オットセイ
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オットセイ | ||||||||||||||||
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ナンキョクオットセイの子ども Arctocephalus gazella |
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分類 | ||||||||||||||||
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属・種 | ||||||||||||||||
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オットセイ(膃肭臍)は、アシカ亜目(鰭脚類)アシカ科オットセイ亜科に属する海生哺乳類の総称である。アシカと同じアシカ科に属し、耳たぶがある、四脚で体を支えて陸上を移動できる、前脚を鳥の翼のように羽ばたくことによって遊泳するなど、アシカ科特有の特徴をもつ。
アシカよりは若干小ぶりで、ビロード状の体毛が密生していることがオットセイの特徴である。 北太平洋に生息するキタオットセイ属 Callorhinus と、アフリカ南岸、オーストラリア南岸などに生息するミナミオットセイ属 Arctocephalus に大別される。食性としては魚を主食としているが、ペンギンなどを捕食する場合もあることが報告されている。 高価な毛皮や、さらには陰茎や睾丸(生薬名:海狗腎)が精力剤などの漢方薬材料として珍重されたため、乱獲により生息数が激減した。日本では、1912年発効の「臘虎膃肭獣(らっこ・おっとせい)猟獲取締法」によって捕獲や所持が規制されていたが、1957年締結の「北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約」(アメリカ、カナダ、ソ連(当時)、日本)など、保護の取り組みがなされている。
2006年現在、日本ではヴィタリス製薬株式会社(旧社名プロ・シール株式会社←オットセイ製薬株式会社)だけがオットセイ製剤(オットピン等)の製造を行っている。
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[編集] オットセイ保護区
- ケープ・クロス・オットセイ保護区(ナミビア)
- 希望峰自然保護区(南アフリカ共和国)
- アラスカ海洋国立野生生物保護区(米国)
- カリフォルニア州立自然保護区(米国)
- 羅先特級市(朝鮮民主主義人民共和国)
[編集] 名前の由来
オットセイはアイヌ語で「onnep」(オンネプ)とよばれていた。それが中国語で「膃肭」と訳され、そのペニスは「膃肭臍」(おっとせい)と呼ばれ精力剤とされていた。後に日本ではペニスの部位だけを指す生薬名が、この動物全体を指す言葉になった。
なお、英語ではfur seal(毛皮アザラシ)と呼ばれる。アザラシよりも質の良い毛皮が取れるため、この名前がついたといわれている。
いずれにしても、精力剤や毛皮の対象として捕獲されてきたことを物語る名前である。
[編集] 外部リンク
[編集] 日本
日本海や銚子沖の太平洋が、キタオットセイ属の南限といわれる。たまに日本海側や北海道、東北地方の海岸に死体や、生きたまま漂着することがあるが、2006年9月9日、内陸部に位置する埼玉県川越市で野生と見られるオットセイが発見され、警察で捕獲し、上野動物園へ収容・保護された。その後、このオットセイは放流することになり、準備のため12月4日に鴨川シーワールドへ移動された。2007年春先に、鴨川沖の太平洋へ放流する予定という。(保護されたキタオットセイがシーワールドへ)
展示は伊豆三津シーパラダイスや新江ノ島水族館などの一部の動物園、水族館で行われている。
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