ゲームエミュレータ
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ゲームエミュレータ(Game Emulator)とは、主にコンシューマーゲーム機やアーケードゲーム機等のハードウェアを、実機以外のハードウェア上で仮想的にエミュレートし、そのゲーム機本体でのみ稼動するゲームをプレイできるようにするためのエミュレータである。最もメジャーな実行環境として、パーソナルコンピュータなどがあげられる。
フライトシミュレータやドライビングシミュレータも、仮想的に乗り物を作り出し、操作するという概念で言えばエミュレータといえるかもしれないが、エミュレータとシミュレータで分けられているのが現状である(エミュレータを参照されたし)。
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[編集] 問題点
[編集] ロムイメージと著作権
ゲームエミュレータに関わる最も大きな問題が、ゲームソフトのロムイメージとそれに関わる著作権である。ビデオゲームの世界はまだ歴史が浅く、完全に著作権が失効したゲームソフトというものは、著作権者側が著作権を放棄する等の例外を除いて、まだほとんど無いと考えられる。エミュレータで合法的にゲームを遊ぶには、実際に自分が所有しているROMからロムイメージをダンプする必要が有るが、現時点ではほとんどのユーザーがWebやP2Pソフト等でロムイメージを入手しているのが現状であるとされる。
最近では著作権者側が過去資産を生かす為にゲームエミュレータを使用する動きが進んでいる。しかし、権利や表現の問題など、様々なしがらみによって現在では発売不可能と思われるゲームもあり、そのようなゲームを遊ぶには実機を入手するか違法を承知でロムイメージをコピーするか、さもなくば著作権が失効するのを待つ他は無いと言われる。
[編集] 実行の為の性能
ゲームエミュレータは一般的にハードウェアの動作をソフトウェアで処理する為、実機よりも高性能なハードウェアを必要とする。
例えばプレイステーション2(以下PS2)の性能は、2006年12月時点でのハイエンドPCに比べスペックが優れているわけではないが ソフトウェアバイナリがハードウェアと直接連携し最適化されるのに比べバイナリを解析し、PCが持つ各種インターフェイスへの連動を行う等のオーバーヘッドが追いつかず実機と同性能で動かすことが出来ない場合がある。
複雑なハードウェア構成のゲーム機をエミュレートする場合、エミュレータ開発も困難なものになる。 例えばアーケードゲームのエミュレータの場合、各ベンダー毎、ソフトウェア毎に仕様が異なっている場合があり、エミュレートが完全に対応できなかった際にゲームが動作しない、あるいは実機通りの動作をしない場合がある。
[編集] 特殊なデバイス
実機が特殊な入力デバイス、例えばガンコン、パドル、トラックボール、ループレバー等を使用する場合、一般的なコントローラーでは実機と同等のプレイ感を出す事は出来ない。実機の入力デバイスを流用するか、同等の装置を自作する必要が有る。
[編集] 公式なゲームエミュレータ
任天堂のWiiに搭載されている機能のバーチャルコンソールは、いわば公式のゲームエミュレータである。Wiiと互換性があるのはゲームキューブだけであるが、NINTENDO64以前のソフトもゲームデータをダウンロードすることでエミュレータ技術によって遊ぶことができるようになっている。
プレイステーション・ポータブルのファームウェア バージョン3.00以降にもプレイステーションのエミューレータが搭載されている。プレイステーション3を使ったダウンロード配信サービスのゲームアーカイブスでPSソフトが提供されている。
プレイステーション3において、初代プレイステーションのソフトはソフトウェアエミュレートで動いている。また2007年3月発売の欧州版ハードウェアはプレイステーション2チップのうちGraphics Synthesizerしか搭載していないため、CPUのEmotion Engineをソフトウェアによりエミュレートする。
Xbox 360でも初代Xboxの一部タイトルをソフトウェアエミュレートにより実行可能である。