オーステナイト
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オーステナイト(austenite)とは、純度100%の鉄において911℃~1392℃の温度領域にある鉄の相(組織)である。この領域において、鉄は面心立方格子構造をとる。γFe、γ鉄(ガンマてつ)ともいう。イギリスの冶金学者ロバート・オーステン(Sir W.C.Roberts-Austen)によって発見された。オーステナイトという名称は、彼の名前から由来している。非磁性体である。
純度100%の鉄において、1392℃を超えると、デルタフェライトに変化する。この温度をA4点という。
オーステナイトは、Fe-C状態図において、1147℃で最大溶解量2.14[mass %]までの炭素を固溶できる。この値が、鋼と鋳鉄の分かれ目となっている。
炭素は、面心立方格子構造の中に侵入型で固溶している。炭素含有量が増加すると、オーステナイト領域の温度範囲が上下に広がる。これは、炭素を固溶することによって、オーステナイトが熱力学的に安定するためである。また、NiやN、Mn、Pdが固溶するとオーステナイト領域が広がる。このような元素を、オーステナイト形成元素という。逆に、SiやMo、Ti、Vが固溶するとオーステナイト領域が狭くなる。このような元素をフェライト形成元素という。非磁性体である。