エルフ語
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エルフ語は、ファンタジーに登場する伝説の種族であるエルフが使うものとされている架空の言語。
エルフが登場する様々なフィクションに登場するが、特に有名なのはJ・R・R・トールキンの作ったエルフ語である。彼は実際にいくつかの人工言語をエルフ語として作成した。
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[編集] 中つ国のエルフ語
以下にあげる言語は、J・R・R・トールキン教授が『指輪物語』に使ったもので、基本構造の多くは古ケルト語等に準じる。物語の舞台となる中つ国世界でエルフが用いる。
- クウェンヤ(Quenya上のエルフの言葉) →西の果てヴァリノール(至福の地アマン)での公用語。上古の時代に中つ国では禁止され、一部の上のエルフしか覚えていない。
- シンダール語(Sindarin灰色エルフ語) →中つ国の灰色エルフ族の言葉。
また、トールキンはこれらの言語のために、テングワールやキアスといった文字を作った。
[編集] 特に注意すべき発音の規則
- c は常に[k]に発音され[s]音になることはない。
- ch はスコットランド語の loch 、ドイツ語の buch に同じ口蓋摩擦音の[x]。Imlach →イムラハ。
- hy は hew のような音[hj]。
- dh は these のth[ð]。Aredhel → アレゼル。
- f は語尾では[v]音でそれ以外では[f]。 Nindalf →ニンダルヴ。
- ht クウェンヤでは[çt]
- i はシンダール語で語頭で他の母音と用いられるとき[j]音。Iarwain →ヤルワイン。
- ph は[f]音。alph →アルフ。
- qu は [kw]音。
- th は thank のth[θ]。
- ty は tune の[tj]。
- hw は white のwh[hw]。
- er, ir, ur は語尾または子音の前にくる場合、英語のair[ɛə], eer[ɪə], oor[ʊə]のように発音される。Caranthir →カランシア。
- yはクウェンヤでは子音、シンダール語では母音である(フランス語のu[y])。
- 鋭アクセント記号は長音、シンダール語では曲アクセント記号は特に長い音を示す。
- 子音の連続は二重の子音。ただし最近はttとssとkkは促音として、llやnnやrrは子音を二重に翻訳されている。
他はローマ字読みしても、だいたい変わりない。
他の彼の人工言語は、以上のように読んでほとんど変わりない。ただし、
- kはcと同音。単に異国語であることを示す。
- 曲アクセント記号は特に意味が無い。
- このことばに対し、曲アクセント自体無意味なのか、鋭アクセント記号と何ら変わらないという意味なのか解釈の分かれるところであるが、最近は後者が正しいとされている。
- ドワーフ語ではthとかkhは単独の子音を示すのではなく、それぞれt+h、k+hの音で発音された。
[編集] その他のエルフ語
[編集] フォーセリアのエルフ語
日本のファンタジー作品/ゲームであるロードス島戦記・ソードワールド・クリスタニア等の舞台となっているフォーセリア世界においても、やはりエルフやダークエルフがエルフ語を用いている。ただし、文法や文字の明確な設定は無く、物語の小道具程度の設定しか存在しない。作品中の描写から得られる情報は以下の通りである。
- 人間にはまるで歌を歌っているかのように聞こえ、ほとんどの人は意味を理解できない、とされている。
- 幾つかの単語が登場する。濁音を含む単語は良くない意味で使用される。例:「醜い」→「バーク」