クローズドドアシステム
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クローズドドアシステムは、路線バスや高速バスで途中停留所の利用条件を乗車もしくは降車のみに制限する制度である。
路線バスにおいて、他社エリアに乗りいれる時の乗降制限方法として用いられたが、1982年以降に新設された高速バス路線で確立され、高速バス路線が拡大する源泉となった。
路線バスにおいては、自社エリアから他社エリアに乗りいれる際は他社エリアでは降車、他社エリアから自社エリアに乗りいれる際は他社エリアでは乗車のみの制限が取られ、高速バスでは、起点地周辺エリアで乗車のみ、終着地周辺エリアで降車のみの制限が取られる方法が一般的である。
以下に述べるように、バス事業者にメリットが大きいが、利用者にとってはデメリットが大きく、昼行高速バス路線では、クローズドドアシステムによる弊害も生じている。
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[編集] 長所
- 他社事業者のエリアで営業侵害にならないため、事業者間の摩擦が少ない。
- 高速バスで、近距離利用を制限できるため、静粛が保たれやすく、一般路線バスへの影響も最小限にできる。また、運賃の精算作業も容易にしやすい。
- 高速バスでは、拠点間の運賃設定で済むため、プール精算制といった方法で運行事業者間の収入分配が公平、簡便になる。
- 終点まで降車のみの扱い区間になると、渋滞等が無ければ予定時刻より早く到着することがあり、降車のみの扱いなので停留所での時間調整の必要も無い(高速バスの場合、悪天候や道路工事等による速度規制を想定して若干ゆとりのあるダイヤにしてあるため、途中で渋滞が無ければこのような現象が生じやすい)。
[編集] 短所
- 短距離路線のクローズドドア区間では、乗車もしくは降車に制限されるため、バスが低乗車率のまま運行するケースが生じやすい。
- 高速バスでは、利用が拠点間に限定されるため中間地での利用ができない。
- クローズドドアシステムを採用している路線で、当該路線がそのシステムになっている事を知らない乗客が、誤って乗ってしまいトラブルとなる事がしばしある。
- 本来は間違えない様に、長距離を中心に走るバスの場合は、特に事前に情報を調べて乗る必要が乗客側にもあるが、万一間違えた場合には運転士に申告すれば、乗り間違え扱いで最初の降車可能停留所までの運賃、もしくは無償で降車させて貰える場合が多いので、早めに申告をするべきである。
[編集] 短所を補う工夫
- 山陽自動車道では、高坂パーキングエリアを乗り換え専用の停車地とし、直行路線のないしまなみ街道沿線から広島空港へのアクセスの確保を行っている。
- 国土交通省関東運輸局の肝いりで上信越自動車道の藤岡パーキングエリアを乗り換え専用停車地とし、直行路線のない区間でも相互乗り換えでアクセスを確保する社会実験を行うべく、アンケートを実施している。
[編集] 関連項目
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