スクロース
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スクロース(sucrose)はショ糖(蔗糖)とも呼ばれる、代表的な二糖のひとつ。つまり、二つの単糖であるグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)から構成されている。実験式はC12H22O11。式量は342.30。
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[編集] 構造
スクロースは、グルコースとフルクトースがグリコシド結合した二糖類である。グルコースのアルデヒド基とフルクトースのケトン基が共にグリコシド結合のため酸化されず、糖類では例外的に還元性を持たない。
[編集] 生産
スクロースは、共有結合性化合物である。一般にはサトウキビや、サトウダイコンから抽出されて、純度を高め結晶化したものである。商業上、比較的重要ではない原料として、ソルガムとサトウカエデがある。
[編集] 用途
純粋なスクロースは、先進国における主要な甘味料であり、砂糖の主成分である。ネコ科以外の哺乳類は、例え空腹でなくてもスクロースで甘みを付けた食物を喜んで摂取する。加工食品やジャンクフードにはたいていスクロースが添加されている。
[編集] 消化
スクロースは、小腸に存在する消化酵素(スクラーゼ、別名インベルターゼ)によりグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に加水分解され(転化糖)、小腸で吸収されて血流に入る。
[編集] 健康への影響
スクロースは、健康に悪い影響を及ぼすことがある。最も一般的なのは虫歯だろう。口中の細菌がスクロースを歯のエナメル質を痛める酸に変化させるためである。一般にスクロースはカロリーが高く、肥満の原因になり、糖尿病患者はスクロースの摂取を制限しなければならないという説があるが、食物中の炭水化物の総量のうちスクロースの占める割合はごく一部に過ぎないのでスクロースのみを制限しても意味は無い。逆にスクロースで180g程度以上を一度に摂取すると健常人であっても一過性の糖尿を生する。この量は、食品成分表のコーラ・缶コーヒー等に示される量を基にすると2.5リットル前後の量(約1100kcal)に相当する。
[編集] 代用甘味料
上記のような健康への影響からスクロースを避けたいというニーズに応えるため、代用甘味料がいくつも開発されてきた。しかし、例えばアスパルテームは加熱することで甘みが低下するなど、調理用に砂糖の代替として利用するのが難しいものがある。また、他の健康上の問題をも引き起こすものもあり、その安全性が疑問視されている。
[編集] その他
25度において、1gの水に2.1g溶解する。([1]より)
スクロースを170度ぐらいに加熱するとカラメル(キャラメル)と呼ばれる褐色を呈する物質に変化する。カラメル自体が食用になり、調理にも有用である。