢孝太郎(父):桑山正一
- 滝沢忠太郎(祖父・家長):志村喬
- コシャマイン:佐藤慶
[編集] 伝わらなかった佐々木守の真意
前作が主人公の菊の素姓が沖縄女性・手伝い先の運送業を営む滝沢家を琉球処分を行った明治政府=皇室の象徴として表現していたことでわかる様に沖縄の民(ウチナンチュ)による皇室(ヤマト)への逆襲をテーマにしていたが続編である当該作品は北海道の先住民であるアイヌ民族による日本人(※ 和人、アイヌ読みではシャモと呼ぶ)全体への逆襲をテーマにしている。
北海道の開拓の歴史は裏を返せば日本人によるアイヌの収奪と虐殺の歴史であり、実際明治政府になる以前からこういう歴史が積み重ねられていた。前作同様ストーリー構成を手掛けた佐々木はドラマという場で過去日本が行っていたアイヌ弾圧を告発したわけで当該作品も反・皇室、左派のスタンスを取るいかにも佐々木らしい作品といえるものだがアイヌの人々には佐々木の作ったドラマが「アイヌを興味本位で扱っている。」ととられてしまったようで実際製作していた朝日放送が加盟していたJNNの北海道の系列局北海道放送には北海道ウタリ協会の抗議が来て、結果1972年3月19日に放送された第16話「シゴイてイジメてイビリます」がそこでのみ放送取りやめ(別番組に差し替え)という憂き目をみている。佐々木はアイヌ民族を奮い立たせようとしたが、結果的には真意が伝わらない格好となったわけで佐々木にとって心残りであったろう。
ちなみに当該作品は前作同様封印作品となっているがこれは2インチVTRで録画していて保存して置けなかった(当時、放送用のカラーのビデオテープは高価だった)ことから現存していないためである。従って再放送・ソフト化は絶望的だ。
TBS系 土曜22時台(当時はABCの制作枠。一部地域を除く) | ||
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