ジョン・デューイ
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ジョン・デューイ(John Dewey, 1859年10月20日-1952年6月2日)は、アメリカの20世紀前半を代表する哲学者。ピアス、ジェームズとならんでプラグマティズムを代表する思想家である。
バーモント州バーリントン町の食料品店に、父アーチボルトと母ルシナの三男として生まれる。シカゴ大学の教授時代、1896年に妻とシカゴ大学付属小学校である実験学校をつくり、そこでの指導経験をまとめた『学校と社会』(1899年)でまず世に知られることになった。
コロンビア大学に移ってからは、より広く世論にも影響を与える執筆活動を展開し、哲学、社会論、心理学、芸術論、宗教論にまでその筆は及んだ。日本、中国、ソ連にも招聘講義に出かけ、1919年の2ヶ月に及ぶ東京帝国大学での講義は、『哲学の改造』(日本語版がオリジナルで、英語版は翻訳)に結実した。
哲学的には、ヘーゲルから由来する弁証法を、より人間的な経験と反省の世界に引き戻し、プラグマティズムの運動の最終段階として、市民的な思考の道具として「考える」ことを再構築した。鶴見俊輔は、それを市民的な思考の道具として翻案紹介した。
また、デューイの学習論から出てくる問題解決学習は、コロンビア大学でかれの引退と入れ替わりに、世界で初の大学の看護学部が誕生するとき、その教育方法の根底をなすものとして影響を与えた。彼の教育論は、人間の自発性を重視するものである。彼は人間の自発的な成長を促すための環境を整えるのが教育の役割だとした。
[編集] 主要な著作
- 民主主義と教育(1916年)
- 人間性と行為(1921年)
- 確実性の探求(1929年)
- 思考の方法(1933年)
- 経験と教育(1938年)
以上の代表的な著作は、春秋社からかつて翻訳が出ていたが、現在は絶版。『民主主義と教育』『学校と社会』『哲学の改造』は岩波文庫に収録されている。『民主主義と教育』は、玉川大学出版部からも刊行されている。その他、デューイの著作の翻訳は、人間の科学新社からジョージ・ハーバート・ミード(『経験としての芸術』)と併せて出版されている。 また国内に日本デューイ学会がある。
- 『ジョン・デューイの政治思想』小西中和 北樹出版 ISBN 4893849239
『経験と教育』は講談社学術文庫から出版されている。
市村尚久訳『経験と教育』講談社学術文庫,2004年 ISBN 4061596802
[編集] 外部リンク
- ジョン=デューイ『民主主義と教育』
- ジョン・デューイの教育原理 早川昌美
- ジョン・デューイとシカゴ大学附属小学校 杉浦 綾
- ジョン・デューイと多文化協同の教育実践
- リベラリズムと学校教育
- デューイ
- ジョン・デューイにおけるプラグマティズムの真理観の研究