エボラ出血熱
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エボラ出血熱(エボラしゅっけつねつ、Ebola hemorrhagic fever)は、フィロウイルス科のエボラウイルス(Ebola virus)を病原体とする急性ウイルス性感染症。出血熱の一つ。
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[編集] 原因
アフリカ中央部(スーダン、コンゴ民主共和国、ガボン)および西アフリカで発症している。自然界での宿主や媒介する動物については全く不明であるが、2005年12月1日付の英科学誌ネイチャーにて、食用コウモリからの感染を疑う説が発表されている。(ガボンのフランスビル国際医学研究センターなどのチームの調査)(サルからの感染例はあるが、キャリアではなく、ヒトと同じ終末宿主である。) 患者の血液、分泌物、排泄物や、唾液などの飛沫が感染源となる。死亡した患者からも感染する。空気感染は基本的にしないが、水蒸気などのエアロゾルでサルに感染させた実験例がある。 この場合も、人間には感染しないことが偶然確認された。防護服を着ていない人物が、たまたま(そして、大きな悲劇になる可能性があったが)そこにいたが、全員無事だったというのがその根拠となっている。
[編集] 症状
潜伏期間は通常7日程度。発病は突発的で、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、食欲不振などから、嘔吐、下痢、腹痛などを呈する。 進行すると口腔、歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など全身に出血、吐血、下血がみられ、死亡する。 死亡率は50~90%と非常に高く、死亡者の殆どに消化管出血が見られる。
[編集] 治療方法
エボラ出血熱ウイルスに対するワクチンはない。またエボラ出血熱感染症に対して有効かつ直接的な治療法はない。なお実験動物に対してはウィルス学の河岡義祐(ウィスコンシン大)がエボラ出血熱ウイルスのクローン(一部遺伝子を操作して無毒化)を用いて中和抗体を産生することができるワクチンを実現している模様。
[編集] そのほか
2002年4月、世界保健機関(WHO)は、ガボン北部に生息する西ローランドゴリラの死体からウイルスを発見した。エボラ出血熱の流行地帯に暮らす人々は、ゴリラやサルなどの野生生物を食用とする習慣があり、また実際に発症した人の中には、発症する直前に森林で野生動物の死体に触れたと証言したため、ゴリラも感染ルートの一つとなった可能性がある。
翌年、隣国のコンゴ共和国でエボラ出血熱が発生した際には、人間への感染と同時にゴリラにも多数の感染例が報告され、2002年から2005年もの間に約5,500匹のゴリラが死亡したと報告した。 体内に1000個のエボラウイルスがあると死亡する。
[編集] ノンフィクション
- 『ホット・ゾーン』上下(著:リチャード・プレストン、飛鳥新社)
- 『ウイルス感染爆発』(著:NHK「エボラ感染爆発」取材班、日本放送出版協会)1995年にザイール(現、コンゴ民主共和国)でおこったエボラ出血熱(エボラ・ザイール)の流行についてあつかっている。
[編集] フィクション
- 映画『アウトブレイク』(OUTBREAK、1995年、米)
- 監督:ウォルフガング・ペーターゼン
- 脚本:ローレンス・ドゥウォレット、ロバート・ロイ・プール
- 出演:ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー
- 本作はエボラ出血熱を扱っているわけではないが、エボラよりも感染力が強く致死性が高い、エボラを容易に連想させる架空のウイルスを扱っている。
- 漫画『ゴルゴ13/病原体・レベル4 (第114巻・リイド社)』(1995年、日本)
- 密猟された緑猿からエボラウイルスが感染するストーリー。主役のゴルゴ13(デューク東郷)も感染し、瀕死の状態で血清を作って悲劇は免れる。アメリカ疾病予防管理センターを思わせる疾病センターの細菌管理の実態を描写、その最高段階のレベル4にエボラは属する。
- 漫画『エマージング (全2巻・外薗昌也著、講談社)』(2004年、日本)
- 日本国内で新型ウイルスが発生し感染するストーリー。これもまた出血熱型のウィルスを扱っており、エボラを容易に連想させる。ショッキングな描写と共に、日本における疾病予防対策とその体制について問題提起を試みている。
- 高度成長期時代の子供達に空想された「よげんの書」が実行される世界を描いた長編ストーリー。出血型ウィルスを兵器として扱い、そのモデルがエボラであると連想できるが、接触後数秒~24時間以内に飛び散るような全身出血が発症するなど、ウィルスとしてはあり得ない描写がなされる(自己増殖ができないウィルスは人間の代謝速度を上回る事はできない)。
[編集] 法律上での扱い
エボラ出血熱は、旧伝染病予防法(1999年に廃止)では、「法定伝染病」に指定されていた。
[編集] 関連項目
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