スクール水着
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スクール水着(スクールみずぎ)は、日本において、小学校から高等学校までの体育教育における水泳用に採用されている水泳着(水着)を指す俗称である。一部ではスク水と略されることもある。
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[編集] 全般
競泳用水着に比較すると、やや活動性に欠ける仕立てである。色は紺や黒が多く、青や水色・緑・赤あるいはえんじなどを採用し学年色・学校色としている例も多い。1980年代初頭ごろまでは、白地に学年色をストライプに配色した派手なデザインも一部でみられたが、一般的には全体を単色としたり、縁取り・ライン・切り替えし等をシンプルに配しただけの地味なデザインとしていることがほとんどである。近年では事故防止のため、水中ではっきりと目立つようにオレンジ色とする場合が増えている。材質は、ほとんどがナイロンやポリエステル等の化学繊維である。全国のほとんどの初等・中等教育機関において、類似品が指定制式品として用いられている。日本のみならず東アジアでは共通の物と言われる。
[編集] 女性用の水着
ほとんどがワンピース型であり、女子生徒用の水着は、近年モデルチェンジが進み、旧・旧旧・新・競泳・スパッツ型の5タイプに大別できる。
- 旧タイプ
- 前身頃の股間部の布が下腹部と一体ではなく分割されており、下腹部の裏側で重ねられて筒状に縫い合わせてある。前から見るとスカートのように見えるため、スカート型あるいはダブルフロントと呼称される。また、古くから存在するタイプのため旧型スクール水着と呼称され、それを略して「旧スク」と呼ぶ例も多い。
- その独特の形状はもちろん機能上の要求から来たものであるが、その理由には「伸縮性の乏しい布地でも運動時や身長の伸びに応じてある程度伸縮を許容させるため」、あるいは「胸元から入る水流を股間部で逃がすため」など、諸説がある。多くは背面の形状がU字型となっている。
- 股間部の布を下腹部ではなく、両サイドの腰部分で接合したモデルも少数存在する。
- 素材としてナイロンあるいはポリエステルを100%使用している物が多いため伸縮性に乏しく、生地の編み方で伸縮性を持たせるために分厚い生地になる事が多い。但し、80年代まではワイシャツのようにとても薄く、伸縮性もほとんどない生地を使用したモデルも少数存在していた。
- 旧旧タイプ
- スカート状の上半身部とブルマー状の下半身部が分離している、旧タイプの登場以前から存在したスカート型。旧タイプよりも古い型ということで、旧旧タイプと呼称されることが多い。
- 上半身部は、脇の下あたりまでめくり上げることが可能である。但し、上半身部内側に全周にわたり裏布が配してあり、その裏布に下半身部上端が縫い合わされているため、上半身部をめくり上げても肌が露出することはなく、また下半身部のみを脱ぐことはできない構造となっている。
- ボトムラインは、旧タイプよりもゆるやかなローレグである。
- ゲームやアニメで描かれることが多いタイプではあるが、実際にはちょうちんブルマーなどとともに、70年代のうちにほぼ見かけなくなった大変古いデザインであり、旧タイプのデザインを誤認して描いている例も多いようである。
- 新タイプ
- ボトム形状は一般的なワンピース水着と同様に、前部の布と後部の布が底部で縫い合わされた構造となっており、股間部が分割されていない。背面の形状はU字形だけでなく、レーサーバックと呼称されるY字形を採用した製品も多い。
- 下の、競泳タイプにある程度形状は類似するが、競泳タイプに比べ伸縮性が乏しく、旧タイプとあまり変わらない素材を使用しているものも多いので、競泳タイプよりゴワゴワするものも多い。
- 競泳タイプ
- スパッツタイプ
- 近年になって登場した、ボトムラインをスパッツ状とし太腿を半ばまで覆う形状としたタイプ。ユニタード水着と呼称される場合もある。トップとボトムを分割しセパレーツとしたり、トップに半袖を追加したタイプも登場している。
[編集] 男性用の水着
大部分がトランクス型(ボックス型とも呼ばれる)と、ビキニないしはブリーフ型の二種類である。
- ボックス型
- ビキニ・ブリーフ型
- ボックス型に比べるとやや伸縮の良い、ライクラ素材を使用している事が多い。
