クズ
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?クズ(葛) | ||||||||||||||||
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![]() 葛の花 |
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Pueraria lobata (Willd.) Ohwi | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
kudzu | ||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||
クズ |
クズは、マメ科のつる性多年草の名前で葛の文字を当てる。葛の根の部分を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる。秋の七草の一つ。
目次 |
[編集] 特徴
葉は3出複葉、小葉は草質で幅広く、とても大きい。つるは年がたつと太くなり、やや木質化する。地面を這うつるは、あちこちに根を下ろし、根は太って芋状となる。花は秋に咲き、穂状花序が立ち上がり、赤紫の豆の花を咲かせる。花は甘い芳香を発する。果実は枝豆に似て、やや小型。
荒れ地に多く、人手の入った藪によく繁茂する。かつての農村では、田畑周辺の藪に育つクズのつるを作業に用いた。そのため、クズは定期的に切り取られ、それほど繁茂しなかった。しかし、刈り取りを行わない場合、クズの生長はすさまじいものがあり、ちょっとした低木林ならば、その上を覆い尽くす。木から新しい枝が上に伸びると、それに巻き付いてねじ曲げてしまうこともある。そのため、人工林に於いては、若木の生長を妨げる有害植物と見なされている。
なお、この派手な成長ぶりを買われ、中国奥地の緑化のために種子が運ばれたことがある。北アメリカにも1876年にフィラデルフィアの独立百年祭博覧会の際に日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのがきっかけとして、東屋やポーチの飾り、さらには緑化・土壌流失防止用として推奨され一時は持てはやされたが、原産地の中国や日本以上に北アメリカの南部は生育に適していたため、あるいは天敵の欠如から想像以上の繁茂・拡散をとげ、有害植物及びに侵略的外来種として指定されたが、駆除ははかどっていない。なお、葛の英語名は日本語から「クズ[kudzu]」である。近年ではアメリカ南部の象徴的存在にまでなっている。
駆除は、根茎により増殖するため根絶やしにすることが困難である。抜本的に除去する方法として、除草剤のイマザピルを使う手法がある。除草剤は、薬剤を染みこませた楊枝状の製品であり、根株に打ち込むことにより効果を発揮する。
[編集] 食品
- 食品の葛粉(くずこ)はクズの根を晒して作る。葛切りなどの原料となる。
- 葛粉を湯で溶かしたものを葛湯(くずゆ)、熱を加えて溶かしたものは固まると半透明もしくは透明になることから和菓子等の材料として古くから用いられている。
- 各種食料品店で入手できる葛粉と呼ばれる食品の多くは馬鈴薯澱粉が混ざっており、混じり気のない葛粉100%のものを本葛(ほんくず)と呼び区別する。
[編集] 漢方薬
- クズの根を干したものを生薬名葛根(かっこん)と呼ぶ。日本薬局方に収録されている生薬である。発汗作用・鎮痛作用があるとされ、漢方方剤の葛根湯などの原料になる。これを題材にした落語に『葛根湯医者』がある。
[編集] 蔓(つる)
- クズの蔓は長いことから、切り取った蔓部が乾燥して固くなる前に編むことで、籠(かご)などの生活用品を作ることができる。
- また、蔓を煮てから発酵させ、取りだした繊維で編んだ布は葛布(くずふ)と呼ばれる。平安時代頃から作られていたとされる。江戸時代には『和漢三才図会』でも紹介された。かつては衣服・壁紙などに幅広く使われたが、現在では生活雑貨や土産物として、数少ない専門店によって小規模ながら生産がつづけられている。遠州、現在の静岡県掛川市の特産品である。
[編集] 家紋
- クズ固有の小さな葉を意匠的に図案化した家紋が数多く存在する。