クラシック (競馬)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クラシックとは、古くから施行されている伝統的な競馬の競走で、イギリスの1000ギニー、2000ギニー、オークス、ダービー、セントレジャーである。いずれの競走も出走馬は3歳馬に限定されているため、一生に一度しか出走するチャンスはない。クラシックレースは種牡馬や繁殖牝馬の価値を高めるための選定レースと位置づけられており、騸(せん)馬の出場は基本的に認められていないが、アメリカの三冠レースではせん馬の出走が認められている。
日本では、これらのレースを模範として作られた桜花賞、皐月賞、優駿牝馬、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞の5つである。なお、優勝馬には、内閣総理大臣賞が贈られる。また戦時中の1944年には馬券発売が禁止されたので、軍用馬・繁殖馬選定の為の能力検定競走という形で開催されたレースもある。現在は日本中央競馬会が開催している。
これらのうち1000ギニー(日本では桜花賞)、オークス(同、優駿牝馬)は牝馬限定であり、これらを除く2000ギニー(同、皐月賞)、ダービー(同、日本ダービー)、セントレジャー(同、菊花賞)の3つのレースを全て制するのは非常に困難であり、これらを達成した馬は三冠馬と呼ばれる。この三冠馬の中にはこの功績を讃える記念レース名に現在までその名を残しているものも少なくない。日本では中央競馬のセントライト記念、シンザン記念、地方競馬では南関東のロジータ記念などがある。 日本だけでなく、世界各国でもこのイギリスの体系に範を取った3歳馬のための競走は行われており、それぞれの国のクラシック競走として行われている。
また、日本国内の地方競馬でも、地域ごとに優秀競走馬選定を目的としたクラシック競走は行われており、近年はこれらの勝ち馬と中央競馬のダート路線の優秀な3歳馬を集め、大井競馬場のジャパンダートダービーで頂点を決するというレース体系の整備も行われている。
また英ダービーと同じ距離である芝2400メートル(または芝1マイル1/2)で行われる競走を「クラシックディスタンス」と呼ぶ。ダートではケンタッキーダービーに近い距離の2000メートル(1マイル1/4)をクラシックディスタンスと呼ぶ。
日本の場合、以前は中央競馬のクラシック競走は予め2歳(旧3歳)の時に「クラシック出走登録」を届け出ないと出走することができなかったが、現在は3歳(旧4歳)のクラシックレース開催直前に追加登録が認められるようになった。また2000年までは生産者保護の観点上外国産馬のクラシック(の他天皇賞含めて)の出走も認められていなかったが、2004年の桜花賞をもって全てのGIレースへの外国産馬の出走が可能になった。
この制度変更のきっかけを作ったのは、1977年のマルゼンスキーと1988年のオグリキャップであるとされる。共に当時の制度の為にクラシックに出走がかなわぬ身で、本来ならば裏街道と評される競走や古馬相手の競走を圧倒的な強さで連戦連勝、これらの馬の陰にその年のクラシック競走に挑む馬たちが霞んでしまい『敗者復活戦』と揶揄される盛り上がりに欠ける状況となり、中央競馬会がマスコミや競馬ファンから大きな批判を受けた事と、これらが馬券の売上面においても芳しくない影響を及ぼした為である。
特にダービーへの出走は競馬関係者全ての夢でもあり目標でもあり、ダービーまでのトライアル路線は活況を呈している。だがその思い入れが強いがゆえに、距離適性やローテーションを度外視された使い方でつぶされてしまった競走馬も少なくない。このようなクラシックディスタンスを適性外とする馬の中から、ニホンピロウイナー、ダイタクヘリオス、サクラバクシンオーなどの活躍馬が生まれ、「クラシック路線やグランプリ路線だけが競馬ではない」という考え方も生まれてきた。短距離路線の拡充も叫ばれ、1996年にNHKマイルカップの新設へと繋がった。近年ではキングカメハメハやラインクラフトなどの変則2冠馬も誕生し、クラシックロードにも新しい選択肢が定着しつつある。
- 三冠 (競馬)の項も参照
[編集] クラシックを親子で制覇した馬たち(日本)
日本では以下の馬たちが親子でクラシック制覇を成し遂げている(親子三代制覇以上のみ掲載。二代はここでは割愛する)