アニサキス
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?アニサキス | ||||||||||||||
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タイセイヨウニシン Clupea harengus に寄生したアニサキスの幼虫 |
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分類 | ||||||||||||||
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種 | ||||||||||||||
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アニサキスは、線形動物門 双線綱 桿線虫亜綱 カイチュウ(回虫)目 アニサキス科 アニサキス属に属する動物の総称で、海産動物に寄生する寄生虫である。ヒトにアニサキス症を引き起こす寄生虫を含む。アニサキスが、ヒトへ感染するときには、サケ、サバ、アジ、イカ、タラなどの魚介類から感染する。
アニサキスは、通常はアニサキス属の種を指す。アニサキス属以外に近縁のシュードテラノバ属なども、アニサキス症と同様の症状(シュードテラノバ症)を起こすが、これもまとめてアニサキス症と呼ぶ場合もある。アニサキス症を引き起こす種は主に Anisakis physeteris 、 Anisakis simplex 及び Pseudoterranova decipiens の3種である。
目次 |
[編集] 生活環
クジラ、イルカなどの海産哺乳類が最終宿主で、アニサキスの成体はこれらの動物の腸管に寄生している。産卵された卵は糞便とともに海中に放出され、これが中間宿主である魚類やイカの体内(筋肉や体腔内など)で幼虫に成長する。中間宿主は、アニサキスの種類ごとに異なっている。寄生された魚類やイカがクジラやイルカに食べられると成虫になる。
アニサキスに寄生された魚類やイカをヒトが食べても、ヒトの体内では成体になることはできないので、産卵もされない。また、魚類などの中間宿主の体内では、アニサキスは内臓だけに寄生する訳ではないため、内臓をよけて食べれば感染しないということはない。
[編集] 終宿主
- アニサキス属
- Contracaecum :鯨類、鰭脚類、鳥類(水鳥)など
- Hysterothylacium :魚類
- シュードテラノバ属 Pseudoterranova :鰭脚類
- Raphidascaris :魚類
[編集] アニサキス症
刺身による寄生虫被害の多くはこのアニサキスが原因である。アニサキス症の症状は、食後数時間のうちに始まる激しい腹痛と嘔吐である。嘔吐に際しての吐寫物は胃液のみで、下痢も一切認められないことが一般的な食中毒と異なる特徴でもある。
激痛のため診断の確定を待たず緊急開腹せざるを得ないこともある。俳優の森繁久彌がアニサキス症のために開腹手術を行った経験がある。
感染の初期段階での一般的な治療は、上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)を用いて、消化管粘膜上の虫体を確認し、生検にもちいるのと同じ鉗子を用いて虫体を摘んで取り除く方法がある。虫体を取り除くとすみやかに症状が消失することが多い。
厚生労働省の記事によると、日本におけるアニサキス症の発生数は、1年間に少なくとも2,000~3,000名以上と推定する報告「日本におけるAnisakidosisの発生状況の解析(石倉 肇、臨床と研究、72巻5号、1995)」もある。
アニサキスは加熱だけでなく、冷凍することで死滅させることもできる。厚生労働省では、寄生のおそれのあるものは-20℃以下で24時間以上冷凍することを指導している。
[編集] 関連項目
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