ケガニ
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ケガニ | ||||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||
Erimacrus isenbeckii (Brandt, 1848) | ||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||
Horsehair crab Horse crab |
ケガニ(毛蟹)Erimacrus isenbeckii は、エビ目・カニ下目・クリガニ科に分類されるカニの一種。北西太平洋の沿岸域に広く分布する大型のカニで、食用に漁獲される。
目次 |
[編集] 特徴
最大で甲長120mmに達し、オスの方が大型になる。体は全身が淡赤褐色で、体を覆う殻はあまり硬くはないが、短い剛毛が密生し、和名はこれに由来する。甲羅はわずかに縦長の円形で、鋸の歯のような棘が両眼の間に4つ、甲羅の側面に7つある。歩脚は太く、甲羅と同様に短い毛と棘が密生する。鋏脚は歩脚よりさらに短く、太さも棘も歩脚と同じくらいである。
日本海沿岸、茨城県以北の太平洋岸からアラスカ沿岸まで、太平洋北西部とその縁海に広く分布する。
水深30-200mほどの、浅い海の砂泥底に生息する。食性は肉食性で、多毛類、貝類、他の甲殻類、小魚などのベントスを捕食する。一方、天敵はオオカミウオやミズダコなどである。
繁殖期は春だが、冬に繁殖を始めるものも少数存在する。メスは交尾後に産卵し、産んだ卵は他のカニと同様に腹脚に抱えて保護する。ただしケガニは孵化するまで1年かかり、メスは通常隔年で産卵する。また、メスは隔年でしか脱皮できないため、オスより成長が遅れる。繁殖力も低く、乱獲されるとなかなか漁獲量が回復しない。
[編集] 食用
分布域ではズワイガニやタラバガニなどと並ぶ重要な漁業資源で、おもに籠漁で漁獲される。
塩茹でや焼き物、缶詰などに加工され、身をほぐして色々な料理に使われる。ズワイガニやタラバガニに比べると体が小さく可食部も少ないが、身に甘みがあり、カニミソの量が多い。
[編集] 近縁種
- クリガニ Telmessus cheiragonus (Tilesius, 1812)
- ケガニに似るが、甲の両側が横に尖り、甲の形が五角形に近い。額角は台形で小さな歯状突起が4個あるが、4個の歯の大きさはほぼ同じなのが次種トゲクリガニとの区別点の一つともされる。しかし実際には変異もあるため、むしろ産地から判断する方がわかり易い。朝鮮半島東岸、北海道東部からカリフォルニア沿岸まで分布し、ケガニよりも浅い海域に生息する。外見も大きさもケガニに似て、利用法もケガニに準ずる。
- トゲクリガニ T. acutidens (Stimpson, 1858)
- 額角の4本歯のうち両側の2つが大きく、中央の2つが小さいが、クリガニにも同様の形態のものが少なくない。ただし本種の分布域は北海道西岸から津軽海峡を経て東京湾までで、ほとんどクリガニと重複していないため、多くの場合は産地で判断できる。ケガニ、クリガニと同様に利用される。
[編集] 参考文献
- 講談社「新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方」 ISBN 4-06-211280-9
- 保育社「原色日本大型甲殻類図鑑」II 三宅貞祥 ISBN 4-586-30062-0