下痢
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下痢(げり)とは、健康時の糞と比較して、非常に緩いゲル(粥)状・若しくは液体状の糞のことである。主に消化機能の異常により、人間を含む動物が患う症状である。軟便(なんべん)ともいう。日本語特有のオノマトペを伴った俗な表現では、げりぴーやぴーぴーともいわれる。
軟骨魚類・両生類・爬虫類・鳥類および一部の原始的な哺乳類は、下痢とよく似た軟らかい便を排泄するが、それらの排泄を指して「下痢」とは呼ばない。それらの生物は、消化器官の作りが原始的であったり、全排泄(出産や産卵をも含む)を総排泄腔で行うことから、便の柔らかい事が常態なのである。
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[編集] 原因
通常、便は大腸内にて水分を吸収された上で排出されるが、何らかの原因で水分を多分に残したまま便意を催して排出される事がある。これが下痢である。
日常に於いて最も多く見られる原因としては
- 食べ過ぎによる消化不良
- 歯痛・早食いによる消化不良
- 腐敗したものを食べた事による食あたり
- 毒キノコや貝毒などの有害物質による食中毒
- O157・ノロウイルスなどの細菌やウイルスに経口感染して起こる食中毒
- 腹を冷やしたり、食後にベルトを締め付けすぎた時など
- 神経性の消化不良
- 過敏性腸症候群などに代表される体質
- 不安障害による心身症として
- 便意を我慢し過ぎる事による大腸の異常活動
- 海外で日常食べ慣れないものを多量に摂取した
- 医薬品の副作用
等であるが、赤痢やコレラと言った伝染病や、クリプトスポリジウムといった病原性原虫や寄生虫の寄生でも発生する上に、結果的に死に至る場合もあるため、たかが下痢と侮らず、少しでも続くようなら医師に相談した方が賢明である。特に海外旅行の後で症状が出た場合には尚更である。
日本国内での下痢の要因は、通常は病原体によるものではなく、神経性のものが多いようである。日常生活(職場生活・学校生活など)のストレスの多さが主因とされる。
[編集] 症状
下痢は、消化能力の機能低下や、毒物の服用・何等かの感染症によって発生する症状である。
便が非常に柔らかくなる以外の主な症状としては
等が挙げられる。特に大腸での水分吸収が行われない為に生じる脱水症状は危険である。
[編集] 病態
脱水症状は特に細胞外液脱水になり、塩分などのミネラル分などの消耗も起きるので電解質異常を来たす。便は通常アルカリ性なので体液の酸アルカリ平衡が酸性に向かいアシドーシスとなって、体液が酸性に傾きアシデミアになり易い。これは嘔吐の際に、酸性の胃液を吐くため平衡がアルカリ性に向かいアルカローシスになって、体液がアルカリに傾くアルケミアになり易い事と対比すると分かり易い。
[編集] 治療
下痢の際には通常より多くの水分が失われるため、それを補填するために多目の水分補給が必要である。温かい番茶やスポーツドリンクなどをこまめに少しずつ取ると良いといわれる。スポーツドリンクを飲む場合は、室温で放置されてぬるくなってしまった物の方が身体への負担が小さい。冷たい飲料を飲むのは治療として不適切である。水分を取りすぎるのは下痢を悪化させることがあるため、むやみに飲むのも不適切である。
非常に軽度な下痢の場合は、下痢止め薬を服用するとよい。梅干なども効果があるとされている。ただし食中毒などの感染症に伴う下痢は本来は病原体を速やかに排出する防衛作用であり、むやみな下痢止め処置はかえって病状の悪化を招くため注意が必要である。もちろん軽度でも下痢が続く場合や症状が急変した場合はすぐに医者に相談すべきである。
予防も含め、下痢に対しては腹部を冷やさないようにすることが大切である。不快感を軽減することもできるため使い捨てカイロのような発熱体を腹部にあてがうことも役に立つ。ファッションの趣味として、腹部を露出することを好む者の場合、下痢になるリスクが高いため飲食物に注意を払うのが望ましい。
発展途上国では多くの子供が感染症による下痢の脱水症状で死亡しており、点滴による水分補給も設備面で困難なために、水分を小腸で吸収させる経口補水塩を用いた治療が行われている。