インダストリアル
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インダストリアル(英:Industrial)は、
- 工業用の、産業の、高度に産業の発達した、などの意味。
- 1980年代に興った実際に工具類を使って演奏したり、製造現場で発生するようなノイズ、金属的なギター音などを電子楽器で加工し多用するロック、またはダンスミュージック、インダストリアル・ミュージック。(本稿で詳述)
インダストリアル(Industrial)は、電子音楽の一種である。ノイズミュージックと関連性が大きい。
[編集] 概要
スロッビング・グリッスルが、1977年に発表した1stアルバムThe Second Annual Reportのジャケットで、“INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE”というスローガンを掲げたことがその語源とされている。その後、このフレーズがアメリカに渡り、ミニストリー(Ministry)に代表されるインダストリアルのバンドを誕生させることになった。アメリカ以外で活躍したインダストリアルのミュージシャンには、イタリアのマウリツィオ・ビアンキ(Maurizio Bianchi)などが挙げられる。
現在のインダストリアルは、ナイン・インチ・ネイルズやフィア・ファクトリーのようなデジタルサウンドを中心としたスラッシュメタルである。しかし、それは商業大国であるアメリカの中で大衆向けに変化したもので、本来の音楽性はそれとは大きく異なる。
本来的なインダストリアルの音楽性を持ったバンドとしては、過激なスローガンを掲げ、メタルパーカッションやドリル、チェーンソーなどといった身の回りの道具を楽器として多用したアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンやテスト・デプト(Test Dept.)、ゼヴ(Z'ev)、また、攻撃的な高周波数の音を用いたSPK、ホワイト・ハウス(White House)などがあげられる。呪縛的な声とパフォーマンスを披露したスロッビング・グリッスルなどの表現アプローチを見ると、大衆ロックというより現代音楽寄りのアート性のかなり高いものになっている。また、ミニストリーのアルバムTwitchに収録されているIsle Of Man (Version II)などは、インダストリアル本来のサウンドであり、その面影を今に見ることができる。現在のデジタルスラッシュ=インダストリアルというスタイルは、ミニストリーのアルバムThe Land Of Rape And Honeyのころに形付いた。キリング・ジョークからの影響や経緯などは不明だが、このスタイルが後のナイン・インチ・ネイルズなどのバンドを誕生させることになる。
日本でも1980年代から激しい音を扱うミュージシャンが現れた。秋田昌美(メルツバウ)や元SOFT BALLETの藤井麻輝がその代表である。藤井は、日本版SPK限定ボックスの解説を執筆するほどインダストリアルに熱中しており、BUCK-TICKの今井寿と組んだユニットSCHAFTで「踊れないダンスミュージック」を作ったことは愛好家の間では伝説となっている。また、2000年に解散したインディペンデント出版社、ペヨトル工房のサブカルチャー雑誌『銀星倶楽部』で特集が組まれたりするなど、日本でも深く親しまれたジャンルである。
アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンは「目玉親父」のようなキャラクターがトレードマークだが、それがアメリカのオルタナティブ・ミュージック界の重鎮である元ブラック・フラッグ(Black Flag)のヘンリー・ロリンズ(Henry Rollins)の腕の入れ墨に用いられた。また、ジョン・スペンサー(Jon Spencer)によるバンド、プッシー・ガロア(Pussy Galore)のシンボルマークにローリング・ストーンズの唇マークとのコラージュとして使われた。このように、インダストリアルのミュージシャンは多方面から尊敬を集めていて、オルタナティブのミュージシャンとは切っても切り離せない存在となっている。