- 一般的な競泳水着に、ロゴを入れるなどして使用する事もある。
- トランクス型
- 近年、登場した短パンとほとんど形をした同じ水着。他の水着と違い、肌に密着してなく、短パンとの違いは中にサポーターが縫いつけられている。裾にも余裕があるのが特徴。
- 素材としては綿が多い。
[編集] 下着・サポーター
- 第一次性徴期より前の男女は身につけないことが多い。スクール水着の多くは裏布(股布・胸当て裏布)が縫いつけられており、それが下着代わりになっている。裏布の色は白、あるいはベージュとなっていることが多いが、水色や本体と同色としたモデルも一部で存在する。女性用の場合、上下で裏布の色が異なっている場合もある。この場合、多くはどちらか一方が本体と同色となっている。
- 第二次性徴期以降はスクール水着の下にスイムショーツ(スイムサポーター)を履くことが多い。色は白・ベージュ・黒などである。
- 第二次性徴期以降の女性は、胸ポチ対策で胸パット(スイムカップ)を取り付けることも多い。ひも付きパットを縫い付けて水着内側に吊り下げるか、ひものない差し込み式パットを胸当て裏布に直接縫い付けるという取り付け方がよく見られる。
- 近年ではフック式パットを吊り下げるためのパットループや、胸当て裏布に差し込み式パット用のパットポケットを標準装備するスクール水着も多くなっている。その場合には縫い付けを施すことなく、自由にパットの取り付け・取り外しを行うことが可能である。パットポケット付きスクール水着の場合、付属品としてパットが同梱されている製品も多い。
- パットを固定式で標準装備するスクール水着も存在する。パットが胸当て裏布と一体構造となっているものが多く、パットを取り外すことはできない。なかにはファッション水着のようにパット周囲にシェイプアップ用のパワーネットを配しているものまで見られる。パットと胸当て裏布はベージュの同色としたものが多く、胸当て裏布が白や紺色などの場合でも、パットの色はベージュとなっていることが多い。
- ?パットを取り付けずに、ニプレスあるいは絆創膏を乳首に貼り付けて、胸ポチにならないようにする例もある。ただしこの場合、ニプレスや絆創膏の形が透けてしまうことが多い。一般的な幅の狭い絆創膏を使用する場合、二枚の絆創膏を十文時に貼り付けて使用することが多いようである。
- どちらも下着はスクール水着からはみ出ないように着用する。
[編集] 水泳帽
- 学校の水泳授業では必ず水泳帽が用いられる。衛生面が主な理由だが、学年や泳力によって色分けされる場合が多い。現在はシリコンゴムやポリウレタン、ナイロンメッシュ素材のような実用的なものが中心であるが、1980年頃までは、頭の上に乗せるだけのデザインである男子の水泳帽とは対照的に、女子の水泳帽は被ると耳の隠れるフード型で、男子に比べると長く伸ばす傾向のある頭髪を中に収められるように頭部をすっかり覆うものであった。
[編集] 着替え方
男女同室の場合もあれば別室になる場合もあり、場所もまた教室もしくは専用の更衣室など使用するなど学校によって様々だが、水着着用の場合は裸体を隠す人が多い。また、基本的に巻きタオルを使用する場合が多く、学校側から勧められるケースもある。男子は腰を巻きタオルで覆い、女子は首にあわせて巻きタオルをつけ水着を着用する。
[編集] フェティシズム
女子生徒用のスクール水着は、ブルマー同様、男性のフェティシズムの対象として風俗的なメディアでしばしば取り上げられる。中でも代表的と言えるのが、ブルセラ系雑誌の『Cream』(ワイレア出版)で、10年以上の歴史がある。また同種にホイップ(コアマガジン)や過去には『ラッキークレープ』(バウハウス)もあり、これらのタイトルを総称し、「制服・ブルマー・スクール水着」は、「お菓子系」と呼ばれている。漫画やゲームでキャラクターが着用することもあるため、コスプレの題材にもなっている。
また、なかなか風俗メディアになるほどメジャーではないものの、一部では、男子生徒用のスクール水着も、他の水着にない独特のデザインから、フェティシズムの対象としている人がある程度いる。 そのため、風俗メディアなどにあまりならない分、一部のファンサイトなどで、男子用のスクール水着の内容を専門に扱うところが近年増加している。 中には女子用スクール水着を着用して水泳を行う男性もおり、他の客のことを考慮し、市民プール等ではこのような行為を禁止している場合がある。