ごみ箱
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ごみ箱(芥箱、ごみばこ)とは、役に立たなくなった不要なごみを入れるための容器である。地方によっては「ごんばこ」と発音する。「くず入れ」「くずかご」と呼ぶ場合もある。

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[編集] 使い方
ごみ箱はそのままで、あるいはビニール袋をかぶせて使用する。後者の場合は中身を廃棄する際に詰めなおす必要がなく、水分の含まれたごみ、舞ったりする埃などがある場合には特に有効である。ただし、適切に分別されていないごみを確認するのは困難となる。
分類については色々あげられるが、主として設置場所によるもの、特定の利用者が使うか不特定の利用が見込まれるか、どういったごみを入れるか、などによってその形状やサイズが決まってくる。例えば形状としては開口部が大きいもの、特定のごみのみを分別して入れられるようにアフォーダンスを促すもの(清涼飲料水などの缶、ペットボトルなど)、蓋つきのもの(臭いが出るもの、風の強いところに有効)などがあげられる。蓋付きのごみ箱によっては足元にペダルがあり、踏むと蓋が開く仕組みになっているものもある。
不特定の利用者が見込まれるごみ箱は、分別収集のために捨てられるごみが決まっている場合が多い。コンビニエンスストアや駅、公園にあるごみ箱には分別を示す表示があるので従えばよい。最近では自治体の分別回収が導入・徹底されたことで、家庭のごみ箱も同様に分別のためにいくつかの仕切りが用意されたごみ箱が販売されている。そのような場合は(特定利用者の合意が形成されているため)何も表示されていない場合が多いので友人宅に遊びに行ったときなどには注意が必要である。
ごみ箱が一杯になった場合には、手や足でごみを圧縮するとごみ袋交換までの寿命が延びる。その際、手や足がごみで汚れないよう、また内容物によって怪我をしないよう気をつける必要がある。また、あまり強く圧縮するとビニール袋が外れたり、中にあるごみの突起部がビニール袋を破らないようにも注意。場合によっては圧縮した際に噴出す空気によって中の埃が舞ったり、ごみの内容によっては水分が飛散したりするのにも留意する必要がある。
[編集] 分類
[編集] 家庭用ごみ箱
家庭では持ち運びが可能なごみ箱が用いられる場合が多い。そのため小容量・軽量のプラスチックやブリキ製のものが主流である。従来は部屋の片隅に小さめのゴミ箱を目立たないように置くことが多かったが、最近ではおしゃれなごみ箱をインテリアの一部として用いる人も増えている。一方で、自治体による分別収集のため、段ボールで分別ごみ箱を手作りする家庭も増えている。市販のごみ箱にも1つで分別可能な縦型のものなどがある。また、最近ではデザイナーによってデザインされたおしゃれなごみ箱を置く家庭も多い。
台所では生ごみが大量に出ることから、蓋付きの密閉性のあるごみ箱が好まれる。また、他の部屋で出たごみをまとめる役割のごみ箱として、ポリバケツなどの大容量のごみ箱が用いられる場合も多い。生ごみを家庭菜園の肥料に再利用するため、家電メーカーから発売される生ごみ処理機を使う家庭も増えている。
[編集] 企業用ごみ箱
環境問題への取り組みとして、企業ではごみを細かく分別してリサイクルしている場合が多い。企業では大量のごみが出るため、家庭用に比べて容量も大きく丈夫な素材で作られているごみ箱が多い。
[編集] 飲料容器回収用ごみ箱
飲料容器はリサイクルが可能であるため、自動販売機脇などには飲料容器専用のごみ箱が設置されている。穴が1つのものと2つのものがあるが、2つのものの片方の穴にはスターバックスなどで提供される使い捨て容器が詰まってしまっている場合が多く見受けられる。また、飲料容器専用のごみ箱に普通のごみを捨ててしまう人や、新聞・雑誌などをごみ箱周辺にポイ捨てする人もいるため、ごみ箱の設置を嫌がる事業主も多い。
[編集] 屋外用ごみ箱
屋外のごみ箱は丈夫である必要があるため、金属製のものが多い。雨による錆の心配があるため、ステンレス製のものが多いが、公園などでは金網タイプのものも多い。だが金網タイプはペンキがはがれやすく、錆びてしまっている場合がほとんどである。
[編集] 屋外用ごみ箱の減少
屋外にごみ箱を設置すると、周辺がごみで汚れるため管理が難しい。また分別収集に対応するためには複数個のごみ箱を設置する必要があるが、置くだけのスペースがないこと、管理コストがかさむことなどから対応できていない場合がほとんどである。
分別ごみに比べて分別されていないごみの処理費用は高いため、行政・民間ともに設置を嫌がり撤去する傾向にある。そのため屋外のごみ箱は年々減少傾向にある。その結果、設置されているごみ箱にごみが集中してしまい、あふれてしまうごみ箱が増えている。あふれたごみ箱の周辺にはポイ捨てが多くなるため、管理を諦めて撤去されることにより減少傾向はさらに加速している。テロ対策のためその傾向はさらに加速し、分別ごみ箱を大量に設置していた鉄道事業者においてもごみ箱が完全に撤去された。現在では鉄道各社局によってごみ箱の設置状況は様々であるが、JRなどでは透明で中身が確認しやすいごみ箱を開発し、駅員の目が届きやすい範囲において再設置している。
ごみ箱の設置は国によって法律で定められているが、現状ではコンビニエンスストアや鉄道事業者などの民間企業に市町村が頼っている状況にある。市町村によってはペットボトルをごみ収集において回収せず、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに設置された回収用ごみ箱に入れることを求めている。このように企業が設置しているごみ箱は行政システムの一部となっている。
使い捨て容器を利用した商品がある限り、ごみを屋外で捨てたいというニーズも存在する。現在ではごみ箱の設置者もしくはポイ捨てされたごみの清掃者がごみの処理費用を負担しているが、上記のようにごみ処理費用の押し付け合いが行われてしまっているのが現状である。使い捨て商品を利用しない市民が使い捨て商品のごみ処理費用を納税を通じて支払っているとも考えられる。そのため、サービスを提供する企業側、もしくはサービスを受ける消費者が処理費用を負担することを望む声も多い。このような背景の下、容器包装リサイクル法の改正運動や、企業側の社会的責任を求める運動が行われている。