シナノキ
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?シナノキ | ||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Tilia japonica (Miq.) Simonk. | ||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||
シナノキ | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
Japanese Lime |
シナノキ(榀、科の木、級の木)、はシナノキ科シナノキ属の落葉高木。学名、Tilia japonica (Miq.) Simonk.。
国内では特に長野県に多く分布しており、信濃(科野)の語源になった。 信濃はもともとは科野と書き、現在の千曲市及び長野市南部は元々は埴科郡・更級郡であったが、科も級も共にシナノキを意とする。
スウェーデン国王アドルフ・フレデリックが1757年に、「分類学の父」と呼ばれる植物学者・カール・フォン・リンネを貴族に叙した際に、姓としてフォン・リンネを与えたが、リンネとはシナノキの意であり、これはリンネの家族が育てていたシナノキ(sv:Linnagård)に由来するものである。
目次 |
[編集] 特徴
日本全土の山地に自生する。 日本固有の種である。
幹の直径は1m、樹高は20m以上になる。 樹皮は暗褐色で表面は薄い鱗片状で立てに浅く裂けやすい。
葉は互生する。 長さ6-9cm、幅5-6cmで先のとがった左右非対称の心型。 周囲には鋸状歯がある。 春には鮮やかな緑色をしているが、秋には黄色くなる。
初夏に淡黄色の小さな花をつける。 花は集散花序で花柄が分枝して下に垂れ下がる。 花序の柄には苞葉をつける。
果実はほぼ球形。 果実は秋になって熟すと花序とともに落ちる。
[編集] 利用
樹皮はシナ皮とよばれ、繊維が強く主にロープの材料とされてきたが、近年合成繊維のロープが普及したため、あまり使われなくなった。大型の船舶の一部では未だに使用しているものがある。 1990年代頃から、地球環境を見直す意味で麻などと共にロープなどへの利用が見直されている。
古くは木の皮の繊維で布を織り衣服なども作られた。アイヌは衣類など織物を作るためにシナノキの繊維を使った。現在でもインテリア小物などの材料に使われる事もある。
木部は白く年輪が不明瞭で、柔らかく加工しやすいが耐久性に劣る。合板や割箸、マッチの軸、鉛筆材、アイスクリームのへら、木彫りの民芸品などに利用される。
また、花からは良質の蜜が採取できるので、花の時期には養蜂家がこの木の多い森にて採蜜を営む。
[編集] シンボルなど
- 長野市の「市の木」に指定。