シュールストレミング
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シュールストレミング (Surströmming) は、スウェーデン発祥の缶詰で、ニシンを塩漬けにして、缶の中で発酵させた漬物の一種である。シュールストローミング・シュールストレーミングという言い方もする。
スウェーデン語でシュル (Sur) は「酸っぱい」を、ストロミン (strömming) はバルト海のニシンを意味する。
[編集] 食べ方
缶の内部で常に発酵が進んでいるため、生じるガス(二酸化炭素など)によって缶自体が膨れる。開封時、そのガスによって汁が勢いよく飛び出すことがあるため、水中での開缶が推奨されている。
その臭いは強烈で、魚が腐った臭い、あるいは生ゴミを直射日光の下で数日間放置したような臭いともいわれる。臭度計ではくさやの6倍以上という値を示す。塩気も強烈であるため、肴として、ジャガイモ、ニラ、ポテトサラダやトマトを付け合わせにするか、スライスしたタマネギとバターとともに硬パンに乗せて食べる。また室内で食べると臭気がなかなか消えないため、屋外で食べることが多い。また、食べた後も胃の中で発酵し続けることも知られている。
シュールストレミングは、春先、産卵期にある一番良い状態のニシンを獲り、樽の中に1ヶ月から2ヶ月漬け込んだ後、まだ発酵中のニシンを缶詰にして二次発酵させ、夏に食べる。製品によっては気温が高いと発酵が進み過ぎてどろどろに溶けてしまうため、食べるタイミング、製品の選択に充分注意する必要がある。
発酵が半年から一年続くと、生じたガスによって円筒形だった金属缶は丸く膨らむほどになってしまう。こうした状態の缶はスウェーデン各地のスーパーマーケットでよく見られるが、多くの航空会社では、飛行中の気圧低下により内圧の高いシュールストレミングの缶が爆発する恐れがあるとして、航空機内への持ち込みを禁じている。また、不特定多数が使用する公共の場においての開封はマナー違反として禁止されている場合が多い。
気密性が高い缶の中で二次発酵を進めているのは、"Haloanaerobium" と呼ばれる嫌気性細菌の一種である。この細菌が二酸化炭素のほか独特の臭いを生み出す化合物を生産している。刺激的なにおいのするプロピオン酸、腐った卵のような硫化水素、腐ったバターのような酪酸、酸っぱいにおいのする酢酸などである。
こうした発酵・保存方法の起源については、遠い昔、塩の値段が高かったため塩漬け食品も高く、その代用だったという説がある。
主にスウェーデン北部で食べられ、南部などそれ以外の地域では消費量は少ない。
[編集] 入手方法
以前は日本国内でも一部の商社などがシュールストレミングの輸入を行っており、通信販売のウェブサイトなどで購入できたが、2007年現在、上記の空輸禁止措置により日本での購入は非常に困難になっている。
[編集] 外部リンク
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